俺の初恋幼馴染は、漢前な公爵令嬢

夏笆(なつは)

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五、俺と初恋幼馴染のこれから

 

 

 

「え?教諭陣が、総入れ替え?」 

「そうだよ~。漸くだよ~。ランディ、よく頑張ったね」 

「よく頑張った、って・・・え?」 

 卒業まであと半年という頃。 

 ランドルフは、学院の救護室で満面笑みのアランからそう告げられた。 

「遅すぎる気もするけれど、これでやっと安心して勉強できるわね」 

 授業妨害の常習犯である愚王子クリフとその恋人、エイダ・ベーコン男爵令嬢によって、そして、そんな彼等を擁護する教諭陣によって、きちんとした授業を受けられない生徒のため、ミリアムは王家に嘆願し、定期的に特選クラスの生徒が学べる場を確保して来た。 

「よかったな、ミリアム」 

 下手をすれば、王家と生徒達との板挟みとなる。 

 そんなミリアムの苦労を知っているだけに、ランドルフも心から安堵した。 

「ランディの協力のお蔭よ」 

「ミリアムの努力だよ」 

「おお、おお。青春だねぇ。ああ、あと愚王子の側近候補は揃って辞退、ってことになったから。ここにきて、ようやっと国王と王妃も我が子を諦めたみたいだよ」 

 呑気な様子のアランにさらりと言われ、ランドルフは顔を引きつらせる。 

「それ、未だ俺が聞いてはいけない話な気がする」 

「別に平気だよ。ランディだし」 

「そうよ。それに、どうせ直ぐに発表になるわ」 

「まあ。それもそうか」 

 王家の正式発表の前に、ミリアムのみならず、アランもそれを知っている。 

 それがアランの立場を知らしめすと共に、恐らく有力貴族の当主は掴んでいる情報なのだろうとランドルフは思った。 

 

 というか、彼等がそう操作した確率の方が高いのか。 

 

 何はともあれ、これで乱れた学院の規律も整う、とランドルフは安堵のため息を吐いた。 

 

 

 そして、教諭陣が一新されたその直ぐ後。 

 成績不振により卒業が見込めないと、愚王子クリフとその恋人エイダが、学院を退学となった。 

 留年するか、退学するかの選択を迫られた王家が、留年したとしても卒業できそうもないという判断を下し、退学の道を選んだらしい。 

 王族、貴族として生きていくために必須とされる学院の卒業。 

 それを得る事の出来なかった愚王子クリフは、これにより実質の廃嫡となったことは周知の事実であるのに、愚かにも本人だけが、それを認識していなかった。 

「俺は、唯一の王子だからな。学院の卒業など不要なのだ」 

「そうなのね!」 

「ああ。そして、俺の愛するエイダ。お前もまた、俺の王妃となるのだから、学院の卒業は不要だ」 

「嬉しい!」 

 

 なんだ、あれ。 

 

 学院生で居られる最後の日。 

 手続きを自分でするわけでも無いのに、何故かエイダと共に現れた愚王子クリフは、わざわざ昼時の食堂で、ふたりの姿を見せつけた。 

 

 国王となるから、学院卒業の事実は不要? 

 何を言っているんだ。 

 それに、未だミリアムが貴様の婚約者だろうが! 

 

 内心の怒りを堪えていたランドルフは、友人の子息達に、どうどう、と宥められた。 

「バラクロフ公爵令嬢は、もうすぐ念願の婚約破棄だろう?」 

「きっと、愚王子様が張り切って婚約破棄してくれるぜ」 

「だな。どちらが有責なのかなど、考えもしないだろうから」 

 エイダとの真実の愛に酔っている愚王子クリフをそう酷評して、友人子息達はランドルフに囁く。 

「そうなったら、すぐさま行けよ」 

「遅れを取るな」 

「バラクロフ公爵令嬢も、お前を待っているんだから」 

 子どもの頃からの付き合いであるからか、子息達は遠慮がない。 

 そして、心からランドルフとミリアムの事を心配し、応援してくれている。 

「ああ。遅れなど取らない。絶対に」 

 凛と言い切って、ランドルフは強く拳を握った。 



~・~・~・~・~・~・ 

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