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桜庭の姫の婚約者を召喚してみる大魔法
2☆咲羅子の気丈な理由
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「はぁぁ?あんた、私の胸見たことあるの?呪術で覗き見でもしてんの?」
顔を引きつらせながら正座する威津那を咲羅子は冷たい瞳で見下す。
「ないよ。橘と比べての想像だよ……」
体型は変わらないけれど同じ狩衣を着たときの厚みがやっぱり違うかな?と想像して言ってみた。
「妄想の間違いじゃないの?」
人を刺す程のドスのきいた声だった。
「私の胸は季節の物なの!あんたごときか妄想してんじゃないわよ!」
そういって、鞘でグリグリ眉間をやられる。
「咲羅子姉さん!やめて、私の威津那の顔が傷物になるっ!」
橘はグリグリする鞘を握って止める。
「ふん。橘が言うならやめてあげる」
咲羅子は橘に弱い。
「季節って?季節で大きさかわるの?」
威津那はわざととぼけて聞いてみた。
「またグリグリされたい?」
「咲羅子姉さんの婚約者で南の戦地に行って帰ってきてないの……」
そのことを聞いた威津那は深刻な顔をして、
「それは…辛いね……」
威津那自身軍に所属していたので、帰ってこない戦友を何人も見てきた。
伝達係も頼まれ、家族の悲しみを何度も見てきた…十年たった今でも家族を待ち続けているものも多い。
北方に行った捕虜で早く返ってきた者はレッドスパイとして帰国を許され反日活動を今も盛大にやっている。
(そういう奴らも見つけ次第まとめて始末してしまうのもいいかも……)
咲羅子の話よりも真剣に考え黙る様子にが、咲羅子には威津那は季節が死んでいるものだと確信しているように見えて、いつもは気丈な咲羅子も胸が痛くなって、
「死んでないし、生きて帰ってくるもん。何年何十年だって待ってるんだもん……」
咲羅子はついに涙ぐむ。
「季節が帰って来なかったらずっと、橘をあんたなんかにあげないんだから!橘と私は一連托生なんだから!約束したもんねっ?」
気丈さのゆえの意味のないいじわるを威津那に指を指して宣言する。
「確かにしたけどぉ……」
「それは困るなぁ。」
橘と威津那は同時に呟いた。
「この裏切り者っ!」
と、いいながら、二人の恋の進展を諦めてる風でもある。
咲羅子はあまりしつこくないさっぱりしている。
そこは好ましいと威津那は思う。
「まぁ、妹が無事に結婚してくれて子孫作ってくれれば桜庭家は安泰なのよね。まだ、桃子は十歳だけど……」
今は継母と姉妹二人で家を守っている。
桃子の実母で咲羅子の継母は優しくて実の母のように慕っている。
だが女世帯は心もとなかったが屋敷は晴綛が強盗や泥棒は即死するおまじないをかけてくれているので大抵なことは安心している。
咲羅子の父の桜庭の宮は戦死した。
敗戦で宮家は庶民の位になった。
桜庭家は咲羅子が女当主ということで自動的に宮家から外されるのは日和の掟でもある。
運命として受け入れていたから別段支障はなかったが、『使用人』イコール『奴隷』と西洋ルールでみなされて財産半分取られてしまって途方に暮れていたところに、代々祈り姫を守ってきた家宝の刀を見つけて今に至る。
実母の実家の滝口家の伝で伝統衛士の仕事を頂いている。
さらに年頃の咲羅子は親戚から結婚相手を進められているが、生まれたときからの婚約者の季節を待ち続けている事を理由に断り続けている。
本当は折れそうな心を必死に保っているのだ。
その事を威津那は珍しく察して、
「手のひら見せて……」
威津那は咲羅子の手をぐいっと無理やり引っ張って赤い瞳で未来を見る。
顔を引きつらせながら正座する威津那を咲羅子は冷たい瞳で見下す。
「ないよ。橘と比べての想像だよ……」
体型は変わらないけれど同じ狩衣を着たときの厚みがやっぱり違うかな?と想像して言ってみた。
「妄想の間違いじゃないの?」
人を刺す程のドスのきいた声だった。
「私の胸は季節の物なの!あんたごときか妄想してんじゃないわよ!」
そういって、鞘でグリグリ眉間をやられる。
「咲羅子姉さん!やめて、私の威津那の顔が傷物になるっ!」
橘はグリグリする鞘を握って止める。
「ふん。橘が言うならやめてあげる」
咲羅子は橘に弱い。
「季節って?季節で大きさかわるの?」
威津那はわざととぼけて聞いてみた。
「またグリグリされたい?」
「咲羅子姉さんの婚約者で南の戦地に行って帰ってきてないの……」
そのことを聞いた威津那は深刻な顔をして、
「それは…辛いね……」
威津那自身軍に所属していたので、帰ってこない戦友を何人も見てきた。
伝達係も頼まれ、家族の悲しみを何度も見てきた…十年たった今でも家族を待ち続けているものも多い。
北方に行った捕虜で早く返ってきた者はレッドスパイとして帰国を許され反日活動を今も盛大にやっている。
(そういう奴らも見つけ次第まとめて始末してしまうのもいいかも……)
咲羅子の話よりも真剣に考え黙る様子にが、咲羅子には威津那は季節が死んでいるものだと確信しているように見えて、いつもは気丈な咲羅子も胸が痛くなって、
「死んでないし、生きて帰ってくるもん。何年何十年だって待ってるんだもん……」
咲羅子はついに涙ぐむ。
「季節が帰って来なかったらずっと、橘をあんたなんかにあげないんだから!橘と私は一連托生なんだから!約束したもんねっ?」
気丈さのゆえの意味のないいじわるを威津那に指を指して宣言する。
「確かにしたけどぉ……」
「それは困るなぁ。」
橘と威津那は同時に呟いた。
「この裏切り者っ!」
と、いいながら、二人の恋の進展を諦めてる風でもある。
咲羅子はあまりしつこくないさっぱりしている。
そこは好ましいと威津那は思う。
「まぁ、妹が無事に結婚してくれて子孫作ってくれれば桜庭家は安泰なのよね。まだ、桃子は十歳だけど……」
今は継母と姉妹二人で家を守っている。
桃子の実母で咲羅子の継母は優しくて実の母のように慕っている。
だが女世帯は心もとなかったが屋敷は晴綛が強盗や泥棒は即死するおまじないをかけてくれているので大抵なことは安心している。
咲羅子の父の桜庭の宮は戦死した。
敗戦で宮家は庶民の位になった。
桜庭家は咲羅子が女当主ということで自動的に宮家から外されるのは日和の掟でもある。
運命として受け入れていたから別段支障はなかったが、『使用人』イコール『奴隷』と西洋ルールでみなされて財産半分取られてしまって途方に暮れていたところに、代々祈り姫を守ってきた家宝の刀を見つけて今に至る。
実母の実家の滝口家の伝で伝統衛士の仕事を頂いている。
さらに年頃の咲羅子は親戚から結婚相手を進められているが、生まれたときからの婚約者の季節を待ち続けている事を理由に断り続けている。
本当は折れそうな心を必死に保っているのだ。
その事を威津那は珍しく察して、
「手のひら見せて……」
威津那は咲羅子の手をぐいっと無理やり引っ張って赤い瞳で未来を見る。
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