ネトウヨのお姫様

花咲マイコ

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番外編

桜庭家の事情

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 李流は落ち込むとひどいほど落ち込む。
 謹慎処分一年間、実家に帰る。
 弟妹達がおお喜びで李流に抱きつく。
 四歳の季節も李流兄が大好きだ。

「お帰りなさい、李流」

 母も優しく迎えてくれる。


 李流は、なぜだか、涙が出てきた。

 あまり親孝行ものじゃない息子に優しい母に申し訳なくて。

「ニーニー!泣いてるの?」
「ニーニー!大丈夫?」
 雪は、幼子四人を李流から引き剥がす。

「泣かせてあげなさい。」

 李流を自室に送り出して、

「泣きやんだら遊んであげてね。」


 三日、出てこなかった。


 晴房も心配で帰ってきて、檜扇で李流を殴る。

 暴力ではなくスキンシップらしいが、これは籠りっぱなしの情けない李流への制裁だ。

 さらに籠っていたかも知らない。

「ニートは家事手伝いしてるのが一番だ。」
ふん!と腰に手を当てて怒ってるふうだ。
「ニートにした張本人のくせに……」

 晴房は張本人だけど、原因は自分だ。

 でも、家族で食べるご飯は久しぶりで幸せを感じる。

「にーにー」
「これ読んでー」
「にーにー遊んでー」
「にーにー」

 李流は幼い姉弟たちに大人気で、ライバル心に駆られた晴房が、向日葵を抱き上げて、

「パパ上と遊ぼう。」
「パパ上大人気ないから嫌い」
はっきり真実を言われる。

「雪ぃー」

 あまりのショックに雪の方で泣く。
「よしよし。」

 困ったお父さんねという感じて晴房の頭をポンポンと撫でる。

 ピコーン!といきなりスイッチが入ったように思い立った晴房は

「お前らは、一日中李流と遊んでいろ!」

 雪の肩を抱いて寄り添いながら二階に誘う。
 母も戸惑いながら、部屋へ行く。

 李流は呆れて白い目で両親を見送る。

 気を取り直すために大きくため息を吐いて、弟妹たちに笑顔をみせて、

「……よーし、何して遊ぼうか?」

 その言葉に、弟妹は興奮して、李流に抱きつく。

 ほんと、かわいい。
 久々に家に帰った来て良かった。
 この一年はこんな日々が続くのもいいかもしれない……


 ほんとに一日中遊んで、ヘトヘトになって、李流の周りにくっついて寝る子供たち。

 李流も爆睡してる。
 そんな李流の頭を雪は撫でる。

「ありがとう……やっぱりお兄
ちゃんね。」

 いくつになっても子供はかわいいと思う雪だった。


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