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志しを共にするもの
2☆榊篁
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李流と薫は学校が半日で終わったため伝統衛士の仕事の時間まで薫の誘いでゲームセンターで遊んでから宮中の陰陽寮で風水や占いの勉強を瑠香に教わり近衛警備寮へ向かった。
四月には新たな伝統衛士として仕事に入るものも出てくるが今年も伝統衛士をしたいという若者が現れない。
太刀の者や、陰陽師の中からも選ばれる(無理やり)つかされることもあるが、太刀の者達の子息はまだ小学生なので来年の期待になっている。
今年までは、李流と薫のシフト交代がメインだと思っていたが、伝統衛士の装束のある警備寮の更衣室に、李流にとって懐かしい顔があった。
「せーんぱい!今日から仕事復帰です!よろしくでーす!」
薫より頭一つ分背の低い篁が笑顔全開で李流と薫の前にあらわれた。
篁は一見女の子に見える。
声もまだ高い。
男装をした女子と言っても分からないほど細い。
早く出仕して伝統衛士の格好をして二人を待っていたようだ。
「だれだ?こいつ?」
薫は西の守護をしているため、大体の警備の顔を覚えているが見覚えがなかった。
「榊篁だ……」
ふんっとそっぽを向いてした感じで薫に挨拶した。
「オレ達とひとつ年下なんだよ。去年は受験で約一年お休みしてたんだよね」
榊篁の薫に対しての態度が気になるが、李流は榊の情報を付け足した。
「はい!先輩と同じ高校に進学しました!」
顔を笑顔で瞳を輝かせてそう言った。
「名実ともに後輩です!」
とても、喜んで話す。
中学の時は違う学校だった事を篁は、ガッカリしていた事もあった。
薫はムスッとする。
親しい友達もいなかった李流に意外にも親しい友達がいることにもどかしさを感じる。
それに……
(心が読めない……)
たまにそういう人間がいる。
身近では薫の祖母だ。
身内だし明るい人なので気にもならないが……
(こいつは、俺に敵意を持ってる……)
そして、ふと陰を見ると頭のあたりに角の影が見える。
実際、篁には角は生えていないのに。
(もしかして、あの時の影はこいつ?)
睨むように篁をみると、睨み返された。
心を読めないとしてもいけ好かないとお互いに感じているのはわかる。
無言の睨み合いだが、薫と篁の瞳は金に煌めき妖力が混ざって互いに威圧を与えていた。
その事に気づいた李流は、
「とりあえず、今日は三人で見回りをしよう!」
と、不穏な気配を漂わせるふたりの肩を叩いて落ちつかせた。
李流は陰陽寮に通っていたために霊力がついて目には見えない恐ろしい気配を感じる。
歳も近いし仲良くなれるかもと思ったがそうはいかないみたいだな……と李流は密かにため息をはきつつ、薫と親しくなる直前の事を思い出すと苦笑も盛れるのだった。
四月には新たな伝統衛士として仕事に入るものも出てくるが今年も伝統衛士をしたいという若者が現れない。
太刀の者や、陰陽師の中からも選ばれる(無理やり)つかされることもあるが、太刀の者達の子息はまだ小学生なので来年の期待になっている。
今年までは、李流と薫のシフト交代がメインだと思っていたが、伝統衛士の装束のある警備寮の更衣室に、李流にとって懐かしい顔があった。
「せーんぱい!今日から仕事復帰です!よろしくでーす!」
薫より頭一つ分背の低い篁が笑顔全開で李流と薫の前にあらわれた。
篁は一見女の子に見える。
声もまだ高い。
男装をした女子と言っても分からないほど細い。
早く出仕して伝統衛士の格好をして二人を待っていたようだ。
「だれだ?こいつ?」
薫は西の守護をしているため、大体の警備の顔を覚えているが見覚えがなかった。
「榊篁だ……」
ふんっとそっぽを向いてした感じで薫に挨拶した。
「オレ達とひとつ年下なんだよ。去年は受験で約一年お休みしてたんだよね」
榊篁の薫に対しての態度が気になるが、李流は榊の情報を付け足した。
「はい!先輩と同じ高校に進学しました!」
顔を笑顔で瞳を輝かせてそう言った。
「名実ともに後輩です!」
とても、喜んで話す。
中学の時は違う学校だった事を篁は、ガッカリしていた事もあった。
薫はムスッとする。
親しい友達もいなかった李流に意外にも親しい友達がいることにもどかしさを感じる。
それに……
(心が読めない……)
たまにそういう人間がいる。
身近では薫の祖母だ。
身内だし明るい人なので気にもならないが……
(こいつは、俺に敵意を持ってる……)
そして、ふと陰を見ると頭のあたりに角の影が見える。
実際、篁には角は生えていないのに。
(もしかして、あの時の影はこいつ?)
睨むように篁をみると、睨み返された。
心を読めないとしてもいけ好かないとお互いに感じているのはわかる。
無言の睨み合いだが、薫と篁の瞳は金に煌めき妖力が混ざって互いに威圧を与えていた。
その事に気づいた李流は、
「とりあえず、今日は三人で見回りをしよう!」
と、不穏な気配を漂わせるふたりの肩を叩いて落ちつかせた。
李流は陰陽寮に通っていたために霊力がついて目には見えない恐ろしい気配を感じる。
歳も近いし仲良くなれるかもと思ったがそうはいかないみたいだな……と李流は密かにため息をはきつつ、薫と親しくなる直前の事を思い出すと苦笑も盛れるのだった。
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