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二十七、
「なんか、だりぃよな。騎馬戦。勝ったら相手チームの大将マワせるとかだったら、やる気も出んだけどな」
「お、それいいな。床に組み伏せたら、舞岡。どんな顔すんかな」
「やっぱ、怯えた顔じゃねぇ?見てみたいねえ」
「是非に」
対戦直前。
下卑た笑みを浮かべて言い合っていたクラスは、物の見事に瞬殺された。
「ふっ。敵じゃないな」
楽な相手だったと将梧が笑みを浮かべ、結果、薫の騎馬として微動だにせず対戦が終わった門脇と水原もその言葉に頷きを返す。
「はっ。おととい来やがれってんだ!」
そして、べらんめえな長谷の言葉を聞いた薫は、ふうと息を吐いた。
「なんかさ。俺を怒らせて、怒りのままに前に出させるとかいう心理戦だったんだろうけど。俺ひとりで動くわけじゃないっての、忘れてたのと違う?」
『あれって、結局。こっちの闘志に火を点けただけだったよね。みんなが怒ってくれて、俺は嬉しかったけど』と、呑気に宣う薫に、将梧と門脇、そして水原は同時に首を横に振る。
「薫。あれは、心理戦なんかじゃない」
「そうだぞ、舞岡。あれは、そんな上等なものではない」
「舞ちゃんマワしたいって、あれ本気だからね」
「『まいちゃん、まわしたい』って、なんかウケねら・・いてっ」
言い方が面白かったと笑いかけた薫は、三方からげんこつを食らった。
「もう!冗談じゃないんだよ!かおちゃん!真面目に!」
「そうだぞ、薫。俺が居るとはいえ、油断は禁物だ。俺以外は、狼だと思っておけ」
「狼は、俺も除外していい。だが、もっと危機感は持て」
「あい。わがりまじだ」
げんこつは然程痛くなかったものの、三人の真剣な雰囲気に圧され、 薫は素直に返事をするものの、いまひとつ現実味がわかない。
でもなあ。
なんか、マワすって言われてもぴんと来ないんだよなあ。
だって俺、男だぞ?
『いつもより多く回しております~』的な方が、身近っていうか。
人間独楽っていうか。
「薫。くるくる回る方、人間独楽の方が身近、なんて思っていないか?」
「うえっ」
流石幼なじみ、流石将梧と言おうか。
薫が考えていることをずばり言い当てた将梧が、ずいと顔を寄せた。
「やっぱりか。いいか、薫。小さい頃に見ただろう?あれだって、危険なんだ」
「そうだぞ、舞岡。余り回りすぎるのは、危険な行為だ」
『俺も、幼稚園で習った』と続いた門脇に、しかし将梧は首を振る。
「違う。そうじゃない。それもまあ、危険だが違う。いつか見ただろう?帯を解かれて、くるくる回りながら着物を乱されて行くのを」
「あ、『あれぇー』なおねえさん!でもさ、でもさ将梧。あの後出て来た武士役のひと、すっごく格好良かったよねえ。さらっとおねえさんを助けてさ。こう、凛々しくて」
「・・・・・」
『思い出しても格好良かったなあ』と、どこか遠くへ意識を飛ばす薫をどんよりと見つめる将梧の肩を、門脇と水原がぽんと叩いた。
「「藪蛇」」
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