18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

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第五章

村の異変

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辿り着いた村は荒れていた……
建物の幾つかは倒壊し、作物を育ててたであろう畑はいくつもの塩水石でズタボロと化していた

流石にここまで来ると異常さが物語っている……
俺はアルバートにサインを送るとコクンと小さく頷き、直剣を装備した
こちらもいつでも戦えるように刀を装備すれば、ゆっくりと村を進んでいく
荒れ果てている村だが、人の気配がする……

依頼書に書かれている建物に近付くと扉をノックした
反応が無いと思ったがしばらくして中から音が聞こえた

「誰だ?」  「冒険者ギルド うさうさ亭の者だ 依頼を受けたのでここに馳せ参じた」

そう言うと扉が開き、青年が姿を現した

「急いで中へ 早く!!」

青年の慌てぶりに俺たちがすぐに建物に入ると青年は厳重に扉を施錠した

「すみません……  冒険者の方と思わず、失礼な態度を」

「気にするな 最初は誰とて疑う者だ」

青年が謝ってきたのでそう言い、証明となるギルドのランクタグを見せた
ちなみにうさうさ亭とか、他の冒険者は冒険者ギルドから冒険者の証となるタグを受け取る
それを付けていれば、自分は何処のギルドの冒険者であるか、が証明される
ランクによってタグは更新されるシステムらしく今の俺はBランクという事でシルバータグだ

他の人が付けるとタグに刻まれた魔法文字が見えない仕組みとなってる為、なりすまし等の詐欺には使えないようになっている

「……確かに
改めて今回の依頼をさせてもらいました ノット・ケスラと申します」

「冒険者のシモン・フェルストリーだ
そしてコッチが連れのアルバート・ジェラールだ
さっそく依頼内容を確認したいがその前に……、この村の惨状は何だ?」

自己紹介を済ませ、俺が追求するとノットの表情が暗くなった

「座ってください
話すと長くなります」

ノットに言われ、椅子に座るとコトッと水が出された
見るとそこには年相応の女性が居て、俺と目が合うとペコっとお辞儀するとアルバートにも水を差し出した

「妹のヘックです
再来月には婚姻が控えており、今はその準備の最中でして……」

ノットはそう言っているが表情が暗いままで、そしてゆっくりと俺を見てきた

「先ずは村の惨状について説明いたします
今から二ヶ月ほど前です
突然、人魚や魚人が現れ、村を襲ったのです」

「人魚と魚人が?」

俺がそう聞くとノットはコクンと頷いた

「理由は分かりません……
彼らは村を破壊し、畑も荒らすと村の年若い男女を連れ去ったのです
私と妹はその時、婚姻の話で村を出ていましたのでこのように無事でしたが……」

「で、他の村人は無事なのか?」

アルバートが聞くとノットは頷いて、ヘックに地図を持って来させるとテーブルの上に広げた

「今、無事な村人は皆、隣村に避難させてます
山奥にありますので魚人や人魚が現れることは無いかと……」

「何故、人魚が現れたんだ?
ここから海までは距離があると見るが」

「それについてはここの洞窟だと」

俺が聞くとノットは村から離れたところの場所を指差した

「ここの洞窟は海に繋がっております
もし魚人や人魚が現れるのならばココを通ったと見ていいでしょう」

「若い連中が連れてかれた心当たりは?」

アルバートがそう聞くと首を左右に振った
と、なると人魚達は何らかの目的の為に連れ去ったとみるな……

「こんな事があってせめて妹だけでも避難させたいと思い、婚姻に必要なモノは相手に送り、残りは貴方方に依頼したディズストーンをアクセサリー商に送ることが出来れば、妹を避難させられます」

「ディズストーンに思い入れが?」

そう聞くとノットは寂しそうに笑うと今は空となった棚を見た
そこには小さな少年と少女、そして二人の大人が映った写真立てが置いてあった

「父と母の思い出です
父と母は婚約をしたその日にディズストーンで指輪を作って、お互いの指に嵌めたと聞かされました
だから妹が結婚するのであれば、両親のように仲睦まじい幸せな家庭になってもらいたいと思ったのです」

ノットはそう言っているがヘックを見ると泣きそうになってるのを必死に我慢してるように見える

「お前はどうする?」

「俺はこの村で育った人間です
せめて死ぬのであれば父と母、そして妹との思い出があるここで」

ノットはそう言うとヘックが我慢しきれず、ノットに抱きついて、泣き出した
ヘックが泣き止むまで話が進まなそうと見るに、俺はアルバートを見た

「どう思う?」

「若い連中を攫ったとなると人柱か、労働に使うと見ていいだろうな
だが……  何故、人魚達がこのような行動を取ったのかが分からない」

アルバートの言葉に(確かに……)と頷きながら腕を組む
人魚が若い人間を攫ったとして、何のメリットがある?
そしてその狙いが何なのか、分からない……

「《召喚 リーファ》」

俺は召喚を使い、リーファを呼び出すとリーファは俺を確認するとペコリとお辞儀してきた

「シモン様 どうされましたか?」

「リーファ お前を人魚の国に帰す予定だったが……
問題が起きた」

「何かありましたか?」

俺の言葉に不安そうにリーファが聞いてきたので俺は先程、ノットから聞かされた事を全て伝えた

「そ、そんな……
わ、私の居ない間にそんな……」

リーファは話を聞き終えると自分の故郷の人達がそんな非道に走っていたと知り、手で顔を覆うと泣き出した
リーファも王家の者だ……
自分が知らない間にそんな事を起こしていたと知って、ショックが大きいのは分かる……

「リーファ 人魚達が人間を連れ去る理由、わかるか?」

「……ま、まさか
そんな……、アレは禁忌だってお父様が……」

リーファの側に座り、聞くとリーファが震えた声で呟き出した
そして俺を見ると大粒の涙を流し、震える唇を押さえ、ゆっくりと口を開いた

「理由は……、オーシャンサーペントを目覚めさせる為です
目覚めさせる為には……、多くの血が必要となります……」


リーファはそう言うと我慢できなくなり、俺に抱きつき、大声で泣き叫んだ
自分の家族がそんな非道な事をしようとしているかもしれない……
その現実にリーファが傷つき、子供のように今はただ泣き叫びながら俺の胸に顔を埋めて、しがみついていた
そんなリーファの頭を撫でながら俺はアルバートを見た

「こりゃあ……、実習内容次第では少し抜け出して、人魚の国に殴り込みと行きそうだな」

「そうだな 殴り込んで原因を探り、とりあえずこの件の黒幕をぶっ潰す
それでええか?」

アルバートに言われ、俺は頷くとノットにディズストーンの採取場所だけ地図に書いてもらうとリーファを慰めてから、家を出た

リーファには一度、戻ってもらい、気持ちを整理してもらうことにして……

「さて、先ずは……」  「人魚か、魚人をとっ捕まえて話を聞くことからだな」

そう言うと俺たちはまず森へ入ると洞窟の方に向かって走っていった
森を進むに連れて、ここでは匂うはずのない潮の香りがし出した
そして少し進むと確かに洞窟があった
そしてその洞窟の前に連れ去られた人の靴と思われるモノが落ちていた

「連れ去った時、ここを通っていったんだな」

「しかし確かにこの洞窟入り口の大きさを見るに大勢が通る事も出来るな
若い連中が何名なのかは知らないが余裕で通れるだろうな」

確認を済ませると俺は入り口に結界とトラップを張った
そしてアルバートは結界が突破された場合の為に少し離れた場所をトラップ地獄に変えた

これでまた人魚達がここを通るとなっても結界で通れない
そしてトラップの雨霰に晒される事となるだろう……

「今日は戻るぞ
情報は……、明日集める」

アルバートの言葉に頷きながら俺たちはホテルに戻っていった
こういう時のアルバートは頼りになるんだがな……

普段とのギャップがすごい……
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