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亜竜
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迷宮の魔物の中で最強の種を決めろと言われたら筆頭は悪魔だろう。
高い魔術抵抗力、凶悪な魔法。美しさすら感じてしまうほど人類を殺すのに最適化されたこの種族が対人においては迷宮最強だ。
対人以外なら最強の攻撃魔術である核撃魔術使いの【マイルフィック】が含まれるアンデッドも強いだろう。
それでも世界最強の種族はと言われたら間違いなく龍となる。世界最強の個が龍だったといったほうが近いかもしれない。
そいつ一体が龍の評価を引き上げている。
そいつの名は【金剛龍帝】
たった一体で過去の人類の9割を喰い荒らした化け物。
そこらのチンピラですらを氷河を生み出す魔術を使えるほどに魔法の発展していた過去の世界で世界全ての魔術師の命と引き換えに放たれた月すら滅ぼす第15位階の魔法【月光殲滅】で封印するのがやっとだった正真正銘の怪物だ。
喰らった物の能力をコピーする能力を持ち、物理攻撃はこの世界そのものを歪め、魔法は時間すら支配し、ブレスは概念すら殺し尽くしたと言われる真正の化け物。
金剛騎士と呼ばれる自身の7割程度の戦闘力の眷属を3体まで呼び出す特殊能力まで持っていた。
そして君の眼の前に現れたのは最強生物金剛龍帝の眷属たる龍種。
【ワイバーン】
遅効性の毒を仕込んだ毒爪、竜種故の異常な身体能力、空を飛べることによる圧倒的なアドバンテージ、そして口から吹き出す絶対の死。
死神というものがあるのならそれはきっと竜の形をしているのだろう、そう想像させるだけの恐ろしさをワイバーンは秘めている。
しかしワイバーンは最強生物の眷属であるがそれは龍種である君も同じである。
そして君の種族【ダイヤモンド・ドラゴニュート】は金剛龍帝にもっとも近しい種族だ。
堕ちた神を気取る舞い上がったトカゲに本物の龍というものをを思い知らせてやろう、殺し食らう事で
そう思い君は駆け出した。
◆◇
ワイバーンの【毒爪】が君の腎臓に突き刺さったが体内に入ったありとあらゆる物質を消化吸収する君には毒は効かない。
埒が開かないと考えたのか後ろに飛び退いたワイバーンが口内に熱気を収束させた。竜種の最大の武器、【ブレス】だ。
牽制程度の効果しかない生温い火でもない。【炎無効】等のスキルだけで無効化できるような舐めた火でもない、竜種が竜種たる、最強生物である所以の獄炎。
前世において数多の戦場をかけてきた君の本能と経験が告げている。
転生後最大のピンチだ、打たれる前にぶち殺せ、やられる前にやれ
摂氏2000度を超す空気が歪むような、余波の熱風だけで内蔵まで灼けるような、具現化した死のような獄炎をワイバーンは吹いた。
所詮炎だ。ろうそくの火に少し触っただけなら無傷なように、一瞬で通り抜ければ単なる火は怖くない、その上【火炎耐性】も持っている、突っ込め!殺せ!食え!そう考えながら致命的な火の壁に【神速】を使用して突っ込んだ。
灼熱で全身をあぶられ物理的な衝撃を伴った熱波によって全身の骨を砕かれた。それでもブレスをわたりきった君は【神速】を使用して加速する視界の中で【領域】にて喉元の急所を探知。
龍の喉元に一枚だけ存在する逆さまの鱗、君も含めた竜種の共通の弱点、そこを起点として細胞の隙間に爪をぶちこみ【剛力】も併用し引き裂き強靱な亜竜の首を跳ねた。
本当に相手がアホで助かった、ワイバーンが飛行しながらブレスを撃っていれば本当に死ぬしか無かった。
それでも今立って生きているのはわたしだ。さっさと勝者の義務と権利を済ませよう。ゲラゲラと笑っている膝を抑え脱力感と疲労と負傷と空腹で立ち上がれなくなりつつも君は思った。
■□
「【毒爪】【飛行】【ブレス】を習得しました」
例の赤、黄、青の3体も美味かったがワイバーンの肉はそれらを軽く上回る、栄養があまり取れていなかったのか若干筋張っているのが残念だがそれでもだ。今も想像しただけで涎が溢れそうになる、それほどの美味だと君は感じた。
【毒爪】は爪の先から毒を分泌できるものの体のどこからでも多種多様な毒を分泌できる【毒物精製】の劣化だ。
【ブレス】は放つのにリソースを必要としないが放った時の威力に応じたクールタイムが必要となる。
2000度ブレスならクールダウンが一日必要になるが威力を下げて放てば一日に5回程度は放てる。
最大火力で放てば格上すら即死させうる切り札に、威力を下げて撃てばノーコストで雑魚を殲滅する便利技になるこのスキルは君が迷宮に入って得た中で最高のものと言えるだろう。
【飛行】に関しては地面から3センチ程ぷかぷか浮かぶだけのゴミみたいな能力だ。
後4、5匹ワイバーンを食べて飛行能力を強化すれば使い物になるだろうがそれまでは足音を消して不意打ちの補助に使うか、罠を飛び越える補助スキルとして使うしかない。
ともあれこれでやっとドラゴンらしくなったなと君はホクホク気分で迷宮の探索を再開した。
君はアホなので強そうな存在―例えば勇者や魔王や龍等―が大好きなのだ。
高い魔術抵抗力、凶悪な魔法。美しさすら感じてしまうほど人類を殺すのに最適化されたこの種族が対人においては迷宮最強だ。
対人以外なら最強の攻撃魔術である核撃魔術使いの【マイルフィック】が含まれるアンデッドも強いだろう。
それでも世界最強の種族はと言われたら間違いなく龍となる。世界最強の個が龍だったといったほうが近いかもしれない。
そいつ一体が龍の評価を引き上げている。
そいつの名は【金剛龍帝】
たった一体で過去の人類の9割を喰い荒らした化け物。
そこらのチンピラですらを氷河を生み出す魔術を使えるほどに魔法の発展していた過去の世界で世界全ての魔術師の命と引き換えに放たれた月すら滅ぼす第15位階の魔法【月光殲滅】で封印するのがやっとだった正真正銘の怪物だ。
喰らった物の能力をコピーする能力を持ち、物理攻撃はこの世界そのものを歪め、魔法は時間すら支配し、ブレスは概念すら殺し尽くしたと言われる真正の化け物。
金剛騎士と呼ばれる自身の7割程度の戦闘力の眷属を3体まで呼び出す特殊能力まで持っていた。
そして君の眼の前に現れたのは最強生物金剛龍帝の眷属たる龍種。
【ワイバーン】
遅効性の毒を仕込んだ毒爪、竜種故の異常な身体能力、空を飛べることによる圧倒的なアドバンテージ、そして口から吹き出す絶対の死。
死神というものがあるのならそれはきっと竜の形をしているのだろう、そう想像させるだけの恐ろしさをワイバーンは秘めている。
しかしワイバーンは最強生物の眷属であるがそれは龍種である君も同じである。
そして君の種族【ダイヤモンド・ドラゴニュート】は金剛龍帝にもっとも近しい種族だ。
堕ちた神を気取る舞い上がったトカゲに本物の龍というものをを思い知らせてやろう、殺し食らう事で
そう思い君は駆け出した。
◆◇
ワイバーンの【毒爪】が君の腎臓に突き刺さったが体内に入ったありとあらゆる物質を消化吸収する君には毒は効かない。
埒が開かないと考えたのか後ろに飛び退いたワイバーンが口内に熱気を収束させた。竜種の最大の武器、【ブレス】だ。
牽制程度の効果しかない生温い火でもない。【炎無効】等のスキルだけで無効化できるような舐めた火でもない、竜種が竜種たる、最強生物である所以の獄炎。
前世において数多の戦場をかけてきた君の本能と経験が告げている。
転生後最大のピンチだ、打たれる前にぶち殺せ、やられる前にやれ
摂氏2000度を超す空気が歪むような、余波の熱風だけで内蔵まで灼けるような、具現化した死のような獄炎をワイバーンは吹いた。
所詮炎だ。ろうそくの火に少し触っただけなら無傷なように、一瞬で通り抜ければ単なる火は怖くない、その上【火炎耐性】も持っている、突っ込め!殺せ!食え!そう考えながら致命的な火の壁に【神速】を使用して突っ込んだ。
灼熱で全身をあぶられ物理的な衝撃を伴った熱波によって全身の骨を砕かれた。それでもブレスをわたりきった君は【神速】を使用して加速する視界の中で【領域】にて喉元の急所を探知。
龍の喉元に一枚だけ存在する逆さまの鱗、君も含めた竜種の共通の弱点、そこを起点として細胞の隙間に爪をぶちこみ【剛力】も併用し引き裂き強靱な亜竜の首を跳ねた。
本当に相手がアホで助かった、ワイバーンが飛行しながらブレスを撃っていれば本当に死ぬしか無かった。
それでも今立って生きているのはわたしだ。さっさと勝者の義務と権利を済ませよう。ゲラゲラと笑っている膝を抑え脱力感と疲労と負傷と空腹で立ち上がれなくなりつつも君は思った。
■□
「【毒爪】【飛行】【ブレス】を習得しました」
例の赤、黄、青の3体も美味かったがワイバーンの肉はそれらを軽く上回る、栄養があまり取れていなかったのか若干筋張っているのが残念だがそれでもだ。今も想像しただけで涎が溢れそうになる、それほどの美味だと君は感じた。
【毒爪】は爪の先から毒を分泌できるものの体のどこからでも多種多様な毒を分泌できる【毒物精製】の劣化だ。
【ブレス】は放つのにリソースを必要としないが放った時の威力に応じたクールタイムが必要となる。
2000度ブレスならクールダウンが一日必要になるが威力を下げて放てば一日に5回程度は放てる。
最大火力で放てば格上すら即死させうる切り札に、威力を下げて撃てばノーコストで雑魚を殲滅する便利技になるこのスキルは君が迷宮に入って得た中で最高のものと言えるだろう。
【飛行】に関しては地面から3センチ程ぷかぷか浮かぶだけのゴミみたいな能力だ。
後4、5匹ワイバーンを食べて飛行能力を強化すれば使い物になるだろうがそれまでは足音を消して不意打ちの補助に使うか、罠を飛び越える補助スキルとして使うしかない。
ともあれこれでやっとドラゴンらしくなったなと君はホクホク気分で迷宮の探索を再開した。
君はアホなので強そうな存在―例えば勇者や魔王や龍等―が大好きなのだ。
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