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長きに渡る南北魔大戦の終結
第2話 謎の場所
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作戦会議終了後。
皆がそれぞれの目的のために動いていった直後。
ママロンさんがやって来た。
いつもの明るい彼女だ。
「ルルちゃん。相談よ」
「はいはい。ママロンさん、何?」
「さすがにね。今の状況で4万の兵を養うのは厳しいわよ。どうするの?」
ちょうど思っていた所だった。
さすがはママロンさんだ。
「やっぱり。そうだよね。想定した人数よりも1万増えたからな。オレのマジックボックスに入ってる食材をフル稼働させても難しいよね」
「そうね・・・足りないわ」
「だよねぇ。ママロンさん。普通にこのままの量で食べたらどれくらい持つかな。計算してる?」
「うん。単純計算だと。1週間・・・・かな」
「それはまずいな。1週間分だと兵の移動が厳しい。どうしようか」
オレの作戦の所要期間は最速でも10日だ。
一週間しか食材がもたないのは、まずい。
兵が戦う前から腹から力を失ってしまうよ。
オレの作戦が上手くいけば別に戦わないけどさ。
「ルルちゃん。食材を節約して、少々足してもらえれば20日は持つかもよ」
「そっか。でも食材を足すのはな。アレスロアの分は出来ないよね。ここの人たちの食材がピンチになるもんな………そうなるとリュカに行くしかないか。リュカの農業ハウスがそろそろ育つ頃だな。リュカに相談するか」
リュカと話し合うためにオレはママロンさんと別れた。
メロウに連絡を取り次いでもらい、リュカには自分の都市のリュカに戻るように伝えた。
リュカは急げば半日で着くからと言っていた。
一体どうやってそんな速度で帰れるのと聞くのは野暮なので黙っておいたけど、本当にどうやって半日で移動できるんだ?
あそこは、そりで三日から五日はかかる道のりだというのに。
連絡から半日後。
息の荒いリュカが、オレたちの町の魔法陣から出てきた。
「はぁはぁ。ルル。こ、これを……お前の分のクルーナの輝石だ。あとは移動して繋げてくれ」
「サンキュ。リュカ、無茶させたな。悪いな」
「だ、大丈夫だ。久しぶりに竜変化を使っただけだ」
「ん? 竜変化??」
「ルル。お前は知らなかいのか。竜変化を?」
「知らんよ。なにそれ」
「竜人種の切り札だ。竜になる」
竜人種って、竜になるんだ。
「マジかよ!? かっけえじゃん、それ!? 見てみた・・・いや、悪いな。リュカが疲れるほどの負担がかかるんだよな。無理させて悪かったわ」
「まあな。でも竜変化したから疲れたというよりは、移動に全力の魔力を使ったから息が上がっているな」
「そっか。謝ってばかりじゃ失礼だから、ありがとうね。ほんじゃ、こことあっちを繋げて、食料をもらいにいくわ」
「ああ、今回の戦がこれで終わるならば、これくらいの苦労は屁でもないな」
「そっか。オレは必ず終わらせてみせるよ。アルランとこで待っててくれ」
「うむ。頼む」
オレはアレスロアに魔法陣を設定して、リュカの魔法陣で都市リュカに到着。
それと同時にオレは都市リュカに魔法陣を設定。
リュカの迅速な対応のおかげでオレはまた都市リュカとの行き来が自由自在になった。
この後。
モルゲンとエルドレアに合流して、いきさつを説明すると目をぱちくりさせて驚いていた。
知らぬ間にアレスロアが戦になっていたという事に頭が一瞬フリーズしたのだろう。
オレも聞かされた時は、心臓が止まりそうだったからね。
うんうん。しょうがないよ。
「エルドレアとモルゲンは一緒に帰って来てもらいますね。その前に農業ハウスで収穫してから帰りますよ。オレのマジックボックスに入れこむからさ。ジャンジャン収穫してください」
「はい。それじゃあ、私が率先して皆さんに収穫方法を教えればいいですね」
「ああ。そうですね。種まきから指導してると思うので、こちらの人たちが収穫まで出来るようにしましょうか。この後は、二人がいなくても大丈夫なように指導をお願いします」
「はい。皆さんに教えてきます」
エルドレアが移動した後。
「モルゲンの方も大丈夫かな? 建築の方はどうなった?」
「おう。おらがいなくても大丈夫だ。後は自分たちで建物を建てられる……がしかし、魔晶石が作れんぞ。あれは一般で流通している物とは違う。メロウのものじゃないとあのような効果はないぞ」
「確かにそうなるね。なら売ろうか。タダで魔晶石を譲ると、たぶんリュカが恐縮するからさ。魔晶石は売っちゃうか。それを研究費にすれば、メロウだって満足だよね」
「ガハハハ。たしかに。メロウは満足そうに頷くだろうな」
モルゲンは大笑いしていた。
全ての作業を終えてから、オレは技術提供組を連れてアレスロアに帰還。
次の準備の説明をモルゲンとエルドレアにして、ママロンさんには食材計算をしてもらった。
「15日から20日。たぶんこれくらいね」
「そうか。じゃあここが勝負になるな。ママロンさん。従軍して欲しい。いいかな」
「いいわよ! 食事はまかせてちょ~~うだい!」
「うん、ありがとね」
今回、頼れる味方ママロンさんを連れて行くことにした。
◇
次の計画。
エルドレアとモルゲンをオレのそばにおいて、ジャバルの部下ノカクとオルタナの部下シャイを呼んだ。
「では、ノカク、シャイ」
「「はい」」
「お!? 返事いいね」
オレはちょっとびっくりした。
ついさっきまでは敵同士。
そうだとは思えないくらいに気持ちのいい返事だった。
「えっと。二人にも少量の軍。そうだな。百人くらいずつで地元に戻ってくれ。この二人を連れて行って、農業ハウスとその栽培方法を学んでくれ」
エルドレアとモルゲンの肩を叩き紹介した。
「この人たちがオレの町の農業と建築のスペシャリストだ。まずは、近い方のハッサンブルにいって、次にジャリコだな」
「わ、私たちは戦場には・・・行かなくとも?」
ノカクが聞く。
「ええ。大丈夫。戦いはオレたちがなんとかするからさ。二人は、自分の街を発展させてくれ。例えばどこに農業ハウスを作ればいいとかのことを考える時に、あんたたちくらいの偉い人じゃないと駄目だろ? ジャバルの片腕の人間じゃないと、地元に施設を建てられないだろうからさ。ジャバルとオルタナは戦場に連れて行きたいから次に権限のある人が必要なんだよ」
「た、たしかに。我々なら、すぐに建物の許可は出せますね」
シャイがノカクを見て頷く。ノカクも頷いた。
「やります。私もシャイも、その命令に沿って行動を起こします」
「ええ。頼みます。あと、エルドレアとモルゲンの身の安全もお願いしますね。その護衛も兼ねてください」
「「了解です! 必ずお守りします」」
「はい。お願いしますよ。二人とも」
とびきりの返事と敬礼がオレに返ってきた。
◇
そして、シャイとノカクが自分の街を発展させるために出立すると、オレたちの本番である。
連合の本拠地シューカルに向けて出陣。
連合軍を倒してから5日が経った。
本物の連合軍はそろそろジュズランに向けて出陣している頃だろう。
ここで、あえてジュズランにはいかず、シューカルに出陣した。
ジャルバ軍とオルタナ軍にオレたちは紛れ込み、シューカルの中で重要施設を制圧。
ジュズランに行っている本軍にはそれらを知らせないように都市の出入り口を固めた。
元々全ての兵が出払っている状態であるから、街には巡回するくらいの兵しかいなかったので、オレたちは何もせずとも簡単に勝つことが出来た。
盟主と右将軍がいない現状では抗う術はないだろう。
そして、オレは城の様な作りの駐屯所に入って、盟主がいたであろう豪華な部屋に仲間たちと入った。
その一歩を踏み入れた時に違和感を感じる。
「なんか変だ・・・なんか感じるな」
「うん。ルルもそう感じる?」
「ナディアもか。ああ、なんか違和感を感じる」
「ちょっと。あたしやってみる」
「なにを?」
「見てて」
ナディアが、両方の指を絡ませて手を合わせた。
そこから温かな光の球が生まれる。
温度を感じる光は珍しかった。
「探知結界」
ナディアが手を放すと猛烈な勢いで光が巨大化していった。
その光が部屋の壁に当たると消えていく。
部屋の隅がキラキラと輝く一方で、一点だけ真っ黒に見える場所が天井に現れた。
「あれは?」
「あそこに結界があるわね。たぶん何かを封印しているわ」
「そっか。あそこに隠し扉みたいなものがあるのかな。こっからじゃ、届かねえ」
オレはこの状況で思い出した。
これは、あのヨルガさんの執務室に似ている。
あそこも天井に階段があって、隠し部屋があったから、ここでもそれがあるのだと思った。
あそことの違いは、きな臭い雰囲気が漂う感じがする。
皆で、周辺を探すと、ユーさんが棚の奥に何かのボタンを見つけた。
オレが普通に押す……反応がない。
だったらと、魔力を付与した手で押してみると扉が開いて梯子が降りて来た。
「開いた! やっぱり隠しか・・・ん、この先に階段?」
梯子を登った先は螺旋階段だった。
「みんな。オレが先に登っていくから後ろを頼む」
全員が頷いて、オレたちは進む。
◇
「ずいぶんと念入りな場所に隠してあったな。こんな場所知ってた?」
オレがジャバルとオルタナに聞くと。
「初めてです」「自分もだ」
二人とも知らなかった。
「へえ。二人クラスの人物でも初なのか。つうことは盟主だけが入れる場所なのかな」
「もしかしたらそうかもしれないですな」
ジャバルでも来たことがない場所らしい。
実質連合軍のナンバー2が来られない場所など、怪しいにもほどがあるわ。
オレは真相を探るために階段を登っていった。
◇
天空にいる。
そう評してもいいくらいに、螺旋階段の窓から見える景色は高かった。
この場所だと、ファイナの洗礼も、海も両方が綺麗な絵画のように見えた。
最上階に到着すると、どでかい扉がある。
でも、普通には開けられないようだ。
扉一面に紙が貼りつけられていて魔力を感じる。
「これは、封印? そのために札が張ってあるのか」
「ルル。触れちゃ駄目よ」
「うん。そうみたいだけど……ちょっと剥がしてみるわ」
「危険よ。ルル。やめなさいって。もし失敗したら……それ呪い系かもしれないし」
「大丈夫さ。オレがこの魔力に同調すれば、この紙剥がしても大丈夫そうだ」
「ああ。もう。あたしは止めたからね」
「はいはい。いつもご心配ありがとうございますね」
と言ってオレはこの紙を剥がした。
確かに封印しているみたいだ。
剝がした途端に強力な魔力を感じた。
「さて、何が出てくるか」
オレが扉を開けると、中にはユーさんと同じあの緑の鎖に繋がれた誰かがいた。
皆がそれぞれの目的のために動いていった直後。
ママロンさんがやって来た。
いつもの明るい彼女だ。
「ルルちゃん。相談よ」
「はいはい。ママロンさん、何?」
「さすがにね。今の状況で4万の兵を養うのは厳しいわよ。どうするの?」
ちょうど思っていた所だった。
さすがはママロンさんだ。
「やっぱり。そうだよね。想定した人数よりも1万増えたからな。オレのマジックボックスに入ってる食材をフル稼働させても難しいよね」
「そうね・・・足りないわ」
「だよねぇ。ママロンさん。普通にこのままの量で食べたらどれくらい持つかな。計算してる?」
「うん。単純計算だと。1週間・・・・かな」
「それはまずいな。1週間分だと兵の移動が厳しい。どうしようか」
オレの作戦の所要期間は最速でも10日だ。
一週間しか食材がもたないのは、まずい。
兵が戦う前から腹から力を失ってしまうよ。
オレの作戦が上手くいけば別に戦わないけどさ。
「ルルちゃん。食材を節約して、少々足してもらえれば20日は持つかもよ」
「そっか。でも食材を足すのはな。アレスロアの分は出来ないよね。ここの人たちの食材がピンチになるもんな………そうなるとリュカに行くしかないか。リュカの農業ハウスがそろそろ育つ頃だな。リュカに相談するか」
リュカと話し合うためにオレはママロンさんと別れた。
メロウに連絡を取り次いでもらい、リュカには自分の都市のリュカに戻るように伝えた。
リュカは急げば半日で着くからと言っていた。
一体どうやってそんな速度で帰れるのと聞くのは野暮なので黙っておいたけど、本当にどうやって半日で移動できるんだ?
あそこは、そりで三日から五日はかかる道のりだというのに。
連絡から半日後。
息の荒いリュカが、オレたちの町の魔法陣から出てきた。
「はぁはぁ。ルル。こ、これを……お前の分のクルーナの輝石だ。あとは移動して繋げてくれ」
「サンキュ。リュカ、無茶させたな。悪いな」
「だ、大丈夫だ。久しぶりに竜変化を使っただけだ」
「ん? 竜変化??」
「ルル。お前は知らなかいのか。竜変化を?」
「知らんよ。なにそれ」
「竜人種の切り札だ。竜になる」
竜人種って、竜になるんだ。
「マジかよ!? かっけえじゃん、それ!? 見てみた・・・いや、悪いな。リュカが疲れるほどの負担がかかるんだよな。無理させて悪かったわ」
「まあな。でも竜変化したから疲れたというよりは、移動に全力の魔力を使ったから息が上がっているな」
「そっか。謝ってばかりじゃ失礼だから、ありがとうね。ほんじゃ、こことあっちを繋げて、食料をもらいにいくわ」
「ああ、今回の戦がこれで終わるならば、これくらいの苦労は屁でもないな」
「そっか。オレは必ず終わらせてみせるよ。アルランとこで待っててくれ」
「うむ。頼む」
オレはアレスロアに魔法陣を設定して、リュカの魔法陣で都市リュカに到着。
それと同時にオレは都市リュカに魔法陣を設定。
リュカの迅速な対応のおかげでオレはまた都市リュカとの行き来が自由自在になった。
この後。
モルゲンとエルドレアに合流して、いきさつを説明すると目をぱちくりさせて驚いていた。
知らぬ間にアレスロアが戦になっていたという事に頭が一瞬フリーズしたのだろう。
オレも聞かされた時は、心臓が止まりそうだったからね。
うんうん。しょうがないよ。
「エルドレアとモルゲンは一緒に帰って来てもらいますね。その前に農業ハウスで収穫してから帰りますよ。オレのマジックボックスに入れこむからさ。ジャンジャン収穫してください」
「はい。それじゃあ、私が率先して皆さんに収穫方法を教えればいいですね」
「ああ。そうですね。種まきから指導してると思うので、こちらの人たちが収穫まで出来るようにしましょうか。この後は、二人がいなくても大丈夫なように指導をお願いします」
「はい。皆さんに教えてきます」
エルドレアが移動した後。
「モルゲンの方も大丈夫かな? 建築の方はどうなった?」
「おう。おらがいなくても大丈夫だ。後は自分たちで建物を建てられる……がしかし、魔晶石が作れんぞ。あれは一般で流通している物とは違う。メロウのものじゃないとあのような効果はないぞ」
「確かにそうなるね。なら売ろうか。タダで魔晶石を譲ると、たぶんリュカが恐縮するからさ。魔晶石は売っちゃうか。それを研究費にすれば、メロウだって満足だよね」
「ガハハハ。たしかに。メロウは満足そうに頷くだろうな」
モルゲンは大笑いしていた。
全ての作業を終えてから、オレは技術提供組を連れてアレスロアに帰還。
次の準備の説明をモルゲンとエルドレアにして、ママロンさんには食材計算をしてもらった。
「15日から20日。たぶんこれくらいね」
「そうか。じゃあここが勝負になるな。ママロンさん。従軍して欲しい。いいかな」
「いいわよ! 食事はまかせてちょ~~うだい!」
「うん、ありがとね」
今回、頼れる味方ママロンさんを連れて行くことにした。
◇
次の計画。
エルドレアとモルゲンをオレのそばにおいて、ジャバルの部下ノカクとオルタナの部下シャイを呼んだ。
「では、ノカク、シャイ」
「「はい」」
「お!? 返事いいね」
オレはちょっとびっくりした。
ついさっきまでは敵同士。
そうだとは思えないくらいに気持ちのいい返事だった。
「えっと。二人にも少量の軍。そうだな。百人くらいずつで地元に戻ってくれ。この二人を連れて行って、農業ハウスとその栽培方法を学んでくれ」
エルドレアとモルゲンの肩を叩き紹介した。
「この人たちがオレの町の農業と建築のスペシャリストだ。まずは、近い方のハッサンブルにいって、次にジャリコだな」
「わ、私たちは戦場には・・・行かなくとも?」
ノカクが聞く。
「ええ。大丈夫。戦いはオレたちがなんとかするからさ。二人は、自分の街を発展させてくれ。例えばどこに農業ハウスを作ればいいとかのことを考える時に、あんたたちくらいの偉い人じゃないと駄目だろ? ジャバルの片腕の人間じゃないと、地元に施設を建てられないだろうからさ。ジャバルとオルタナは戦場に連れて行きたいから次に権限のある人が必要なんだよ」
「た、たしかに。我々なら、すぐに建物の許可は出せますね」
シャイがノカクを見て頷く。ノカクも頷いた。
「やります。私もシャイも、その命令に沿って行動を起こします」
「ええ。頼みます。あと、エルドレアとモルゲンの身の安全もお願いしますね。その護衛も兼ねてください」
「「了解です! 必ずお守りします」」
「はい。お願いしますよ。二人とも」
とびきりの返事と敬礼がオレに返ってきた。
◇
そして、シャイとノカクが自分の街を発展させるために出立すると、オレたちの本番である。
連合の本拠地シューカルに向けて出陣。
連合軍を倒してから5日が経った。
本物の連合軍はそろそろジュズランに向けて出陣している頃だろう。
ここで、あえてジュズランにはいかず、シューカルに出陣した。
ジャルバ軍とオルタナ軍にオレたちは紛れ込み、シューカルの中で重要施設を制圧。
ジュズランに行っている本軍にはそれらを知らせないように都市の出入り口を固めた。
元々全ての兵が出払っている状態であるから、街には巡回するくらいの兵しかいなかったので、オレたちは何もせずとも簡単に勝つことが出来た。
盟主と右将軍がいない現状では抗う術はないだろう。
そして、オレは城の様な作りの駐屯所に入って、盟主がいたであろう豪華な部屋に仲間たちと入った。
その一歩を踏み入れた時に違和感を感じる。
「なんか変だ・・・なんか感じるな」
「うん。ルルもそう感じる?」
「ナディアもか。ああ、なんか違和感を感じる」
「ちょっと。あたしやってみる」
「なにを?」
「見てて」
ナディアが、両方の指を絡ませて手を合わせた。
そこから温かな光の球が生まれる。
温度を感じる光は珍しかった。
「探知結界」
ナディアが手を放すと猛烈な勢いで光が巨大化していった。
その光が部屋の壁に当たると消えていく。
部屋の隅がキラキラと輝く一方で、一点だけ真っ黒に見える場所が天井に現れた。
「あれは?」
「あそこに結界があるわね。たぶん何かを封印しているわ」
「そっか。あそこに隠し扉みたいなものがあるのかな。こっからじゃ、届かねえ」
オレはこの状況で思い出した。
これは、あのヨルガさんの執務室に似ている。
あそこも天井に階段があって、隠し部屋があったから、ここでもそれがあるのだと思った。
あそことの違いは、きな臭い雰囲気が漂う感じがする。
皆で、周辺を探すと、ユーさんが棚の奥に何かのボタンを見つけた。
オレが普通に押す……反応がない。
だったらと、魔力を付与した手で押してみると扉が開いて梯子が降りて来た。
「開いた! やっぱり隠しか・・・ん、この先に階段?」
梯子を登った先は螺旋階段だった。
「みんな。オレが先に登っていくから後ろを頼む」
全員が頷いて、オレたちは進む。
◇
「ずいぶんと念入りな場所に隠してあったな。こんな場所知ってた?」
オレがジャバルとオルタナに聞くと。
「初めてです」「自分もだ」
二人とも知らなかった。
「へえ。二人クラスの人物でも初なのか。つうことは盟主だけが入れる場所なのかな」
「もしかしたらそうかもしれないですな」
ジャバルでも来たことがない場所らしい。
実質連合軍のナンバー2が来られない場所など、怪しいにもほどがあるわ。
オレは真相を探るために階段を登っていった。
◇
天空にいる。
そう評してもいいくらいに、螺旋階段の窓から見える景色は高かった。
この場所だと、ファイナの洗礼も、海も両方が綺麗な絵画のように見えた。
最上階に到着すると、どでかい扉がある。
でも、普通には開けられないようだ。
扉一面に紙が貼りつけられていて魔力を感じる。
「これは、封印? そのために札が張ってあるのか」
「ルル。触れちゃ駄目よ」
「うん。そうみたいだけど……ちょっと剥がしてみるわ」
「危険よ。ルル。やめなさいって。もし失敗したら……それ呪い系かもしれないし」
「大丈夫さ。オレがこの魔力に同調すれば、この紙剥がしても大丈夫そうだ」
「ああ。もう。あたしは止めたからね」
「はいはい。いつもご心配ありがとうございますね」
と言ってオレはこの紙を剥がした。
確かに封印しているみたいだ。
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