ts悪食竜人

うんこ

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ダイヤモンド・ドラゴニュート

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世界を北に進んだ果てにサルヴィ高原という未開の地がある。

その高原の南西の泉に佇むのは角と鱗、尻尾を持った亜人、竜人《ドラゴニュート》だ。

大なり小なり野蛮な雰囲気を持つのがドラゴニュートという種族だがその個体は違った。

ダイヤモンドを溶かし込んだ様な髪を持ち鱗も尻尾も角も金剛石でできている。漂う雰囲気は神秘的で聖女の様な儚げなオーラを纏った女のドラゴニュートだ。ガタガタ言ったが要は君のことだ。

清浄なオーラに誘われたのか雪の妖精が飛んでくる。

 幻想的な光景だと言えるだろう、ここまでは

 君は突然食らいつき妖精を噛みちぎった。飢えた君に近づいた妖精が悪い。なお君が飢えていない時間は年に3時間程しかない。
■□■□
君は今でこそこんな見た目だが前世での君はいつか現れるであろう魔王を打ち倒す為の勇者…その候補生であった。

 死ぬ前の君の一人称はオデだった。一人称から分かるように前世では君は人間の男だった。

ついでにとにかく君は頭が悪かった。
南方の蛮族の出であるため倫理観もヤバかった。
その癖力だけは勇者候補生の中でも最強格であった為質が悪かった。

死因もゴブリン共の策に引っかかり大穴に落とされ生き埋めにされて餓死という間抜けな結末だ。


 転生した今では何かの間違えで面だけは聖女のような儚げな雰囲気を醸し出しているが脳内には今でも食うと殺すの2語しか無い。

 その上暴力で大体解決できるため前世よりも脳が退化して言語も片言になっている。

 蛮族ですらもう少しまともな思考回路をしているだろう。

 前世ですら知力とコミュニケーション能力の低いゴリラだの最悪の部類の蛮族だの勇者候補達の汚点だの事実陳列を受けていたが転生してさらにヤバい化け物と化していた。
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「【冷気操作】を習得しました。」

 雪妖精を食べ終えた君の脳内にアナウンスがなり響く、勇者候補時代から引き継いだ二つのスキルのうちの一つ【鑑定】によるアナウンスだ。

 君の種族、ダイヤモンド・ドラゴニュートの固有スキル、【暴食】による能力コピー。

 効果は単純、食らった対象の身体能力、特殊能力を取り込み自身へ上乗せする。食えば食うほど強化される、そしてその成長には上限が無いという理不尽なまでに凶悪なスキルだが君はあまり大した能力だと思っていない。

 単純に君の素の肉体が強力過ぎるのだ。本気で戦闘をする場合特殊能力ガン無視して爪牙でケリをつけるのが一番速い。
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