カラフルボックス ~絡め取られて腕のなか~

夏笆(なつは)

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三十一、

 

 

 

「それでは。我がクラスの優勝を祝って・・乾杯!」 

「「「かんぱーい!」」」 

 体育祭のすべての種目を終え、見事優勝を勝ち取った薫達のクラスは、教室に戻ると、担任の市谷が用意してくれていたジュースで祝杯としゃれ込んだ。 

「いっちゃんセンセ、ジュースありがと」 

「いやなに。みんなの奮闘ぶりには、手に汗握って楽しませてもらったからな。ほんの気持ちだ」 

 薫が笑顔を向ければ、何より無事に終わってよかったと、市谷も嬉しそうな笑みを浮かべた。 

「それにしても、いっちゃんセンセ、すっごく綺麗だったよ」 

「舞岡こそ、とても可愛かった。流石、一位だと思った」 

 教師陣のチアとして衣装を身に着けていた市谷は、とても綺麗だったと薫が言えば、市谷も薫の方こそ可愛かったと目を細める。 

「うわあ。チアの一位と二位で誉め合ってる」 

「そういえば、そうだな。うちのクラスには、可愛いと綺麗が存在するということか」 

 水原の言葉に門脇も頷き、他のクラスメイト達も確かにそうだと笑い合った。 

「本田。MVPはどうなった?」 

 そこへ将梧が真顔で尋ね、体育委員である本田が、どれどれと集計表を開く。 

「ちゃんと記録してあるから安心してくれ。クラス優勝に最も貢献した人物、つまり、最多得点を叩き出したのは・・お、秋庭、お前と門脇委員長だ」 

「凄いじゃん!将梧も門脇も、凄い活躍だったもんね」 

 その発表を聞き、薫が満面の笑みでぱちぱちと拍手した。 

「ふたり揃って得点王、ってのは凄いけど。景品がひとつしかないよ?上下で分けるとか、ふたりの所有にするとか、する?」 

 その景品が入っているらしい紙袋を少し持ち上げて、田上が将梧と門脇を交互に見る。 

「上下に分けるのも、所有権をふたりとするのも却下だ」 

「秋庭の言う通りだな。それを所有できるのは、ひとりだけだ」 

「ああ、はいはい分かったから、そう空気をぴり付かせない。ね、かおちゃん。最終決戦は何で競うのがいいと思う?」 

 相手を威嚇するように互いを見る将梧と門脇の間に、どうどうと馬をいなすように割って入った水原が、いい笑顔で薫に問うた。 

「え?なんで俺?っていうか、景品ってそんなにいい物なの?将梧や門脇がこんなに真剣になるなんて」 

「うん。ぼくが言うのも何だけど、世界にひとつしかないものだし、すっごい付加価値が付いたものだから」 

 興味津々の様子で、目を輝かせて景品は何かと思いを巡らす薫に、田上が笑顔で頷く。 

「へえ。そんな凄い物なのか。な、将梧、門脇。どっちか貰った方、後で俺にも見せてくれな」 

「「ああ。もちろん」」 

 薫の願いに即座に当然だと大きく頷いた将梧と門脇を嬉しそうに見た薫に、体育委員の本田が尋ねる。 

「で、舞岡。最終決戦は?」 

「え。ほんとに俺が決めるの?」 

 みんなも、本人である将梧と門脇もそれでいいのかと、不安の籠る目で周りを見た薫は、みんなが一様に頷くのを見て、ならばと考えつつ、音にした。 

「うーん、そうだなあ。腕相撲!とか言いたいところだけど、今日は筋肉も疲労しているから、怪我でもしたら大変・・ってことで、じゃんけんにしよう!三回勝負で!」 

「流石、薫。俺の体の心配までしてくれて、ありがとう」 

「ありがとう、舞岡。だがいつか、腕相撲もしよう」 

 薫の提案に、早速と将梧と門脇が向き合って、体勢を整える。 

「じゃあ、みんなで言おう!せーの、じゃんけんぽんっ!」 

 薫が音頭を取り、最初の勝利は将梧、二度目の勝利は門脇となり、次が決戦という三戦目。 

「では!泣いても笑ってもこれで最後!両者、恨みっこなしで!せーのっ、じゃんけんぽんっ!」 

「よしっ」 

 そして、最終戦を制して勝者となった将梧は、拳を強く握りしめた。 

 

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