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第五章 お泊りに行きたい
#70 夜宵と一緒の湯舟
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体を洗い、水着を着直したところで夜宵とヒナはいよいよ湯舟に入ることにする。
先に夜宵が浴槽に入り、体育座りで足を抱えているところに、ヒナも続いて後から入る。
「じゃあ、お、お邪魔します」
「どどどどうぞ」
お互いに緊張しながらそんなやりとりを交わし、ヒナは足から湯船に浸かり夜宵の正面に腰を下ろす。
本来一人で入ることを想定されたバスタブは、二人で入ると殆どスペースがなくなってしまった。
必然的に彼らは至近距離で正面から見つめ合う形になる。
「な、何て言うか、狭いね」
夜宵が照れた様子でそう吐き出す。
「おっ、おう。そうだな」
ヒナもそれに相槌を打ちながら心の中で訂正する。
――狭いというか、近い!
湯船の中では当然のように二人の足は触れ合う形になるし、顔だってすぐそばだ。
顔が熱いのお湯の温度が高いせいか、それとも水着の異性と密着しているせいか。
会話が途切れてしまい、ヒナは夜宵の方を見つめる。
シャワーで濡れた長い髪を手でまとめている姿は普段の彼女からは想像もできないほど色っぽくて、息を呑むほど美しかった。
クロスホルターネックのビキニに包まれた形のいいバストはお湯に半分浮かび、胸元を伝う水の雫が一層彼女を扇情的に見せている。
そんな魅惑の果実を眼前に据えられ、ヒナの視線は釘付けになってしまう。
「え、えっとヒナ」
露骨な視線は当然夜宵にもバレる。
会話が途切れた上に、自分の胸を注視されている恥ずかしさから逃れる為に彼女は話題を切り出した。
「ヒナの体、結構ガッシリしてるよね。触っていいかな?」
「お、おう。構わないぞ」
突然の提案に驚きながらもヒナはそれを了承する。
夜宵の手がペタペタとヒナの胸板に触れ、次に腹部を撫でる。
「結構腹筋硬いね。鍛えてるんだ」
「まあ、リングファイトアドベンチャーやってるからな」
運動部ほどでないにせよ、ヒナの体も多少は筋肉がついている。
夜宵の手に触れられる度に、ヒナはその部分が熱くなるような錯覚に陥った。
照れ臭くなってきて今度はヒナが口を開く。
「よーし、次は俺も夜宵の胸を触っていいかなー」
冗談めかして言ったものの、言われた夜宵は目を真ん丸にして驚いた。
「えっ、えっ、えっ、ええええ!」
即座にヒナは後悔する。
夜宵はこういう冗談が通じるタイプでなかったと思い出したのだ。
仮に冗談だとわかっていてもうまく躱せる人間ではない。
――いい加減学習しろ俺!
動揺した様子の夜宵はやがて湯船に視線を落とし、自分に言い聞かせるように言葉を零す。
「そっか、そうだよね。私もヒナの体散々触ったんだから、こっちも触られてようやくおあいこだよね」
「いや、断ろうよ! どうしてキミはいつもそうなの!?」
ヒナの大声が浴室に響き、夜宵がビクッと体を縮こまらせる。
「夜宵ちゃん、今のはセクハラだからね。こういう時はきちんと断るの! ノーと言える人間になろう。そんなんじゃ将来苦労するよ」
「う、うん。ごめんなさい」
ヒナの勢いに押されながら夜宵は頷く。
そして納得したように言葉を吐き出す。
「そっか、ヒナは私の将来を心配してあえてセクハラしたんだね。ありがとうねヒナ」
セクハラ発言すら感謝されてしまった。
重い。この子の俺に対する信頼が重すぎる。ヒナはそう感じて頭を抱えるのだった。
先に夜宵が浴槽に入り、体育座りで足を抱えているところに、ヒナも続いて後から入る。
「じゃあ、お、お邪魔します」
「どどどどうぞ」
お互いに緊張しながらそんなやりとりを交わし、ヒナは足から湯船に浸かり夜宵の正面に腰を下ろす。
本来一人で入ることを想定されたバスタブは、二人で入ると殆どスペースがなくなってしまった。
必然的に彼らは至近距離で正面から見つめ合う形になる。
「な、何て言うか、狭いね」
夜宵が照れた様子でそう吐き出す。
「おっ、おう。そうだな」
ヒナもそれに相槌を打ちながら心の中で訂正する。
――狭いというか、近い!
湯船の中では当然のように二人の足は触れ合う形になるし、顔だってすぐそばだ。
顔が熱いのお湯の温度が高いせいか、それとも水着の異性と密着しているせいか。
会話が途切れてしまい、ヒナは夜宵の方を見つめる。
シャワーで濡れた長い髪を手でまとめている姿は普段の彼女からは想像もできないほど色っぽくて、息を呑むほど美しかった。
クロスホルターネックのビキニに包まれた形のいいバストはお湯に半分浮かび、胸元を伝う水の雫が一層彼女を扇情的に見せている。
そんな魅惑の果実を眼前に据えられ、ヒナの視線は釘付けになってしまう。
「え、えっとヒナ」
露骨な視線は当然夜宵にもバレる。
会話が途切れた上に、自分の胸を注視されている恥ずかしさから逃れる為に彼女は話題を切り出した。
「ヒナの体、結構ガッシリしてるよね。触っていいかな?」
「お、おう。構わないぞ」
突然の提案に驚きながらもヒナはそれを了承する。
夜宵の手がペタペタとヒナの胸板に触れ、次に腹部を撫でる。
「結構腹筋硬いね。鍛えてるんだ」
「まあ、リングファイトアドベンチャーやってるからな」
運動部ほどでないにせよ、ヒナの体も多少は筋肉がついている。
夜宵の手に触れられる度に、ヒナはその部分が熱くなるような錯覚に陥った。
照れ臭くなってきて今度はヒナが口を開く。
「よーし、次は俺も夜宵の胸を触っていいかなー」
冗談めかして言ったものの、言われた夜宵は目を真ん丸にして驚いた。
「えっ、えっ、えっ、ええええ!」
即座にヒナは後悔する。
夜宵はこういう冗談が通じるタイプでなかったと思い出したのだ。
仮に冗談だとわかっていてもうまく躱せる人間ではない。
――いい加減学習しろ俺!
動揺した様子の夜宵はやがて湯船に視線を落とし、自分に言い聞かせるように言葉を零す。
「そっか、そうだよね。私もヒナの体散々触ったんだから、こっちも触られてようやくおあいこだよね」
「いや、断ろうよ! どうしてキミはいつもそうなの!?」
ヒナの大声が浴室に響き、夜宵がビクッと体を縮こまらせる。
「夜宵ちゃん、今のはセクハラだからね。こういう時はきちんと断るの! ノーと言える人間になろう。そんなんじゃ将来苦労するよ」
「う、うん。ごめんなさい」
ヒナの勢いに押されながら夜宵は頷く。
そして納得したように言葉を吐き出す。
「そっか、ヒナは私の将来を心配してあえてセクハラしたんだね。ありがとうねヒナ」
セクハラ発言すら感謝されてしまった。
重い。この子の俺に対する信頼が重すぎる。ヒナはそう感じて頭を抱えるのだった。
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