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しおりを挟む「なっ・・にいって・・もっ・・とめっ・・ああっ」
何うっとりと勝手なこと言ってやがる、と言いたいのに上手く言葉が紡げない。
動く木馬と連動して動く陰茎模型にある粒だったいぼいぼぶつぶつが、俺のなかでくぱくぱと吸い付くだけでも狂いそうなのに、更にノアのを模しただけあって太く長い陰茎模型は、存分に奥を突き、周りを擦っておれを翻弄する。
「ああ、カイ。光る汗も、乱れた髪が肌に張り付くのも凄く素敵です」
そのうえ、堪らない、と呟いたノアが、俺の脇腹や陰茎に触れて来るから堪らない。
俺は、感じる部分すべての神経がむき出しになったような快楽に襲われ、思い切り腰を振るしか出来なくなる。
「あっ・・あっ・・いいっ・・・んっ・・あっ・・あああっ」
やがて木馬のリズムに上手く乗れるようになり、俺は頂点目指して一気に駆け上がろうとした、その時。
「なっ・・やっ」
突然、陰茎模型がその大きさを変え、俺のなかでとても小さくなってしまった。
ノアとの行為の最中、その陰茎が未だ大きくなるのか、と驚愕したことはある。
けれど、達するまで決して小さくなることなど無いノアの陰茎しか知らない俺は、なかで自分を縦横無尽に犯していたものが突然短小になるなど初めての経験で、どうしたらいいのか判らなくなる。
「なんでっ・・・ノアっ」
「どうですか?カイ。抜かれる感覚、ありますか?」
決定的な刺激が欲しくて俺は身悶えてるっていうのに、ノアは何か研究者のような事を言い出して、俺は物凄く苛ついた。
「抜かれる感覚なんて・・・んくっ・・あるわけないだろっ・・・俺が座ってんだぞっ・・・あっ・・・もう・・なんで・・こんな・・あっ・・もっと・・ちゃんと・・いかせろっ」
「ああ、泣かないでカイ。ただ私は、焦れるカイ、を再現したかっただけなんです。許してくれますか?」
いつのまにか泣いていたらしい俺の涙を指で掬うと、ノアは俺を木馬から下ろしベッドまで丁寧に運んでくれた。
「んっ」
快楽の絶頂を極める寸前だった俺は、そんな僅かな振動にも身体を震わせ、諸悪の根源だというのにも関わらず、ノアに縋ってしまう。
「カイ。いくのは、私ので、ね?」
指を絡ませ合って手を繋ぎ、見つめ合いながらノアが俺のなかに入って来る。
「んっ・・ああ」
淫具とは違う、物凄い熱を感じるそれに、俺は目を閉じて感じ入ってしまう。
「ああ・・・カイのなか・・・すごく熱い」
そして聞こえるノアの声も充足感に溢れていて、そのことが俺はとても嬉しく、もっと満たされて欲しいと願う。
「ノア・・もっと感じて・・もっとおれで・・気持ちよくなって」
だから、ともすれば直ぐにも達しそうになるのを堪え、俺は腰をあげ、アナルを意識して収縮させてノアの陰茎に絡みつかせる。
「ああ・・すごくいいです・・カイ・・カイももっと感じて・・もっと乱れて」
そして始まった抽挿は、俺のなかを更に溶かし、ノアをもっと奥へと誘っていく。
「ノア・・・すき・・だいすき・・んあっ」
「私も・・愛していますよ・・・カイ・・っ」
段々と激しさを増す抽挿。
俺はノアの背を抱き締め、ノアも強く俺を抱き込み、抱き締める。
汗で手が滑り、俺の手がシーツに落ちれば、ノアが愛おしそうに手首に口づける。
くらくらと眩暈がするなか、俺はノアだけを感じ、ふたりの堺も無いほどに溶け合うのを感じる。
「んっ・・あっ・・・あっ・・あっ」
そうして懸命に腰を動かし、ノアの熱を堪能していると、不意に両足を深く織り込まれ、そのまま持ち上げられて、俺の身体は丸まるような形になった。
「カイ・・・」
その動きで、俺はノアが何をしようとしているのかを察した。
俺の奥の奥、そこへノアは侵入しようとしているのだ、と。
「ノア・・いいぜ・・ぶちぬいて」
恐怖が無いと言えば嘘になる。
それでも俺も、もっと奥にノアが欲しいと思う。
疼く身体と恐怖を隠して、挑発するように言えばノアは苦笑して俺の前髪をかきあげた。
「言い方」
「なんだよ・・かわいくなくて・・っ・・わるかったなっ・・んあっ」
「いいえ・・いつだってカイは可愛いです・・大丈夫・・怖がらないで」
宥めるような口づけを繰り返しながら、ノアはその身体を使って俺の身体をほぼ垂直に固定する。
そうして、ぎりぎりまで引き抜いた陰茎を、一息に突き込んで来た。
「あっ・あっ・あああっ」
その衝撃で、俺は全身をばねのように弾ませてしまう。
俺の足を掴んだノアは、その熱杭を上から突き刺すように突き入れ、そのまま容赦ない抽挿を繰り返す。
その熱量は益々増していき、容易に俺の奥深くへと侵入を果たした。
「あっ・・そこっ・・ふかいっ」
くぽくぽ、と俺のなかから音がするような感覚。
「カイっ・・・いきますよ・・・っ」
幾度もそこに口づけるように陰茎を触れさせたノアは、俺の足に口づけた後、一気にそこへと突き込んだ。
「くっ・・・カイ・・凄い・・・っ・・気持ちいいですよ・・・っ」
途端、ぐぽっ、と俺のなかが蠢き、ノアの陰茎に吸い付いて離さないと言わぬばかりの動きをすれば、ノアが余裕の無い声をあげる。
「ノアっ・・ノアっ・・っ」
それが嬉しくて、もっと感じさせたいのに、ノアの技量の前に俺は歓楽するしかなくて。
「ああ・・カイ・・っ・・カイっ」
激しさを増すノアの動きに懸命に付いて行っているようで、翻弄されながら、俺は只管に身体の奥でノアの熱を感じ続ける。
その最奥でノアが弾け、存分に熱い飛沫を注ぎ込むのを感じると同時、それがとどめでもあったかのように、俺も身体を仰け反らせ、絶叫しながら果てた。
「ノア・・・」
「カイ」
荒い息のまま交わす口づけ。
感じるノアの心に堪らない至福が込み上げて、俺は絶頂の余韻に浸る。
「カイ・・カイ」
俺のなかから陰茎を引き抜いたノアが、その体重をかけないように俺を抱き締め、優しい口づけを繰り返す。
「ノア」
整い始めた息を吹きかけるようにノアの手を取り口づければ、ノアも同じように俺の手を取り口づけた。
そのまま指を絡ませ合い、額を合わせて見つめ合う。
凄い。
幸せ。
ノアに会うまで、こんな心まで蕩けるような幸せを味わったことのない俺は、この時間をとても大切なものに思う。
「カイと出会って、私は本当の幸せを知りました」
すると、ノアに同じような事を言われ、俺は益々嬉しくなった。
「俺も。ノアに会うまで、こんな幸福があるって知らなかった」
まあ、始まりはあれだけどな、とは心のなかだけで。
俺は、ノアが抱き寄せるに任せてその胸に額を寄せ、ノアの腕に包まれる幸せを感じる。
この日、ノアが改良した木馬は後日正式に商品として認定され、注文主であった娼館の許可を得て個人にも販売されるようになった。
そして、娼館では、この木馬を用いたショウが人気の演目となり、是非見学に、と言われて閉口することになるなど、この時の俺は思いもしていなかった。
了
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