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権威と権力の恋愛事情
李流と光継の恋対決
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権威と権力の恋愛事情
1、日嗣の宮
一年の謹慎処分の後に、法子付きの近衛ではなく、日嗣の宮の護衛に変えられた。
将来、祝皇になられる方の内裏に建てられた宮で、現在は十四歳になられる光継殿下お一人がお使いになっている。
学校に通われるが学校以外に必要な知識語学など、英才教育を行われている。
軟禁といえば、聞こえは悪いが、住居としても使われて入れ替わり立ち代り教師が訪れる。
男子皇族は皆この宮殿をお使いになられ、ご立派な皇族になれる。この宮を使われている方を日嗣の宮と称される。
皇族のお名前を呼ぶ事は恐れ多いので、お住まいの宮の名をいう。
護衛のシフトが交代にたり、仕事が終われば、恐れ多くも法子内親王の部屋に直行し、護衛を兼ねて幸御霊あふれる恋人の時間になる。
祈の宮でお勤めを終わらせた法子は、日嗣の宮付になった李流が気になって、お祈りどころではなかった。
とりあえずお祈りが終わると、李流の仕事ぶりをこっそり柱のかげて見守る事にした。
日嗣の宮の扉で仁王立ちで警護をしている。
服装はかっちりした芽維治時代西洋風軍服だ。
宮中晩餐会の時よりは豪華さは控えめだけど、伝統の近衛衛士の日和服に胸当て、飾り刀も素敵だが護衛衣装は凛々しく見える。
カッコいい……
ドーベルマンみたい。
李流は柱の影の不審者の法子に気づいてつかつか近づく。
やばいと思って、逃げるが、腕を掴まれる。
「きゃ!」
「法子様!?」
「かっこいいー……」
法子はそのまま気絶した。
「法子がきているのか!」
喜んで扉から勢い良く出てきたのは日嗣の宮の光継だった。
そして法子は目が覚めると
目の前には少年が法子を愛おしそうに眺めて、
「マイスイート」
と隣で布団に一緒に入っている光継に驚く。
なんで、光継がここにいるの?
「ここは日嗣の宮だ。わかっててきたのだろう?」
それはそうだけど、李流の、仕事ぶりを眺めていたかっただけなのに李流に捕まってから記憶がない。
「僕の部屋の前で気絶したのは法子ではないか。」
「だからって、なんでここに運んだの?」
「僕が命じて李流が運んでくれたんだ。」
負に落ちないけど納得がいく。
「じゃあ、李流は?李流はどこ?」
法子は李流を探すように日嗣の宮の部屋を見渡す。
「部屋の前だ、護衛の仕事だからな。」
ここは寝食をする部屋だ。
隣は勉強部屋で警備は基本扉の前で不審者かいないか見張る。
法子はベッドの上で膝立ちして扉の方を李流があの凛々しい感じで仕事をしているのを思うと、ポー顔を赤らめて想像してしまう。
光継は自分に興味のない法子の腕を引いて、バランスを崩れさせベットに倒した。そして法子の体にのしかかる
「法子よ……国のために世継ぎを作らぬか?」
「はぁ?」
「若く、優秀で高貴な血を残そうではないか……」
そう言うと光継は法子に顔を近づけた。
2、高貴な血
ぎゃぁぁあ!
という叫び声が光継が使用している部屋から聞こえ、李流はバンッと扉を開ける。
「李流っ!」
法子は目を輝かせる。
「たすけてくれ!李流!」
光継を法子が腕をひねり上げて荒御魂を発動していた。
「なにがあったのですか?」
「光継がわたしを襲おうとしたのよ!」
荒御魂が再び出て光継の腕のひねりを強くする。
「法子様、とりあえず、光継殿下をお放しください」
法子は護身術も習得しているので体の細い光継くらいならひとひねり出来るのだった。
「僕は純血の皇族を作りたいと思ったのだ!」
拳を握り瞳を輝かせて断言した。
「皇族の純血……」
李流の瞳も心なしか輝いている。
法子は負に落ちなくてまだ怒っている。光継に凄む。
「で、なんで、わたしなの?」
「法子を好きだし、歳も合うし、すぐに子供作れるだろう」
法子はゴッと光継の頭を遠慮なく殴る。
「私には李流という恋人がいて降嫁するの!光継は弟みたいなものよ!」
実際は従兄弟だ。
「陛下に認められてわたし達は公認の恋人同士なのよ!光継が割って入る余裕はないの!」
断言して李流にくっつく。
李流はそれは嬉しい宣言だけれども、光継をみると、ショックを受けて瞳が潤んでいて憐れにも思ったが、その目を釣り上げて!
「僕は、皇室が存続するためには皇室の純血は保たなければ高貴な血とは言えないと思うのだ」
皇后陛下は一般人から妃になられたけれど、昔は皇族どうし貴族の名家で結婚した。
側室ならまだしも皇后はありえなかった。
今や側室制度もない。
好きになった女性と心が通じれば結婚できる。
ただ、政府閣僚の意見で決められる事も然り。
けれど、皇族同士なら、血筋は確かだし、反対されることはまずない。
それに、光継は法子を幼い時から好きだった。恋心かまだわからないけれど。
「だから、私は祈り姫の法子と結婚したいと思う。だから李流は法子を諦めろ。」
十四歳になられた日嗣の宮様付きの護衛の任に命じられた当日も、開口一番ライバル宣言され冗談だと思ったが、法子がいる今再び言うということは本気だったのだ。
「純血のための結婚ですか……」
李流はふと考える。
法子を渡す気は全くない。
だが、皇族の尊い血筋は李流が一番憧れるものだった。
光継は椅子に座って足を組む。
雰囲気にはすでに覇気がある。
人に命令することになれているのが伺える。、
そして、余裕な表情で
「ホントはお前はニダの血を継いでることを知っているのだ。
公言は陛下から禁止されているがな」
李流の一番触れられたくないことを光継は言った。
3、滅びの子孫
李流の祖父は祈り姫と李国の王の子供で殺されるはずの所を桜庭の宮に助けられて、ひとり娘と結婚し六人の子供を授かった。
更に李流の母は祖母の従兄弟の子で父と結婚してできた子供が李流だ。
血は日和国のそのものだ。
そして、人一倍いや、百倍に国を愛し皇室を愛している。
「多少は皇室の祈り姫の受け継いているという事も確かなことでしよ!なにか文句でもあんの!?」
「滅びた国の王国の血筋が不吉だとおっしゃられているのでしょう……」
少し悲しげな顔をする。
李流もそう思っているから、ダメージはある。
その顔を見て光継は勝った気分になる。
「そのような血筋を入れて皇室が滅んだらたまらないしな!だから法子を諦めろ!」
「私が降嫁するから心配はご無用よ!」
ぎゅっと李流の腕をだきこむ。
私が選んだ好きになった運命の人は李流しかいないのだから!という思いを込めて抱いた腕を強くする。
李流の硬い表情が柔らかくなる。
法子はホッとする。
自分も光継ような事を言ったことがある。
その時の李流の表情は今でも辛い。
好きな人が辛いのは自分も同じくらい辛くなる。
だから、李流をわざと傷つけた光継を許せない。
「わたしは断固として拒否権発動するわ!」
「ほ、法子は皇室のことを思っておらんのか!尊き血は大事ではないのか!」
組んでいた足を外し法子に食ってかかる。
少し法子の方が背が高いので見下ろし、頑として腕を組み見下ろす。
光継は皇室を大切に思い誇りに思っての発言だろう……
だけど、法子の意見は少し違う。
「この幸せを分け合いたいと思う心が祝福を国民に捧げられる
それが祝皇族なのよ!」
さらに、法子がハマっているツーチャンネルの影響で
「光継みたいな上から目線の【中ニ病が後の祝皇である……】
なんて皇族としてワロスわ!」
本心そのままツーチャンネル用語と毒舌混じりで罵る。
「ち、中二で何が悪い!僕は本当に中二だし!」
さらに、二人して、シャーっ!と猫のように威嚇する。
呆れるけどカワイイと思いながら、光継は法子に本気ではないと確信した。
「法子さま、それぐらいにしてください。」
日嗣の宮殿下はまだお若く、
年ごろの考えがあることは健全な証拠だと李流は思う。
4、尊い意見
「李流の考えはどうなのだ!!」
威嚇しても埒が明かないと思い宮たちは同時に李流の意見を聞く。
「私も、皇族の純血はとても、とっても素晴らしいことだと思います。同意します!」
恐れ多くも意見を尋ねられ、咄嗟に心にあった言葉が出てしまう。
「は?」
法子は頭が一瞬真っ白になって李流を見る。
李流は脇を閉め拳を握り興奮して瞳が輝き言葉にも熱を帯びている。
悶えているようにも見える。
なんだか、光継より情熱的だ。
祝皇陛下一番皇室を一番の李流的には当然な答えだ。
「李流……それは光継と結婚しろってこと?」
法子は正直に受け取りショックをうける。
「いいえ!そういうわけではないですよ!」
ハッとしてふりだしに戻ってしまったと李流は内心失敗した!と思った。
あまりにも光継の理想は共通するものがあったが、法子を渡す気はさらさらないのが本心で、法子もわかっていたはずなのに…
瞳に涙ををためて、唇をへの字に食いしばり、なぜだか、光継に負けた気分、取られた気分になって、幼い子供心に返ってしまったらしく、
「李流のばかぁぁあ!」
ダッと走って自分の宮に帰る。
「法子様!誤解です!待ってください!」
すぐにも追い駆けたいけれど、勤務中だと思いとどまる。
「もう、李流は法子を諦めろ、命令だ」
全てに勝ち誇ったように腕を組み鼻息あらく言った。
「それに僕の言うことを聞かないと、近衛を辞めさせてやることもできるのだぞ。」
「『言うこときかないと』ですか……」
李流はその言葉に恐れ多くも呆れの溜息をわざと吐く。
「祝皇になろうという方は
あからさまに上から命令を言うものではありませんよ。
それは、滅びた国の王のすることですよ。」
皇室を尊く思うし、不敬な事は命をかけて償う覚悟はある。
だからこそ、尊く思うからこそ譲れない性で、恐れ多くも忠言せずにいられなかった。
5、権威と権力
光継はバカにされたと思いムッとした表情をし李流を睨む。
「皇族なのだから上から物を言うのは当たり前の態度だろ!
でないと舐められるではないか」
まだ、ほんとうに中二なのだから仕方ないと思っても、立派な皇族が中二(病)といえどその態度はいただけない。
法子の幼い頃でも高貴な雰囲気はあったが、威圧はなかった。
威圧で人を支配すれば綻びが生じると思う。
恐れ多くも李流の尊崇する皇族の態度ではない。
マスゴミに光継の性格が表に出たらどうなるか、想像すると恐ろしいし、国民がどう思うことか…そちらのほうが恐ろしくもある。
「日嗣の宮殿下は純血を守ると言いながら皇室を滅ぼしたいのですか?」
李流の目が鋭く怖い。慄くほどに。
「ぼ、僕に口答えするのか?」
李流は、瞳以外は無表情で淡々と説く。
「いえ、皇室を思うからこそお諌めいたすのです。
まだ、祝皇になられないからこそ自由はあるでしょう。
その自由は【権力】を使うものではなく【権威】を示すように心がけるのが皇室に生まれた日嗣の宮殿下の宿命ですよ。」
「権威など皇族という存在だけであるものだろう?」
李流は恐れながら光継の視線と向き合うように膝を折り、瞳を離さない。
光継はドキリとする。
こんなに真剣に瞳を見られるのは初めてかもしれない。
父母には何度かあったけれど赤の他人しかも一国民に切実に真摯の瞳をあわせるなど、考えたことも思ったこともなかった。
どこかで、国民は下々の者で見下していたと思っていたことに気づいた。
下々な国民といえど見下してはイケナイとは分かっていたのに。
李流の言葉は包み隠さない心からのもので瞳からも感じた。
こんなこと今まであっただろうか……
無表情をやめ、にっこりと微笑み。
「それに、私は法子様を絶対に諦めません。
陛下にも顔向けできないことは致せません。
なぜなら私は祝皇陛下の【権威】を戴き、法子様と結婚できるという【権力】を持っているのですから」
「それで、僕を屈せるとでも…?」
権威も権力もって日嗣の宮に逆らうとは李流の法子に対する愛しさは凄まじい。
6、最強の愛の権利
「なので、私は法子様を絶対誰にも譲りませんし、血筋で私達の間を引き裂く事は祝皇陛下のご威光に逆らうことになるのですよ。」
そして、恋人である権利は法子が持っていて法子が李流を嫌いになって別れたら権力も、権威もなくなる。
だが、それはありえないほどの縁のつながりで愛しあっている。
体の関係はまだなくても……
無いからこそ心の繋がりが強い。
さっきの皇室第一で逆らえそうではなかったのに、法子のためなら最終手段にまで出るとは
……恐れ入る
「……僕をその権威で脅すのか?」
「権威は脅すものではなく、自ずとひれ伏すものです。」
光継は、はっと気付く。
「権力は脅すもので、権威はひれ伏すか……」
自分は権威ではなく権力を使って人を命じ脅していたのだ。
皇族ということだけが権威だと思っていたがその権威すら権力で傷をつけることをしていた。
それでは民の心は離れていってしまう。
そして、滅びた王朝は多くある。
「権威を傷つけ、権力を行使するだけの皇を誤った道を歩まられないためにお諌めするのです。」
恐れ多くもご理解いただけたようで李流微笑む。
「なんでも恐れ多くて、宮殿下のわがままを聞いていたら、日和が滅ぶことになっていたなんて、国民として絶望したくありませんから、失礼を承知でお諌めいたしました。
とても素晴らしい尊きお方になられるように …」
「そんなふうに言ってくれる者は誰もいなかった。お前が初めてだ李流。」
光継は満足気微笑む。
自分の中の何かが李流の言葉で変われそうな気がするというより、この国を愛し、皇室を心からの愛するもの為に尊敬できる人物になりたい。
いつか、この男を自分の権威で自ずとひれ伏してやりたいと心に決めた。
7、愛の証
「私の気持ちはどうなるのよ……」
ベッドに突っ伏して枕に顔を埋めて、李流の顔を見ない。
李流はベッドから一m離れて法子の機嫌を取る。
「恐れながら、法子さまがオレのことを愛している限り、オレは法子さまを誰にも渡す気はありません。」
法子もそれはわかっている。
だけど…法子が李流を庇ったのに李流は……
「光継の意見に同調したくせに…」
それがショックで怒ってる。
ちょっとした些細なことで喧嘩になってしまうとは、恋人としてはよくあることで、一年ぶりに喧嘩してしまったなと思い、また長く会えなくなるトラウマもある。
「法子様……お心を傷つけて申し訳ありません」
李流はベットのヘリに座り、法子の頭を撫でる。
枕から恐る恐る顔を離し、上半身を起こし、李流の法を見る法子は瞳が赤い。
傷ついて泣いていたのか……
それほどまでに自分を思っていてくれた…
と思うと胸が痛い、苦しくなる、愛しさが増す。
「たとえ宮にも、陛下にも愛することを辞めろと言われても、法子様を愛することは辞められません」
李流は法子の背中に手を添えて、手を取りキスをする。
「李流………」
軽い、キスして、法子の表情を見るとはずかしさと、嬉しさで表情が定まらない。
嬉し涙まで出て来る。
法子の涙を、舌でぺろりと舐める。
「なっ、李流っ!」
あまりのことに、法子はびっくりする。
そのまま、頬にキスをする。
「泣き止みましたね?」
李流も微笑む。
その笑みが法子は好きだ。
心が暖かくなる。
「好きよ……わたしこそ、李流を、誰にも渡さないんだから!」
そう言って熱い深いキスをする。
誰にも渡したくない。
自分のものだという証を付けたい。そういう衝動に李流は駆られる。
法子はすでに、李流の首筋につけてしまったけど……
李流は法子の襟元を恐れながらゆるめさせて鎖骨にキスをする。
「っつ、李流……」
初めて体にキスされて法子は驚く。
ふくよかな胸の谷間がみえる。
襟元を少し開けすぎたか、レースの布地も垣間見えてしまう。
しかし、李流は無意識にいや、意識してか柔らかい胸元にも唇を這わせてキスをする。
法子は肩を震わせて恥ずかしいし怖くなる。
「李流…それ、は、はずかしい。」
ハッ!( ゚д゚)
理性が飛んでいたことに李流は気づき、
ジャンピング土下座をして謝る。
「な、な、な、んてことこおおおぉぉオォ」
「べ、べつに、か、かまわないのに……」
おたがいに顔を真っ赤にしたり青したりかなりの動揺する。
「李流のやつ。すけべだ!不敬罪だっ!」
ドキドキしながら扉の隙間を開けて、光継は目撃していた。
それは、侍女のとし子とみや子も一緒で更には、晴房まで見ていた。
「でも、僕もあんなふうに誰かを愛したいな……」
「そう思えれば、国も愛せるようになるぞ。日嗣宮殿下」
「ハルの神。」
光継は晴房を神だと思っているからハルの神と言う。
皇族はハルを目に見える神だと思っている。
間違いではないが、神であり祝皇の臣民だ。
「この神の身ですら人を愛し国を守る気概ができたのだからの。」
満足気に檜扇を顎にあててニコニコして答える。
「僕は、ハルの神のようにもなりたいと思ってるぞ、超人的な力がほしい。」
「皇になるならやめておけ。我が守りにくくなる。」
真剣に言われる。
「皇は皇であるからこそ国は保てられるのだぞ。」
李流にも言われた。
「あいつは皇室を本気で愛してるからの。神でもないのに。一国民としてな。」
「李流の情熱に答えられるような皇になれたら歴代の中の優れた皇になれるぞ。」
「うむ。では、一国民にいじわるをしてしまったな。」
光継は本気で反省する。
だが、
「その報いははたそう。」
拳を天に振り上げて誓う。
「そして、李流を法子より命を費やしても良い存在になってやる!」
「ハッハッハ!
良き皇になれますぞ。」
晴房は遠慮無く法子の部屋に入り石のように固まって土下座している李流の頭を檜扇でぶっ叩く。
「仕事にもどれ。怨霊退治に行かせるぞ。」
ハッと正気に戻った李流はお辞儀をし、日嗣の宮に光継を護衛しもどる。
宮に戻る途中、光継たちどまり、
「僕は法子を諦める。安心するが良い。」
「有りがたき幸せ!」
「僕が皇になるまで、皇室を愛せよ。」
光継のニコッと笑った顔を見るのは初めてだった。
写真でも凛々しくも笑っていなった。
「お前のような優秀な奴をを法子から奪ってやるからなっ!」
今度は法子と日嗣の宮が李流を取り合うライバルになってしまった。
「それに。本気で国を愛してる国民がいることを知れてよかったぞ……」
日嗣の宮殿下も法子様と同じ事(反日教育の被害)があったのかな?
と李流は心配になった。
8、楽しい親睦会
「李流に勉強を教えてもらいたい。」
「それは業務に入っていませんが。」
シフトが終わり法子の元に行こうとしたら腕をガシリと掴む。
最近は色々理由を付けて法子の元へ行くのを阻止する。
愛する皇族の頼みなら喜んで用事を拝命する。
けれど今日はちょっと違うらしく、瞳を輝かせ掴んでいる腕を興奮気味に揺らす。
「動画を見て感動した!
学校でも歴史は教わるがこんな面白く素晴らしい日和とは知らなかった。」
晴房に李流のことを詳しく教えろと言ったら謹慎処分中に悶々としてるだけではなくて、愛国者を増やす活動のために同士ともに動画を流していた。
それを観たらしく
「お前にどうしても学びたいのだ。
ダメか?」
どことなく法子に似た甘え方で恐れ多くも可愛く思ってしまう。
李流は光継に膝を折り深々く礼をとった。
「仰せのままに、我が君」
「なんで、法子までいるのだ!」
「私と李流のラブラブの時間を割かれてるんだから当然よ!私も十年ぶりに李流の授業受けたいし」
そしてあの頃の幼い甘いひととき再現したい!
「私も勉強に加わろうかの」
「ハルもか!」
「皆で勉強楽しく学ぼう!」
ハル様さまが一番子供みたいだと思いつつ、親睦と楽しい歴史講座が始まるのだった。
1、日嗣の宮
一年の謹慎処分の後に、法子付きの近衛ではなく、日嗣の宮の護衛に変えられた。
将来、祝皇になられる方の内裏に建てられた宮で、現在は十四歳になられる光継殿下お一人がお使いになっている。
学校に通われるが学校以外に必要な知識語学など、英才教育を行われている。
軟禁といえば、聞こえは悪いが、住居としても使われて入れ替わり立ち代り教師が訪れる。
男子皇族は皆この宮殿をお使いになられ、ご立派な皇族になれる。この宮を使われている方を日嗣の宮と称される。
皇族のお名前を呼ぶ事は恐れ多いので、お住まいの宮の名をいう。
護衛のシフトが交代にたり、仕事が終われば、恐れ多くも法子内親王の部屋に直行し、護衛を兼ねて幸御霊あふれる恋人の時間になる。
祈の宮でお勤めを終わらせた法子は、日嗣の宮付になった李流が気になって、お祈りどころではなかった。
とりあえずお祈りが終わると、李流の仕事ぶりをこっそり柱のかげて見守る事にした。
日嗣の宮の扉で仁王立ちで警護をしている。
服装はかっちりした芽維治時代西洋風軍服だ。
宮中晩餐会の時よりは豪華さは控えめだけど、伝統の近衛衛士の日和服に胸当て、飾り刀も素敵だが護衛衣装は凛々しく見える。
カッコいい……
ドーベルマンみたい。
李流は柱の影の不審者の法子に気づいてつかつか近づく。
やばいと思って、逃げるが、腕を掴まれる。
「きゃ!」
「法子様!?」
「かっこいいー……」
法子はそのまま気絶した。
「法子がきているのか!」
喜んで扉から勢い良く出てきたのは日嗣の宮の光継だった。
そして法子は目が覚めると
目の前には少年が法子を愛おしそうに眺めて、
「マイスイート」
と隣で布団に一緒に入っている光継に驚く。
なんで、光継がここにいるの?
「ここは日嗣の宮だ。わかっててきたのだろう?」
それはそうだけど、李流の、仕事ぶりを眺めていたかっただけなのに李流に捕まってから記憶がない。
「僕の部屋の前で気絶したのは法子ではないか。」
「だからって、なんでここに運んだの?」
「僕が命じて李流が運んでくれたんだ。」
負に落ちないけど納得がいく。
「じゃあ、李流は?李流はどこ?」
法子は李流を探すように日嗣の宮の部屋を見渡す。
「部屋の前だ、護衛の仕事だからな。」
ここは寝食をする部屋だ。
隣は勉強部屋で警備は基本扉の前で不審者かいないか見張る。
法子はベッドの上で膝立ちして扉の方を李流があの凛々しい感じで仕事をしているのを思うと、ポー顔を赤らめて想像してしまう。
光継は自分に興味のない法子の腕を引いて、バランスを崩れさせベットに倒した。そして法子の体にのしかかる
「法子よ……国のために世継ぎを作らぬか?」
「はぁ?」
「若く、優秀で高貴な血を残そうではないか……」
そう言うと光継は法子に顔を近づけた。
2、高貴な血
ぎゃぁぁあ!
という叫び声が光継が使用している部屋から聞こえ、李流はバンッと扉を開ける。
「李流っ!」
法子は目を輝かせる。
「たすけてくれ!李流!」
光継を法子が腕をひねり上げて荒御魂を発動していた。
「なにがあったのですか?」
「光継がわたしを襲おうとしたのよ!」
荒御魂が再び出て光継の腕のひねりを強くする。
「法子様、とりあえず、光継殿下をお放しください」
法子は護身術も習得しているので体の細い光継くらいならひとひねり出来るのだった。
「僕は純血の皇族を作りたいと思ったのだ!」
拳を握り瞳を輝かせて断言した。
「皇族の純血……」
李流の瞳も心なしか輝いている。
法子は負に落ちなくてまだ怒っている。光継に凄む。
「で、なんで、わたしなの?」
「法子を好きだし、歳も合うし、すぐに子供作れるだろう」
法子はゴッと光継の頭を遠慮なく殴る。
「私には李流という恋人がいて降嫁するの!光継は弟みたいなものよ!」
実際は従兄弟だ。
「陛下に認められてわたし達は公認の恋人同士なのよ!光継が割って入る余裕はないの!」
断言して李流にくっつく。
李流はそれは嬉しい宣言だけれども、光継をみると、ショックを受けて瞳が潤んでいて憐れにも思ったが、その目を釣り上げて!
「僕は、皇室が存続するためには皇室の純血は保たなければ高貴な血とは言えないと思うのだ」
皇后陛下は一般人から妃になられたけれど、昔は皇族どうし貴族の名家で結婚した。
側室ならまだしも皇后はありえなかった。
今や側室制度もない。
好きになった女性と心が通じれば結婚できる。
ただ、政府閣僚の意見で決められる事も然り。
けれど、皇族同士なら、血筋は確かだし、反対されることはまずない。
それに、光継は法子を幼い時から好きだった。恋心かまだわからないけれど。
「だから、私は祈り姫の法子と結婚したいと思う。だから李流は法子を諦めろ。」
十四歳になられた日嗣の宮様付きの護衛の任に命じられた当日も、開口一番ライバル宣言され冗談だと思ったが、法子がいる今再び言うということは本気だったのだ。
「純血のための結婚ですか……」
李流はふと考える。
法子を渡す気は全くない。
だが、皇族の尊い血筋は李流が一番憧れるものだった。
光継は椅子に座って足を組む。
雰囲気にはすでに覇気がある。
人に命令することになれているのが伺える。、
そして、余裕な表情で
「ホントはお前はニダの血を継いでることを知っているのだ。
公言は陛下から禁止されているがな」
李流の一番触れられたくないことを光継は言った。
3、滅びの子孫
李流の祖父は祈り姫と李国の王の子供で殺されるはずの所を桜庭の宮に助けられて、ひとり娘と結婚し六人の子供を授かった。
更に李流の母は祖母の従兄弟の子で父と結婚してできた子供が李流だ。
血は日和国のそのものだ。
そして、人一倍いや、百倍に国を愛し皇室を愛している。
「多少は皇室の祈り姫の受け継いているという事も確かなことでしよ!なにか文句でもあんの!?」
「滅びた国の王国の血筋が不吉だとおっしゃられているのでしょう……」
少し悲しげな顔をする。
李流もそう思っているから、ダメージはある。
その顔を見て光継は勝った気分になる。
「そのような血筋を入れて皇室が滅んだらたまらないしな!だから法子を諦めろ!」
「私が降嫁するから心配はご無用よ!」
ぎゅっと李流の腕をだきこむ。
私が選んだ好きになった運命の人は李流しかいないのだから!という思いを込めて抱いた腕を強くする。
李流の硬い表情が柔らかくなる。
法子はホッとする。
自分も光継ような事を言ったことがある。
その時の李流の表情は今でも辛い。
好きな人が辛いのは自分も同じくらい辛くなる。
だから、李流をわざと傷つけた光継を許せない。
「わたしは断固として拒否権発動するわ!」
「ほ、法子は皇室のことを思っておらんのか!尊き血は大事ではないのか!」
組んでいた足を外し法子に食ってかかる。
少し法子の方が背が高いので見下ろし、頑として腕を組み見下ろす。
光継は皇室を大切に思い誇りに思っての発言だろう……
だけど、法子の意見は少し違う。
「この幸せを分け合いたいと思う心が祝福を国民に捧げられる
それが祝皇族なのよ!」
さらに、法子がハマっているツーチャンネルの影響で
「光継みたいな上から目線の【中ニ病が後の祝皇である……】
なんて皇族としてワロスわ!」
本心そのままツーチャンネル用語と毒舌混じりで罵る。
「ち、中二で何が悪い!僕は本当に中二だし!」
さらに、二人して、シャーっ!と猫のように威嚇する。
呆れるけどカワイイと思いながら、光継は法子に本気ではないと確信した。
「法子さま、それぐらいにしてください。」
日嗣の宮殿下はまだお若く、
年ごろの考えがあることは健全な証拠だと李流は思う。
4、尊い意見
「李流の考えはどうなのだ!!」
威嚇しても埒が明かないと思い宮たちは同時に李流の意見を聞く。
「私も、皇族の純血はとても、とっても素晴らしいことだと思います。同意します!」
恐れ多くも意見を尋ねられ、咄嗟に心にあった言葉が出てしまう。
「は?」
法子は頭が一瞬真っ白になって李流を見る。
李流は脇を閉め拳を握り興奮して瞳が輝き言葉にも熱を帯びている。
悶えているようにも見える。
なんだか、光継より情熱的だ。
祝皇陛下一番皇室を一番の李流的には当然な答えだ。
「李流……それは光継と結婚しろってこと?」
法子は正直に受け取りショックをうける。
「いいえ!そういうわけではないですよ!」
ハッとしてふりだしに戻ってしまったと李流は内心失敗した!と思った。
あまりにも光継の理想は共通するものがあったが、法子を渡す気はさらさらないのが本心で、法子もわかっていたはずなのに…
瞳に涙ををためて、唇をへの字に食いしばり、なぜだか、光継に負けた気分、取られた気分になって、幼い子供心に返ってしまったらしく、
「李流のばかぁぁあ!」
ダッと走って自分の宮に帰る。
「法子様!誤解です!待ってください!」
すぐにも追い駆けたいけれど、勤務中だと思いとどまる。
「もう、李流は法子を諦めろ、命令だ」
全てに勝ち誇ったように腕を組み鼻息あらく言った。
「それに僕の言うことを聞かないと、近衛を辞めさせてやることもできるのだぞ。」
「『言うこときかないと』ですか……」
李流はその言葉に恐れ多くも呆れの溜息をわざと吐く。
「祝皇になろうという方は
あからさまに上から命令を言うものではありませんよ。
それは、滅びた国の王のすることですよ。」
皇室を尊く思うし、不敬な事は命をかけて償う覚悟はある。
だからこそ、尊く思うからこそ譲れない性で、恐れ多くも忠言せずにいられなかった。
5、権威と権力
光継はバカにされたと思いムッとした表情をし李流を睨む。
「皇族なのだから上から物を言うのは当たり前の態度だろ!
でないと舐められるではないか」
まだ、ほんとうに中二なのだから仕方ないと思っても、立派な皇族が中二(病)といえどその態度はいただけない。
法子の幼い頃でも高貴な雰囲気はあったが、威圧はなかった。
威圧で人を支配すれば綻びが生じると思う。
恐れ多くも李流の尊崇する皇族の態度ではない。
マスゴミに光継の性格が表に出たらどうなるか、想像すると恐ろしいし、国民がどう思うことか…そちらのほうが恐ろしくもある。
「日嗣の宮殿下は純血を守ると言いながら皇室を滅ぼしたいのですか?」
李流の目が鋭く怖い。慄くほどに。
「ぼ、僕に口答えするのか?」
李流は、瞳以外は無表情で淡々と説く。
「いえ、皇室を思うからこそお諌めいたすのです。
まだ、祝皇になられないからこそ自由はあるでしょう。
その自由は【権力】を使うものではなく【権威】を示すように心がけるのが皇室に生まれた日嗣の宮殿下の宿命ですよ。」
「権威など皇族という存在だけであるものだろう?」
李流は恐れながら光継の視線と向き合うように膝を折り、瞳を離さない。
光継はドキリとする。
こんなに真剣に瞳を見られるのは初めてかもしれない。
父母には何度かあったけれど赤の他人しかも一国民に切実に真摯の瞳をあわせるなど、考えたことも思ったこともなかった。
どこかで、国民は下々の者で見下していたと思っていたことに気づいた。
下々な国民といえど見下してはイケナイとは分かっていたのに。
李流の言葉は包み隠さない心からのもので瞳からも感じた。
こんなこと今まであっただろうか……
無表情をやめ、にっこりと微笑み。
「それに、私は法子様を絶対に諦めません。
陛下にも顔向けできないことは致せません。
なぜなら私は祝皇陛下の【権威】を戴き、法子様と結婚できるという【権力】を持っているのですから」
「それで、僕を屈せるとでも…?」
権威も権力もって日嗣の宮に逆らうとは李流の法子に対する愛しさは凄まじい。
6、最強の愛の権利
「なので、私は法子様を絶対誰にも譲りませんし、血筋で私達の間を引き裂く事は祝皇陛下のご威光に逆らうことになるのですよ。」
そして、恋人である権利は法子が持っていて法子が李流を嫌いになって別れたら権力も、権威もなくなる。
だが、それはありえないほどの縁のつながりで愛しあっている。
体の関係はまだなくても……
無いからこそ心の繋がりが強い。
さっきの皇室第一で逆らえそうではなかったのに、法子のためなら最終手段にまで出るとは
……恐れ入る
「……僕をその権威で脅すのか?」
「権威は脅すものではなく、自ずとひれ伏すものです。」
光継は、はっと気付く。
「権力は脅すもので、権威はひれ伏すか……」
自分は権威ではなく権力を使って人を命じ脅していたのだ。
皇族ということだけが権威だと思っていたがその権威すら権力で傷をつけることをしていた。
それでは民の心は離れていってしまう。
そして、滅びた王朝は多くある。
「権威を傷つけ、権力を行使するだけの皇を誤った道を歩まられないためにお諌めするのです。」
恐れ多くもご理解いただけたようで李流微笑む。
「なんでも恐れ多くて、宮殿下のわがままを聞いていたら、日和が滅ぶことになっていたなんて、国民として絶望したくありませんから、失礼を承知でお諌めいたしました。
とても素晴らしい尊きお方になられるように …」
「そんなふうに言ってくれる者は誰もいなかった。お前が初めてだ李流。」
光継は満足気微笑む。
自分の中の何かが李流の言葉で変われそうな気がするというより、この国を愛し、皇室を心からの愛するもの為に尊敬できる人物になりたい。
いつか、この男を自分の権威で自ずとひれ伏してやりたいと心に決めた。
7、愛の証
「私の気持ちはどうなるのよ……」
ベッドに突っ伏して枕に顔を埋めて、李流の顔を見ない。
李流はベッドから一m離れて法子の機嫌を取る。
「恐れながら、法子さまがオレのことを愛している限り、オレは法子さまを誰にも渡す気はありません。」
法子もそれはわかっている。
だけど…法子が李流を庇ったのに李流は……
「光継の意見に同調したくせに…」
それがショックで怒ってる。
ちょっとした些細なことで喧嘩になってしまうとは、恋人としてはよくあることで、一年ぶりに喧嘩してしまったなと思い、また長く会えなくなるトラウマもある。
「法子様……お心を傷つけて申し訳ありません」
李流はベットのヘリに座り、法子の頭を撫でる。
枕から恐る恐る顔を離し、上半身を起こし、李流の法を見る法子は瞳が赤い。
傷ついて泣いていたのか……
それほどまでに自分を思っていてくれた…
と思うと胸が痛い、苦しくなる、愛しさが増す。
「たとえ宮にも、陛下にも愛することを辞めろと言われても、法子様を愛することは辞められません」
李流は法子の背中に手を添えて、手を取りキスをする。
「李流………」
軽い、キスして、法子の表情を見るとはずかしさと、嬉しさで表情が定まらない。
嬉し涙まで出て来る。
法子の涙を、舌でぺろりと舐める。
「なっ、李流っ!」
あまりのことに、法子はびっくりする。
そのまま、頬にキスをする。
「泣き止みましたね?」
李流も微笑む。
その笑みが法子は好きだ。
心が暖かくなる。
「好きよ……わたしこそ、李流を、誰にも渡さないんだから!」
そう言って熱い深いキスをする。
誰にも渡したくない。
自分のものだという証を付けたい。そういう衝動に李流は駆られる。
法子はすでに、李流の首筋につけてしまったけど……
李流は法子の襟元を恐れながらゆるめさせて鎖骨にキスをする。
「っつ、李流……」
初めて体にキスされて法子は驚く。
ふくよかな胸の谷間がみえる。
襟元を少し開けすぎたか、レースの布地も垣間見えてしまう。
しかし、李流は無意識にいや、意識してか柔らかい胸元にも唇を這わせてキスをする。
法子は肩を震わせて恥ずかしいし怖くなる。
「李流…それ、は、はずかしい。」
ハッ!( ゚д゚)
理性が飛んでいたことに李流は気づき、
ジャンピング土下座をして謝る。
「な、な、な、んてことこおおおぉぉオォ」
「べ、べつに、か、かまわないのに……」
おたがいに顔を真っ赤にしたり青したりかなりの動揺する。
「李流のやつ。すけべだ!不敬罪だっ!」
ドキドキしながら扉の隙間を開けて、光継は目撃していた。
それは、侍女のとし子とみや子も一緒で更には、晴房まで見ていた。
「でも、僕もあんなふうに誰かを愛したいな……」
「そう思えれば、国も愛せるようになるぞ。日嗣宮殿下」
「ハルの神。」
光継は晴房を神だと思っているからハルの神と言う。
皇族はハルを目に見える神だと思っている。
間違いではないが、神であり祝皇の臣民だ。
「この神の身ですら人を愛し国を守る気概ができたのだからの。」
満足気に檜扇を顎にあててニコニコして答える。
「僕は、ハルの神のようにもなりたいと思ってるぞ、超人的な力がほしい。」
「皇になるならやめておけ。我が守りにくくなる。」
真剣に言われる。
「皇は皇であるからこそ国は保てられるのだぞ。」
李流にも言われた。
「あいつは皇室を本気で愛してるからの。神でもないのに。一国民としてな。」
「李流の情熱に答えられるような皇になれたら歴代の中の優れた皇になれるぞ。」
「うむ。では、一国民にいじわるをしてしまったな。」
光継は本気で反省する。
だが、
「その報いははたそう。」
拳を天に振り上げて誓う。
「そして、李流を法子より命を費やしても良い存在になってやる!」
「ハッハッハ!
良き皇になれますぞ。」
晴房は遠慮無く法子の部屋に入り石のように固まって土下座している李流の頭を檜扇でぶっ叩く。
「仕事にもどれ。怨霊退治に行かせるぞ。」
ハッと正気に戻った李流はお辞儀をし、日嗣の宮に光継を護衛しもどる。
宮に戻る途中、光継たちどまり、
「僕は法子を諦める。安心するが良い。」
「有りがたき幸せ!」
「僕が皇になるまで、皇室を愛せよ。」
光継のニコッと笑った顔を見るのは初めてだった。
写真でも凛々しくも笑っていなった。
「お前のような優秀な奴をを法子から奪ってやるからなっ!」
今度は法子と日嗣の宮が李流を取り合うライバルになってしまった。
「それに。本気で国を愛してる国民がいることを知れてよかったぞ……」
日嗣の宮殿下も法子様と同じ事(反日教育の被害)があったのかな?
と李流は心配になった。
8、楽しい親睦会
「李流に勉強を教えてもらいたい。」
「それは業務に入っていませんが。」
シフトが終わり法子の元に行こうとしたら腕をガシリと掴む。
最近は色々理由を付けて法子の元へ行くのを阻止する。
愛する皇族の頼みなら喜んで用事を拝命する。
けれど今日はちょっと違うらしく、瞳を輝かせ掴んでいる腕を興奮気味に揺らす。
「動画を見て感動した!
学校でも歴史は教わるがこんな面白く素晴らしい日和とは知らなかった。」
晴房に李流のことを詳しく教えろと言ったら謹慎処分中に悶々としてるだけではなくて、愛国者を増やす活動のために同士ともに動画を流していた。
それを観たらしく
「お前にどうしても学びたいのだ。
ダメか?」
どことなく法子に似た甘え方で恐れ多くも可愛く思ってしまう。
李流は光継に膝を折り深々く礼をとった。
「仰せのままに、我が君」
「なんで、法子までいるのだ!」
「私と李流のラブラブの時間を割かれてるんだから当然よ!私も十年ぶりに李流の授業受けたいし」
そしてあの頃の幼い甘いひととき再現したい!
「私も勉強に加わろうかの」
「ハルもか!」
「皆で勉強楽しく学ぼう!」
ハル様さまが一番子供みたいだと思いつつ、親睦と楽しい歴史講座が始まるのだった。
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