続/穂高市役所ストリートビュー年史

十二滝わたる

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蒼ざめた馬を見よ

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 雲一つない青空に夕陽を浴びて青き山々の頂が連なる。絶望の季節に祈りを注げた山々が、長い時を経て同じように目の前に聳え立つ。時は流れは夢だったのか、あの時と何も変わらない山々は答えるはずもない。

 変わらぬ風景のなかで、僕に残されのは過ぎた日々の穏やかな大切な家族との思い出の時間だけだ。それで分過ぎる程の幸福掴んだに違いない。

 けれど、長い時の中で戦い続けた爪痕は諦念とは実らず、どこかに悔恨として小さく残り続ける。最後まで意志に忠実に生きた道程での僅かな悔恨の情を紐解かなければならない。

〈信じるところに現実があるのであり、現実は決して信じさせることはできない。〉そんな言葉を思い出しながら〈拒絶された思想のその意味〉の問いかけに代わる《聞き取れない1300年の時を越えて囁き続ける囁き》を確かめなければならない。

 世界の根幹として立ちはだかる村社会には辟易とする。それは権力と富に固執する者と、それを受け入れ群がる者とで構成される。

 泥濘を遠目に見下ろし、歴史を俯瞰し、美しくもない幻想の山辺の道をゆっくり歩きながら、風に舞い聞き取れない心象の囁きを、我々は見つけなけなければならない。

 果たして、この理念なき時代において、囁きは詩となるまでに増幅するだろうか。黄昏にある本当の美しさは密かに耳元で語ってくれるのであろうか。 
        
 故郷の家は廃墟となり、見慣れた駅裏は再開発で思い出は欠片もなくなり、休日に車の渋滞と人混みで賑わった街の商店街も跡形もなく朽ちている。
 
 過ぎていった高度経済成長とバブル経済とリーマンショックと、経済も景気も長く低迷鬱屈とする時代を経て、村社会の根幹も朽ち果てながら変化しなければならない。

 昭和と平成に別れを告げよう。令和の新しい季節の未来を、我々は過去よりも一層美しく創っていかなければないのだから。

 
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