11 / 25
第一章 復讐の少女。
第九話 唐突の襲撃
しおりを挟む
翌日、昨日と同じ頃の同じ出入り門前。
今日もステーデと狩りに行くために待っていた。
今日の狩りはステーデの要望で、俺と二人で狩りに行きたいというのでエレンは来ない。どうやら一人一人と狩りに行って、俺達の事を知り、仲良くなりたいらしい。
エレンはぶつくさ言っていたものの、最後は俺の説得でどうにか引き下がってくれた。
....なにやら「クレインは、私よりスティの方が....」とか何とか言い、しょげていたけど。
それにしてもステーデが自分の考えを提案してくるなんてな。心の距離が縮まった証拠かなぁ。
出会ってまだ二日だけど、俺達のことを信用してくれたのならやっぱり嬉しいものだな。
俺は、森の魔獣の特徴を再度確認しようと思い、腰に巻いた鞄から本を取る。
ステーデが強いと言っても何があるか分からない。
まだ一度しか共に狩りをしていない相手にコンビネーションをとれっていうのは難しい話だ。
ならせめて、情報ぐらいしっかりしないとな。
それからしばらく時間がたち、視界の先でステーデが走ってくるのが見えた。
「す、すみません!! 昨日の夜、長く起きていたせいで寝坊してしまって....慌てて準備していたら今度はお皿まで割っちゃって....本当にすみません!!」
何度もステーデが頭を下げてくる。周りの村人が何事だと視線を向けてくるのが痛い。
「い、いや良いよ!! だからそんなに頭を下げない下げないッ! ていうかどうせエレンが寝かせてくれなかったんだろ」
「ま、まぁ....はい....」
「ふぅ..うん。その気持ち分かるよ....」
俺も村に来てすぐの時、宿が見つかるまでの間、村長がエレンの部屋で寝かせてくれたけど....
エレンとはまだ打ち解けきれてない頃だったからなぁ....今みたいに強く当たれなかった俺はアイツに....。
....ん? そういえばステーデをエレンの部屋で寝かせたの俺じゃね?
........うん、オレハシラナイヨ。
「よ、よし。じゃあ行こうかぁッ!!」
「はいッ!!」
ステーデは元気良く返事を返した。
....何故か俺はそのステーデに違和感を覚えた。
......まぁ気のせいか。まだ出会ってすぐだ。ゆっくりお互いの事を知ろう。
俺達は森へ歩き出した。
「これでラストだッ!!」
俺が最後の宙飛兎《キラーラビット》に止めをさし、場は静かになった。
「ふぅ....疲れた。あいつら空をピョンピョン跳ねるんだもんな。ちっとも攻撃が当たりゃしない」
ステーデはキラーラビットの毛皮を剥ぎ取りにかかる。
「そうですね..不規則な動きをするので相手にしたくない魔獣ではありますね。....それにしても凄いですね、クレインさんは」
「ん? なにがだ?」
俺も剥ぎ取りに動き、訪ねる。
「僕と組んでまだ二日目なのに、もう僕との立ち回りを考えて動いています。これは簡単なことじゃないですよ。狩りを初めて一ヶ月の人にはなおさら難しい....いえ、そもそも立ち回りを考えるという発想さえ思い浮かぶかも怪しいですよ」
そんなもんか? まぁ周りの動きを見る癖は......
「多分....サッカーとかバスケと....オンラインゲーム....のおかげかな?」
「....? 何ですか、それ?」
「ん、また今度説明するよ。今は取り敢えず剥ぎ取って狩りを続けよう」
今ここで俺が前世の記憶を持った転生者だと言ってもな。まだ狩りの途中だし落ち着いた時にでも話そう。
ステーデはしばらく俺のことを見つめていたが、すぐに視線を落とし、剥ぎ取りを再開した。
「もう少し日が上ったら昼食にしようか」
それから時間がたち、日が上る。
俺達は森のなかの丘の上へ移動し、昼食を取ることにした。
「ほら、ステーデの分。昨日もハンバーグだったのに悪いな」
「いえッ。僕はこれ、好きですよ」
前世でハンバーグが好きだったこともあり、本物のハンバーグの味に近づける為に試行錯誤している。
肉はほぼ完成したのだがタレがまだいまいちなんだよなぁ.....。
それに、この世界にも米は一応存在するらしいが、この近くでは扱って無いらしく、俺の思う弁当が作れないのだ。悲しいぃなぁ....。
まぁその結果、ハンバーグがメインになるランチになるのでした。
ステーデにハンバーグを渡す。
「ステーデはどんな食べものが好きなんだ? 次狩りにいく時に作れるものなら作ってきてやるぞ」
ハンバーグにかぶりつくステーデに問いかけると、尻尾を振りながらこたえた。
「やっぱりお肉です! 僕達ライカンスロープは狼の特徴と似るんです。僕らは皆お肉ばかり食べてましたよ」
ステーデは尻尾をパタパタ振りながら続ける。何か尻尾可愛いな。....ていうかスカートじゃなくて良かった、捲れて凄いことになってるとこだったよ。
「このハンバーグは、挟んであるお肉は不思議ですよね。やわらかくて食べやすくて、食べると味が広がって、タレがその味を....」
「お、おお。喜んでくれて何よりだ」
興奮して語り始めたので、少し強引にだが話を割り込ませた。
彼女は自分が興奮して語っていたことに気付き、顔を赤くするが、少し悲しそうにした。
「皆にも食べほ欲しかったな....」
「ステーデ....」
突然ステーデは立ち上がると木々の生える方へ歩き出し、赤面した顔を俺に振り向かせる。
「すみません、その....少しお花摘みに....」
お花摘み? ここら辺に花何て咲いてたっけ....あっ!!
「お、おう!! ゆっくりどうぞ!!」
ステーデは一礼するとトテトテ小走りで木々の中へ消えていった。
魔獣に襲われる心配もあったが、まぁ«索敵»の範囲内、ある程度離れていても居場所は分かるし大丈夫だろう。....少し罪悪感有るけど。
俺は食べてる途中だった弁当を全部食べ終え、草むらの上に横になる。
空が青いなぁ....雲一つ無い快晴だ。
気温もちょうど良くてポカポカする。
そういえば気にしてなかったけど、今は季節的には春なのかな。
「ふぁ~~....。眠眠ぅ」
....それにしても一つ気がありなことが合ったな。
なんであんなところにキラーラビットが居たんだ?
Cランクの魔獣、宙跳兎《キラーラビット》。固有スキル【宙蹴り】で空を跳んで敵を翻弄し、その鋭利な牙で肉を食い千切る厄介な魔獣。
コイツらは小さな群れで行動することがあり、大きな群れの場合その数と動きで大型の魔獣を狩ることも出来ると言われており、この時の危険度はBランク相当にまで跳上がるらしい。
本当はもっと森の奥へ行かなければ遭遇することは無いはずだが....なにか森の奥であったのだろうか。
「村長に伝えておかないと行けないかなぁこれは」
そんなことを考えていると、うとうととしてきた。
やっばい、物凄い眠い。
少しぐらい、眠ってもいいかなぁ....。
........っ!? 何だ!?
【索敵】範囲内に微かな魔力の反応がした。この魔力はステーデの物じゃない、意図的に魔力を押さえている....ただ魔力を押さえてるわけじゃないな、【潜伏】スキルで自分の気配、魔力を隠す感じだ。俺も【潜伏】を所持しているからわかる。
ステーデは何処だ。【索敵】範囲内に居ないのかそれらしい魔力の反応が無い。
隠れたのか逃げたのか、襲われてしまったのか....。
ステーデの名前を叫んで探したい衝動に駆られるが今は押さえる。
「クッ、どうするか....ステーデのことが気がかりだけど、周りに隠れてる奴らがどう動くか....」
よくよく【索敵】の反応を感じてみると複数いるぞ、コイツら。
隠れてるソイツは俺にバレてることに気づいたのか、森の木々の中から姿を現した。
ソイツ等は....図体の大きな白銀の毛を持つ狼だった。
「なッ!? なんでこんな所に《アイスファング》が!?」
B-ランクの魔獣、氷牙狼《アイスファング》。この森に生息する最上位のランクを持つ魔獣の一種。
その氷の牙と爪は傷付けたものをを凍らせ、凍傷に追い込む。
それだけが特徴ならまだ良かったのだが、異様なほど仲間との連携が上手く、リーダーを仕止めない限り生き延びるのは難しいとまで言われている魔獣だ。
本来、森の奥の奥、小さな洞窟の中で暮らしているはずの魔獣だ。なぜ、こんなところに居るんだ。
俺は焦る気持ちを抑えて冷静に考える、そう努力する。
....ただわかったことは、恐らくキラーラビットはこのアイスファングから逃れる為にあんな所に出没しただろうこと。
くそ、今は何故と考える前にこの場をどうにかしないと、死ぬ。
俺だけじゃない、ステーデの居場所が分からないしこのままコイツ等を放っておけば村にも被害が及ぶ。
「殺ってやるしかないか....ッ」
数は十数匹。その内二匹が正面から突っ込んでくる。
速いッ。辛うじて二匹の攻撃をかわし、反撃しようと背に担ぐ剣に手を伸ばす。が、視界の端に息を大きく吸い込み、こちらを見ている別の氷牙狼の姿を捉える。
咄嗟にその場を転がるように離れると、今居た場所に極低温の吐息がその場を凍らせた。
氷牙狼の固有スキル、恐らく【氷結吐息】だろう。あれをまともに浴びていたら、ただでは済まなかった。
アイスファングは息つく暇を与えず、すぐさま襲いかかってくる。
再び飛びかかってくる氷牙狼をしゃがんでかわし、頭上を跳ぶ氷牙狼の体を切り裂く。
だが、しゃがんだ姿勢を整える暇を与えることなく、別の仲間がやって来る。
一匹の前足を左腕の【部分装甲】で受け止めるが、別の仲間の爪を受け止めきれず、左足を掠める。
「くッ!」
左足はただ掠めただけにもかかわらず、その傷を中心にパキパキッと凍る。
これがアイスファングがB-ランクに位置する一つの理由であり名前の由来である固有スキル、【氷牙】。その氷の爪はつけた傷を凍らせる。それが掠めただけのものであっても、凍傷を負わせる。
分が悪すぎるッ。
やはり逃げたほうがいいのかとも考えるが、氷牙狼達はその隙を与えない。
足に凍傷を負いながらも何とか左腕で抑えたアイスファングを仕止めるが再び【アイスブレス】を吐いてくる。
それを直撃する瞬間に【インパクト】を使って霧散させ、防ぐ。
厄介なスキルだけじゃない、あいつ等の連携も上手すぎるのが一番辛いな。
一匹の攻撃防いでる間にもう一匹が攻撃を仕掛ける。仲間が殺られても、相手に息つく暇を与えず絶え間なく攻撃を続ける。
ただの魔獣の群れでは見ない連携上手さ。やはり何処かに群れのリーダーがいて、何らかの手段で指示を出しているのだろう。
リーダーを見つけて潰すか、群れの数を減らすか。
リーダーを潰せれば大きく戦況は変わる....かも知れない。
いや、先に数を減らして、リーダーを見つけ出すっ!!
リーダーを見つけるのは今の状況じゃ困難だ。
エレンに教えてもらった、あのスキルを使うことが出来れば一気に数を減らせるだろう。
だがその為には、詠唱するだけの状況を作り出さなければならない。
「うおぉぉぉぁ!!」
襲いかかる二匹の氷牙狼を剣で切り裂き、【部分装甲】で殴り付ける。
そして再び【アイスブレス】を放とうとする仲間の姿が目に映る。
射線の横を走り抜けてかわそうとするが、すぐに考え直し【宙蹴り】を最大限活用して、空高く飛び上がる。
下を見れば草むらとそこに集まるアイスファングの群れ。
周りを見渡せば丘の上ということもあり絶景。こんな状況じゃなければ景色を楽しむのだけれども。
この高さなら氷牙狼の【アイスブレス】の射線の外、あいつ等も簡単には追撃できない。
今ならスキル発動の為に詠唱できる。
「《風よ、嵐よ。その大いなる自然の力を今、我が身を守り奴等を切り裂く刃となれ》!!」
俺は群れの真ん中に着地し、そのスキルを発動する。
「【斬嵐】!!」
俺を中心に嵐が起きる。それは丘の上を包む程度の小さな嵐だが、吹き荒れる風一つ一つが刃となり氷牙狼達を切り裂いていく。
エクストラスキル【スラント·テンペスト】。
殲滅用のアサルトスキルで、範囲、持続時間は消費魔力に依存し仲間も巻き込む危険性も有るため余り使われないスキルの一つだ。
スキルスロットの制限の無い俺は、念のためにと教えてもらっていたのだ。まだ、出来が悪く、消費魔力の調整がうまく出来ないが....覚えておいて良かった。
小さな刃の嵐がおさまると、そこには十を越える死体と傷を負った四匹の氷牙狼達の姿。
一匹を中心に幾つもの死体と仲間が守るように寄り添っている。恐らくアイツがリーダーだ。
俺が一歩踏み出すと、奴等は威嚇を始めた。その様子を見て、やれると確信する。
本来の奴等なら威嚇などせず、直ぐさま自分から攻撃を仕掛けてくる。
俺は残った氷牙狼達に【ウインドブラスト】を放ちながら走り出す。
氷牙狼はかわそうとせず、リーダーを庇うために自分から暴風に当たりに行く。リーダーに逆らわない、リーダーが全てという群れの掟だろうか、それが仇となる。
リーダーは足を怪我しているらしく動けない。
残った二匹の仲間を剣で仕止め、残ったリーダーの前にたつ。
リーダーは怪我をした足を無理に動かして攻撃を仕掛けてきたが、俺はそれを軽くかわして、その首をはねた。
《報告。ユニークスキル【可能性獲得】の効果発動。アイスファング討伐により、固有スキル【氷牙】、エクストラスキル【思念伝達】を獲得しました》
頭の中に、幻書の声によるスキル獲得の報告が響く。
丘の上には、俺一人だけが残った。
「何とか....なったか....」
自分の負った傷を確認してみると、案の定と言うか治っていた。
「凍傷も治るのか....まだ、少し冷えてるけどそれだけか....」
本当に凄いスキルだな、【肉体超再生】。
....氷牙狼《アイスファング》。やっぱり、おかしい。
ここに居る筈がない。あいつ等はこの森の主に近い存在、狩り場には困っていないはず。
そんな奴等がここにいるのは....B-の魔獣を脅かす存在がいるか、何者かが意図的に誘い出したか。
....今考えても拉致があかないか。
それに居なくなったステーデを探さないと。先ほどからずっと【索敵】にステーデの魔力が反応しない。
俺は気持ちが焦り、駆け出そうとする。
と、その時。ステーデの魔力を捉え、同時に木々の向こうの草むらから彼女が姿を現した。
「ステーデ!! 大丈夫だったか!?」
彼女は、土や葉でまみれた服を叩きながら近づいてくる。
「はい....大丈夫です」
その声を聞き、安堵する。その場に座り込みそうになるのを抑える。
「さっき、アイスファングが襲ってきてな....。村長にこの事を早く伝えないと村にも被害が出るかも知れないな。....でもまぁ、ひとまずお前が無事なら良かったよ。怪我とかは....」
「....クレインさん」
俺がステーデの無事を確認しようとすると、彼女はそれを遮った。
「ん? どうし....」
「ごめんなさい」
本能が避けろと伝えてきた。その通りに俺は動いた。
そして....俺の左腕が無くなった。
彼女の手によって、飛ばされた。
今日もステーデと狩りに行くために待っていた。
今日の狩りはステーデの要望で、俺と二人で狩りに行きたいというのでエレンは来ない。どうやら一人一人と狩りに行って、俺達の事を知り、仲良くなりたいらしい。
エレンはぶつくさ言っていたものの、最後は俺の説得でどうにか引き下がってくれた。
....なにやら「クレインは、私よりスティの方が....」とか何とか言い、しょげていたけど。
それにしてもステーデが自分の考えを提案してくるなんてな。心の距離が縮まった証拠かなぁ。
出会ってまだ二日だけど、俺達のことを信用してくれたのならやっぱり嬉しいものだな。
俺は、森の魔獣の特徴を再度確認しようと思い、腰に巻いた鞄から本を取る。
ステーデが強いと言っても何があるか分からない。
まだ一度しか共に狩りをしていない相手にコンビネーションをとれっていうのは難しい話だ。
ならせめて、情報ぐらいしっかりしないとな。
それからしばらく時間がたち、視界の先でステーデが走ってくるのが見えた。
「す、すみません!! 昨日の夜、長く起きていたせいで寝坊してしまって....慌てて準備していたら今度はお皿まで割っちゃって....本当にすみません!!」
何度もステーデが頭を下げてくる。周りの村人が何事だと視線を向けてくるのが痛い。
「い、いや良いよ!! だからそんなに頭を下げない下げないッ! ていうかどうせエレンが寝かせてくれなかったんだろ」
「ま、まぁ....はい....」
「ふぅ..うん。その気持ち分かるよ....」
俺も村に来てすぐの時、宿が見つかるまでの間、村長がエレンの部屋で寝かせてくれたけど....
エレンとはまだ打ち解けきれてない頃だったからなぁ....今みたいに強く当たれなかった俺はアイツに....。
....ん? そういえばステーデをエレンの部屋で寝かせたの俺じゃね?
........うん、オレハシラナイヨ。
「よ、よし。じゃあ行こうかぁッ!!」
「はいッ!!」
ステーデは元気良く返事を返した。
....何故か俺はそのステーデに違和感を覚えた。
......まぁ気のせいか。まだ出会ってすぐだ。ゆっくりお互いの事を知ろう。
俺達は森へ歩き出した。
「これでラストだッ!!」
俺が最後の宙飛兎《キラーラビット》に止めをさし、場は静かになった。
「ふぅ....疲れた。あいつら空をピョンピョン跳ねるんだもんな。ちっとも攻撃が当たりゃしない」
ステーデはキラーラビットの毛皮を剥ぎ取りにかかる。
「そうですね..不規則な動きをするので相手にしたくない魔獣ではありますね。....それにしても凄いですね、クレインさんは」
「ん? なにがだ?」
俺も剥ぎ取りに動き、訪ねる。
「僕と組んでまだ二日目なのに、もう僕との立ち回りを考えて動いています。これは簡単なことじゃないですよ。狩りを初めて一ヶ月の人にはなおさら難しい....いえ、そもそも立ち回りを考えるという発想さえ思い浮かぶかも怪しいですよ」
そんなもんか? まぁ周りの動きを見る癖は......
「多分....サッカーとかバスケと....オンラインゲーム....のおかげかな?」
「....? 何ですか、それ?」
「ん、また今度説明するよ。今は取り敢えず剥ぎ取って狩りを続けよう」
今ここで俺が前世の記憶を持った転生者だと言ってもな。まだ狩りの途中だし落ち着いた時にでも話そう。
ステーデはしばらく俺のことを見つめていたが、すぐに視線を落とし、剥ぎ取りを再開した。
「もう少し日が上ったら昼食にしようか」
それから時間がたち、日が上る。
俺達は森のなかの丘の上へ移動し、昼食を取ることにした。
「ほら、ステーデの分。昨日もハンバーグだったのに悪いな」
「いえッ。僕はこれ、好きですよ」
前世でハンバーグが好きだったこともあり、本物のハンバーグの味に近づける為に試行錯誤している。
肉はほぼ完成したのだがタレがまだいまいちなんだよなぁ.....。
それに、この世界にも米は一応存在するらしいが、この近くでは扱って無いらしく、俺の思う弁当が作れないのだ。悲しいぃなぁ....。
まぁその結果、ハンバーグがメインになるランチになるのでした。
ステーデにハンバーグを渡す。
「ステーデはどんな食べものが好きなんだ? 次狩りにいく時に作れるものなら作ってきてやるぞ」
ハンバーグにかぶりつくステーデに問いかけると、尻尾を振りながらこたえた。
「やっぱりお肉です! 僕達ライカンスロープは狼の特徴と似るんです。僕らは皆お肉ばかり食べてましたよ」
ステーデは尻尾をパタパタ振りながら続ける。何か尻尾可愛いな。....ていうかスカートじゃなくて良かった、捲れて凄いことになってるとこだったよ。
「このハンバーグは、挟んであるお肉は不思議ですよね。やわらかくて食べやすくて、食べると味が広がって、タレがその味を....」
「お、おお。喜んでくれて何よりだ」
興奮して語り始めたので、少し強引にだが話を割り込ませた。
彼女は自分が興奮して語っていたことに気付き、顔を赤くするが、少し悲しそうにした。
「皆にも食べほ欲しかったな....」
「ステーデ....」
突然ステーデは立ち上がると木々の生える方へ歩き出し、赤面した顔を俺に振り向かせる。
「すみません、その....少しお花摘みに....」
お花摘み? ここら辺に花何て咲いてたっけ....あっ!!
「お、おう!! ゆっくりどうぞ!!」
ステーデは一礼するとトテトテ小走りで木々の中へ消えていった。
魔獣に襲われる心配もあったが、まぁ«索敵»の範囲内、ある程度離れていても居場所は分かるし大丈夫だろう。....少し罪悪感有るけど。
俺は食べてる途中だった弁当を全部食べ終え、草むらの上に横になる。
空が青いなぁ....雲一つ無い快晴だ。
気温もちょうど良くてポカポカする。
そういえば気にしてなかったけど、今は季節的には春なのかな。
「ふぁ~~....。眠眠ぅ」
....それにしても一つ気がありなことが合ったな。
なんであんなところにキラーラビットが居たんだ?
Cランクの魔獣、宙跳兎《キラーラビット》。固有スキル【宙蹴り】で空を跳んで敵を翻弄し、その鋭利な牙で肉を食い千切る厄介な魔獣。
コイツらは小さな群れで行動することがあり、大きな群れの場合その数と動きで大型の魔獣を狩ることも出来ると言われており、この時の危険度はBランク相当にまで跳上がるらしい。
本当はもっと森の奥へ行かなければ遭遇することは無いはずだが....なにか森の奥であったのだろうか。
「村長に伝えておかないと行けないかなぁこれは」
そんなことを考えていると、うとうととしてきた。
やっばい、物凄い眠い。
少しぐらい、眠ってもいいかなぁ....。
........っ!? 何だ!?
【索敵】範囲内に微かな魔力の反応がした。この魔力はステーデの物じゃない、意図的に魔力を押さえている....ただ魔力を押さえてるわけじゃないな、【潜伏】スキルで自分の気配、魔力を隠す感じだ。俺も【潜伏】を所持しているからわかる。
ステーデは何処だ。【索敵】範囲内に居ないのかそれらしい魔力の反応が無い。
隠れたのか逃げたのか、襲われてしまったのか....。
ステーデの名前を叫んで探したい衝動に駆られるが今は押さえる。
「クッ、どうするか....ステーデのことが気がかりだけど、周りに隠れてる奴らがどう動くか....」
よくよく【索敵】の反応を感じてみると複数いるぞ、コイツら。
隠れてるソイツは俺にバレてることに気づいたのか、森の木々の中から姿を現した。
ソイツ等は....図体の大きな白銀の毛を持つ狼だった。
「なッ!? なんでこんな所に《アイスファング》が!?」
B-ランクの魔獣、氷牙狼《アイスファング》。この森に生息する最上位のランクを持つ魔獣の一種。
その氷の牙と爪は傷付けたものをを凍らせ、凍傷に追い込む。
それだけが特徴ならまだ良かったのだが、異様なほど仲間との連携が上手く、リーダーを仕止めない限り生き延びるのは難しいとまで言われている魔獣だ。
本来、森の奥の奥、小さな洞窟の中で暮らしているはずの魔獣だ。なぜ、こんなところに居るんだ。
俺は焦る気持ちを抑えて冷静に考える、そう努力する。
....ただわかったことは、恐らくキラーラビットはこのアイスファングから逃れる為にあんな所に出没しただろうこと。
くそ、今は何故と考える前にこの場をどうにかしないと、死ぬ。
俺だけじゃない、ステーデの居場所が分からないしこのままコイツ等を放っておけば村にも被害が及ぶ。
「殺ってやるしかないか....ッ」
数は十数匹。その内二匹が正面から突っ込んでくる。
速いッ。辛うじて二匹の攻撃をかわし、反撃しようと背に担ぐ剣に手を伸ばす。が、視界の端に息を大きく吸い込み、こちらを見ている別の氷牙狼の姿を捉える。
咄嗟にその場を転がるように離れると、今居た場所に極低温の吐息がその場を凍らせた。
氷牙狼の固有スキル、恐らく【氷結吐息】だろう。あれをまともに浴びていたら、ただでは済まなかった。
アイスファングは息つく暇を与えず、すぐさま襲いかかってくる。
再び飛びかかってくる氷牙狼をしゃがんでかわし、頭上を跳ぶ氷牙狼の体を切り裂く。
だが、しゃがんだ姿勢を整える暇を与えることなく、別の仲間がやって来る。
一匹の前足を左腕の【部分装甲】で受け止めるが、別の仲間の爪を受け止めきれず、左足を掠める。
「くッ!」
左足はただ掠めただけにもかかわらず、その傷を中心にパキパキッと凍る。
これがアイスファングがB-ランクに位置する一つの理由であり名前の由来である固有スキル、【氷牙】。その氷の爪はつけた傷を凍らせる。それが掠めただけのものであっても、凍傷を負わせる。
分が悪すぎるッ。
やはり逃げたほうがいいのかとも考えるが、氷牙狼達はその隙を与えない。
足に凍傷を負いながらも何とか左腕で抑えたアイスファングを仕止めるが再び【アイスブレス】を吐いてくる。
それを直撃する瞬間に【インパクト】を使って霧散させ、防ぐ。
厄介なスキルだけじゃない、あいつ等の連携も上手すぎるのが一番辛いな。
一匹の攻撃防いでる間にもう一匹が攻撃を仕掛ける。仲間が殺られても、相手に息つく暇を与えず絶え間なく攻撃を続ける。
ただの魔獣の群れでは見ない連携上手さ。やはり何処かに群れのリーダーがいて、何らかの手段で指示を出しているのだろう。
リーダーを見つけて潰すか、群れの数を減らすか。
リーダーを潰せれば大きく戦況は変わる....かも知れない。
いや、先に数を減らして、リーダーを見つけ出すっ!!
リーダーを見つけるのは今の状況じゃ困難だ。
エレンに教えてもらった、あのスキルを使うことが出来れば一気に数を減らせるだろう。
だがその為には、詠唱するだけの状況を作り出さなければならない。
「うおぉぉぉぁ!!」
襲いかかる二匹の氷牙狼を剣で切り裂き、【部分装甲】で殴り付ける。
そして再び【アイスブレス】を放とうとする仲間の姿が目に映る。
射線の横を走り抜けてかわそうとするが、すぐに考え直し【宙蹴り】を最大限活用して、空高く飛び上がる。
下を見れば草むらとそこに集まるアイスファングの群れ。
周りを見渡せば丘の上ということもあり絶景。こんな状況じゃなければ景色を楽しむのだけれども。
この高さなら氷牙狼の【アイスブレス】の射線の外、あいつ等も簡単には追撃できない。
今ならスキル発動の為に詠唱できる。
「《風よ、嵐よ。その大いなる自然の力を今、我が身を守り奴等を切り裂く刃となれ》!!」
俺は群れの真ん中に着地し、そのスキルを発動する。
「【斬嵐】!!」
俺を中心に嵐が起きる。それは丘の上を包む程度の小さな嵐だが、吹き荒れる風一つ一つが刃となり氷牙狼達を切り裂いていく。
エクストラスキル【スラント·テンペスト】。
殲滅用のアサルトスキルで、範囲、持続時間は消費魔力に依存し仲間も巻き込む危険性も有るため余り使われないスキルの一つだ。
スキルスロットの制限の無い俺は、念のためにと教えてもらっていたのだ。まだ、出来が悪く、消費魔力の調整がうまく出来ないが....覚えておいて良かった。
小さな刃の嵐がおさまると、そこには十を越える死体と傷を負った四匹の氷牙狼達の姿。
一匹を中心に幾つもの死体と仲間が守るように寄り添っている。恐らくアイツがリーダーだ。
俺が一歩踏み出すと、奴等は威嚇を始めた。その様子を見て、やれると確信する。
本来の奴等なら威嚇などせず、直ぐさま自分から攻撃を仕掛けてくる。
俺は残った氷牙狼達に【ウインドブラスト】を放ちながら走り出す。
氷牙狼はかわそうとせず、リーダーを庇うために自分から暴風に当たりに行く。リーダーに逆らわない、リーダーが全てという群れの掟だろうか、それが仇となる。
リーダーは足を怪我しているらしく動けない。
残った二匹の仲間を剣で仕止め、残ったリーダーの前にたつ。
リーダーは怪我をした足を無理に動かして攻撃を仕掛けてきたが、俺はそれを軽くかわして、その首をはねた。
《報告。ユニークスキル【可能性獲得】の効果発動。アイスファング討伐により、固有スキル【氷牙】、エクストラスキル【思念伝達】を獲得しました》
頭の中に、幻書の声によるスキル獲得の報告が響く。
丘の上には、俺一人だけが残った。
「何とか....なったか....」
自分の負った傷を確認してみると、案の定と言うか治っていた。
「凍傷も治るのか....まだ、少し冷えてるけどそれだけか....」
本当に凄いスキルだな、【肉体超再生】。
....氷牙狼《アイスファング》。やっぱり、おかしい。
ここに居る筈がない。あいつ等はこの森の主に近い存在、狩り場には困っていないはず。
そんな奴等がここにいるのは....B-の魔獣を脅かす存在がいるか、何者かが意図的に誘い出したか。
....今考えても拉致があかないか。
それに居なくなったステーデを探さないと。先ほどからずっと【索敵】にステーデの魔力が反応しない。
俺は気持ちが焦り、駆け出そうとする。
と、その時。ステーデの魔力を捉え、同時に木々の向こうの草むらから彼女が姿を現した。
「ステーデ!! 大丈夫だったか!?」
彼女は、土や葉でまみれた服を叩きながら近づいてくる。
「はい....大丈夫です」
その声を聞き、安堵する。その場に座り込みそうになるのを抑える。
「さっき、アイスファングが襲ってきてな....。村長にこの事を早く伝えないと村にも被害が出るかも知れないな。....でもまぁ、ひとまずお前が無事なら良かったよ。怪我とかは....」
「....クレインさん」
俺がステーデの無事を確認しようとすると、彼女はそれを遮った。
「ん? どうし....」
「ごめんなさい」
本能が避けろと伝えてきた。その通りに俺は動いた。
そして....俺の左腕が無くなった。
彼女の手によって、飛ばされた。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる