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橘と威津那の巡り合いと探り合い
17☆呪詛返し
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「っ!ぐ…流石に、きついな…」
威津那は顔を歪める。
ついに、呻くほど苦しく痛い。
これを体に収めるのに何時間かかるか……自信を揺らがせる負の念に思考が侵されそうになる。
こんな醜態見せるほうが恥ずかしいとか思っている余裕がない……
余裕に取り込めると思っていたのにそうでもなさそうだった。
槐寿を咥えていたカラスの眷属を体に入れて呪詛の強さ……特に、隣国の仕掛けた呪詛を破る命令をする。
「今のうちに、威津那殿を処罰しますか?」
槐寿は威津那に恨みがあるし、宮中に刃を向けるものと認識して刀を構えて橘に聞く。
「だめ!彼は…威津那は責任を取ろうとして呪詛を取り込んでこの場を収めようとしているのよ」
と橘は制す。
「今は見届けて誠意を見せてもらわなきゃ……」
「そうですね…」
異様な張り詰める空気の中マリアは槐寿の腕に抱きつく。
この場にいるものが威津那の様子に注目せざる得ない。
これは呪詛を返しの代償だと陰陽師の橘は理解する。
だがもし、呪詛返しが失敗したらどうなるのか……
不安が橘たちの胸に渦巻く。
負の感情が異様な不安が忍び寄るのは周りの念の影響だろう。
威津那は体を抱きしめ痛みに耐える。
呪詛返しに苦しむ姿はみっともなくて正直見せたくなかった。
(なんとか、余計な呪詛はカラスが喰らった……)
あとは、負の念を威津那の体に取り込み己のものにするだけだ…なんどもやった、幼い頃から仕込まれた事だった……
(呪詛のような道具を体に入れるよりはいくらか楽だ…)
これは父に仕込まれた呪いの力。
祈りを巡らせられるならば呪い恨みですら巡らせるはずだ…
祝皇が未来に起こるかもしれない国民の不幸を皇の体をまず通って浄化させることの、逆をやれば呪術師の力の源になる。
それは、異能の力を増してくれる。
呪いは大なり小なり精神に支障を起こし自分をも呪う……
愚かなことをしていると自分を恨み悲しむ。
他人に怒りをむければ気は紛れるが、取り込むのは諸刃のことだった。
悔しさ憎しみ怒り悲しみ……
禍々しい呪いの念を威津那自信取り込む…同じになる馴染ませる……
(負の連鎖…闇を闇に紛れすべてを己のものに……)
威津那は涙を落とした。
悲しみのあまり、辛さのあまり胸が弾ける辛い痛みだった……この気持ちを叶えてあげたい…叶えなくては……無念などにはしない……
涙を見た橘は堪らず威津那に駆け寄る。
「威津那さん…威津那……苦しまないで……」
「っ!なんで……?」
威津那は苦しみながら驚く。
橘は威津那を胸に抱きしめてともに泣いていた。
「だめだ…君にも負の念がうつる……」
どかせようとすればするほど、ぎゅっと抱きしめて胸の柔らかさを感じる……
それがすべてを包み込むような慈愛の柔らかさに感じる。
威津那の赤い瞳に眩しい光が目に入る。
「これは……」
さらに、橘の胸にかけていた包石が威津那に取り巻く闇を祓う。
取り込んだはずの念をも全て『昇華』する特別な力だった。
威津那は顔を歪める。
ついに、呻くほど苦しく痛い。
これを体に収めるのに何時間かかるか……自信を揺らがせる負の念に思考が侵されそうになる。
こんな醜態見せるほうが恥ずかしいとか思っている余裕がない……
余裕に取り込めると思っていたのにそうでもなさそうだった。
槐寿を咥えていたカラスの眷属を体に入れて呪詛の強さ……特に、隣国の仕掛けた呪詛を破る命令をする。
「今のうちに、威津那殿を処罰しますか?」
槐寿は威津那に恨みがあるし、宮中に刃を向けるものと認識して刀を構えて橘に聞く。
「だめ!彼は…威津那は責任を取ろうとして呪詛を取り込んでこの場を収めようとしているのよ」
と橘は制す。
「今は見届けて誠意を見せてもらわなきゃ……」
「そうですね…」
異様な張り詰める空気の中マリアは槐寿の腕に抱きつく。
この場にいるものが威津那の様子に注目せざる得ない。
これは呪詛を返しの代償だと陰陽師の橘は理解する。
だがもし、呪詛返しが失敗したらどうなるのか……
不安が橘たちの胸に渦巻く。
負の感情が異様な不安が忍び寄るのは周りの念の影響だろう。
威津那は体を抱きしめ痛みに耐える。
呪詛返しに苦しむ姿はみっともなくて正直見せたくなかった。
(なんとか、余計な呪詛はカラスが喰らった……)
あとは、負の念を威津那の体に取り込み己のものにするだけだ…なんどもやった、幼い頃から仕込まれた事だった……
(呪詛のような道具を体に入れるよりはいくらか楽だ…)
これは父に仕込まれた呪いの力。
祈りを巡らせられるならば呪い恨みですら巡らせるはずだ…
祝皇が未来に起こるかもしれない国民の不幸を皇の体をまず通って浄化させることの、逆をやれば呪術師の力の源になる。
それは、異能の力を増してくれる。
呪いは大なり小なり精神に支障を起こし自分をも呪う……
愚かなことをしていると自分を恨み悲しむ。
他人に怒りをむければ気は紛れるが、取り込むのは諸刃のことだった。
悔しさ憎しみ怒り悲しみ……
禍々しい呪いの念を威津那自信取り込む…同じになる馴染ませる……
(負の連鎖…闇を闇に紛れすべてを己のものに……)
威津那は涙を落とした。
悲しみのあまり、辛さのあまり胸が弾ける辛い痛みだった……この気持ちを叶えてあげたい…叶えなくては……無念などにはしない……
涙を見た橘は堪らず威津那に駆け寄る。
「威津那さん…威津那……苦しまないで……」
「っ!なんで……?」
威津那は苦しみながら驚く。
橘は威津那を胸に抱きしめてともに泣いていた。
「だめだ…君にも負の念がうつる……」
どかせようとすればするほど、ぎゅっと抱きしめて胸の柔らかさを感じる……
それがすべてを包み込むような慈愛の柔らかさに感じる。
威津那の赤い瞳に眩しい光が目に入る。
「これは……」
さらに、橘の胸にかけていた包石が威津那に取り巻く闇を祓う。
取り込んだはずの念をも全て『昇華』する特別な力だった。
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