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追放されたその日の夕暮れ、俺は国境を越え、辺境の街〈バルゴ〉にたどり着いた。
人通りは少なく、石畳も所々欠けている。勇者パーティーにいた頃なら「辺境なんて」と鼻で笑っていたが、今は不思議と心が軽い。
まずは宿を探そう――そう思った矢先、路地裏から怒鳴り声が響いた。
「離せっ! 金なんて持ってない!」
声の主は、薄汚れた外套の少女。二人組の男に腕を掴まれている。
あのまま放っておけば、ろくなことにならないのは明らかだ。
俺は近づき、低く声をかけた。
「その子を放してやれ」
「はぁ? なんだお前、死にてぇのか?」
片方の男が短剣を抜き、俺の胸元に突きつける。
……ふ、と笑ってしまった。
今の俺には、試したいことがあったからだ。
――《世界書き換え:対象“短剣”の存在を消去》
意識を向けた瞬間、男の手から短剣が“なかったこと”になった。
重さが消え、彼はバランスを崩す。
「な、なんだっ……!? 俺の短剣が……!」
もう片方も慌てて腰の剣を抜こうとしたが、それも一瞬で消し去る。
さらに試す。
――《世界書き換え:対象“敵意”を削除》
二人の目から、先ほどまでの険がすっと消えた。
代わりに困惑と戸惑いだけが残る。
「……俺たち、何してたんだっけ?」
「……さあな。行こうぜ」
二人は少女を放し、ふらふらと路地を去っていった。
残された少女は、呆然と俺を見上げる。
「……いま、何をしたの?」
「ただ、少し……書き換えただけだ」
自分でも、この力の全貌は分からない。けれど――
やろうと思えば、命も記憶も、存在すらも書き換えられる。
「助けてくれて……ありがとう。私はリリア。行くあてがないの」
「なら、俺と来るか?」
こうして、俺の最初の仲間ができた。
そして同時に、この力の危険さと可能性を、改めて思い知ることになる
人通りは少なく、石畳も所々欠けている。勇者パーティーにいた頃なら「辺境なんて」と鼻で笑っていたが、今は不思議と心が軽い。
まずは宿を探そう――そう思った矢先、路地裏から怒鳴り声が響いた。
「離せっ! 金なんて持ってない!」
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「はぁ? なんだお前、死にてぇのか?」
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――《世界書き換え:対象“短剣”の存在を消去》
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さらに試す。
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