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伝統の縁(でんとうのえにし)
1☆香茂薫
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「祝皇陛下を嫌いなら、日和国から出て行け!」
そう、クラスメイトに言い放ったのは、香茂薫だった。
十六歳の桜庭李流は香茂薫の意見とまるっきり同じだった。
ただ、面と向かって口に出さないだけで…
ことの経緯は…
「何で、日和国には皇帝なんか存在するんだ?この国って時代遅れな国だよなっ!」
とクラスの友達に賛同を得ようとした一人の男子の大声の言葉からだった。
その男子の友達も、
「そうだよなぁ!
なにもしてない贅沢している皇様に税金取られてえばられるなんて、ひどいよなー」
「いらないよなー!」
と他のクラスメイトも賛同し、
「だろ?」
と話が盛り上がっていた。
李流はその会話を聞いて怒りより絶望していた。
(陛下は贅沢もしてなければ税金を好き勝手使えるほどの権限もないんだよ!
遊んでるわけではなくて毎日毎日忙しく公務に専念しておられるのにっ!)
と李流は心の中で怒りの言葉を叫んていた。
その悔しさが握る拳に震えを生じさせる。
まったく皇室について教えられてない事がその発言のもとで、ほとんどの生徒、いや国民があの生徒のように思い込んでいる。
とても、ゆゆしき現状…
いつか、愛国心に、せめて祝皇陛下を尊敬する国民が増えてくれればいいのに…
と、怒りを通り越して心の中で嘆いていたが…
バンッ!
と不敬を吹聴するクラスメイトの机を叩く者が現れた。
「だったら、外国に住めばいんじゃね?お前ら?」
薫は言葉は軽いが、睨み殺せそうな表情でいう。
不敬を先導したクラスメイトは、その殺気に怖気づくどころか、食ってかかってきた。
「この国が悪いから注意してやってんだろ!」
「俺達が変えなきゃ、日和国は、よくならないってことだよ!」
「この世の中、皇さえいなければ平和なんだよ!」
支離滅裂なことを言い出した。
まるで、法子様にくってかかったあの子みたいだ。
すべて、日和国を統べる祝皇陛下が悪いと思い込んでいるようだ。
「はぁ?じゃぁ、なんで、今、平和に学校通ってんだよ?
なんで、陛下の悪口言って警察がこねぇんだ?」
と薫は疑問をわざと、口にする。
「隣の国なら、お前らが不敬ほざいただけで逮捕されて殺されてるわ!」
「……なっ!」
「そんなに祝皇陛下を嫌いなら、日和国から出て行け!」
そして、更に怒りに燃える拳で机を叩く。
メキリと机がひしゃげた。
そのことに唖然としゾッとするクラスメイトたち。
薫は構わず、殺気を込めてにらむ。
「それにな…我が国を治める祝皇が国民の幸せを祈り捧げられ平和にくらしている恵みに感謝しろよ!」
その言葉をきいた李流は、
(香茂は陛下の事をよく分かってる…)
と感嘆する。
「祝皇が皇でなくなったら、神に祈られることもなくなり、日和国は滅亡するんだよ。」
それも本当のことだ。
この反日教育にまみれた学校教育でそこまで言える同級生はいなかった…
李流は香茂薫に興味を湧いた。
薫に正論で言われてぐうの音も出ないのかと思っていた先導したクラスメイトは薫に怒りの瞳で睨み指を指し、
「そんな宗教な国なんか時代遅れでいらない!無くなってしまえばいいんだっ!」
「だったら、おまえの祖国に帰れ!売国奴のテロリストが」
先導した生徒が実はアル国籍である事を自慢していた事を知る薫はそう言って、今度は本気の怒りにまかせて机を真っ二つに叩き壊した。
教室中静まり返る。
「まぁ、机には罪はないからな!新しいの持ってきてやるよ。
だけど、二度目は持ってこないからな…」
二度目は机ではなくてお前がこうなるという含みが言葉の雰囲気にわざと含まされている事もクラスメイト全員わかってゾッとする。
(言っちゃったよ…みんな知らないふりをしてたのに…)
と李流だけではなく、聞き耳立てていた生徒は心の中で思った。
ツーチャンネルの権現とも言われてる薫は口が悪い。
黙ってれば、見た目可愛さが残る青年なのに。
素直で真っ直ぐな性格だ。
今知ったことは、陛下に関して、悪口言われるとキレるということだった。
さらに口が悪くなる。
しかも天性のものなのか、素で正論を言うから、ぐうの音も言えなくなる。
そんな香茂薫のことは同じクラスメイトだからある程度、こんなやつだと知っていた…
そして、女子の前でもスケベなことを平気で口にする。
そういうデリカシーのない所が李流は苦手に感じていた。
だけど、皇室についてこんなに熱い思いを持っている事は知らなかった…
むしろ、知らない、関係ない!とかいうタイプに思えて近づかなかった。
李流は、薫の態度に怯えるどころか、薫に対して、
(よく言ってくれた!)
と、絶賛した。
薫は李流の方を振り向いて壊れた机を抱えながら近づき、
「お前も、陛下を思うなら、このぐらい言えよ。意気地なし…」
突然、そう無表情というかイラッとした表情にで睨まれてすれ違い様に言われて、壊した机を変えに教室を出て行った。
「………なっ!」
ほんっと正論過ぎて腹が立つ!
(……ん?なんで?オレの考えをしっている?)
李流は不思議に思いながら心の中は穏やかじゃなかった。
それが、薫と会話のきっかけだった。
そう、クラスメイトに言い放ったのは、香茂薫だった。
十六歳の桜庭李流は香茂薫の意見とまるっきり同じだった。
ただ、面と向かって口に出さないだけで…
ことの経緯は…
「何で、日和国には皇帝なんか存在するんだ?この国って時代遅れな国だよなっ!」
とクラスの友達に賛同を得ようとした一人の男子の大声の言葉からだった。
その男子の友達も、
「そうだよなぁ!
なにもしてない贅沢している皇様に税金取られてえばられるなんて、ひどいよなー」
「いらないよなー!」
と他のクラスメイトも賛同し、
「だろ?」
と話が盛り上がっていた。
李流はその会話を聞いて怒りより絶望していた。
(陛下は贅沢もしてなければ税金を好き勝手使えるほどの権限もないんだよ!
遊んでるわけではなくて毎日毎日忙しく公務に専念しておられるのにっ!)
と李流は心の中で怒りの言葉を叫んていた。
その悔しさが握る拳に震えを生じさせる。
まったく皇室について教えられてない事がその発言のもとで、ほとんどの生徒、いや国民があの生徒のように思い込んでいる。
とても、ゆゆしき現状…
いつか、愛国心に、せめて祝皇陛下を尊敬する国民が増えてくれればいいのに…
と、怒りを通り越して心の中で嘆いていたが…
バンッ!
と不敬を吹聴するクラスメイトの机を叩く者が現れた。
「だったら、外国に住めばいんじゃね?お前ら?」
薫は言葉は軽いが、睨み殺せそうな表情でいう。
不敬を先導したクラスメイトは、その殺気に怖気づくどころか、食ってかかってきた。
「この国が悪いから注意してやってんだろ!」
「俺達が変えなきゃ、日和国は、よくならないってことだよ!」
「この世の中、皇さえいなければ平和なんだよ!」
支離滅裂なことを言い出した。
まるで、法子様にくってかかったあの子みたいだ。
すべて、日和国を統べる祝皇陛下が悪いと思い込んでいるようだ。
「はぁ?じゃぁ、なんで、今、平和に学校通ってんだよ?
なんで、陛下の悪口言って警察がこねぇんだ?」
と薫は疑問をわざと、口にする。
「隣の国なら、お前らが不敬ほざいただけで逮捕されて殺されてるわ!」
「……なっ!」
「そんなに祝皇陛下を嫌いなら、日和国から出て行け!」
そして、更に怒りに燃える拳で机を叩く。
メキリと机がひしゃげた。
そのことに唖然としゾッとするクラスメイトたち。
薫は構わず、殺気を込めてにらむ。
「それにな…我が国を治める祝皇が国民の幸せを祈り捧げられ平和にくらしている恵みに感謝しろよ!」
その言葉をきいた李流は、
(香茂は陛下の事をよく分かってる…)
と感嘆する。
「祝皇が皇でなくなったら、神に祈られることもなくなり、日和国は滅亡するんだよ。」
それも本当のことだ。
この反日教育にまみれた学校教育でそこまで言える同級生はいなかった…
李流は香茂薫に興味を湧いた。
薫に正論で言われてぐうの音も出ないのかと思っていた先導したクラスメイトは薫に怒りの瞳で睨み指を指し、
「そんな宗教な国なんか時代遅れでいらない!無くなってしまえばいいんだっ!」
「だったら、おまえの祖国に帰れ!売国奴のテロリストが」
先導した生徒が実はアル国籍である事を自慢していた事を知る薫はそう言って、今度は本気の怒りにまかせて机を真っ二つに叩き壊した。
教室中静まり返る。
「まぁ、机には罪はないからな!新しいの持ってきてやるよ。
だけど、二度目は持ってこないからな…」
二度目は机ではなくてお前がこうなるという含みが言葉の雰囲気にわざと含まされている事もクラスメイト全員わかってゾッとする。
(言っちゃったよ…みんな知らないふりをしてたのに…)
と李流だけではなく、聞き耳立てていた生徒は心の中で思った。
ツーチャンネルの権現とも言われてる薫は口が悪い。
黙ってれば、見た目可愛さが残る青年なのに。
素直で真っ直ぐな性格だ。
今知ったことは、陛下に関して、悪口言われるとキレるということだった。
さらに口が悪くなる。
しかも天性のものなのか、素で正論を言うから、ぐうの音も言えなくなる。
そんな香茂薫のことは同じクラスメイトだからある程度、こんなやつだと知っていた…
そして、女子の前でもスケベなことを平気で口にする。
そういうデリカシーのない所が李流は苦手に感じていた。
だけど、皇室についてこんなに熱い思いを持っている事は知らなかった…
むしろ、知らない、関係ない!とかいうタイプに思えて近づかなかった。
李流は、薫の態度に怯えるどころか、薫に対して、
(よく言ってくれた!)
と、絶賛した。
薫は李流の方を振り向いて壊れた机を抱えながら近づき、
「お前も、陛下を思うなら、このぐらい言えよ。意気地なし…」
突然、そう無表情というかイラッとした表情にで睨まれてすれ違い様に言われて、壊した机を変えに教室を出て行った。
「………なっ!」
ほんっと正論過ぎて腹が立つ!
(……ん?なんで?オレの考えをしっている?)
李流は不思議に思いながら心の中は穏やかじゃなかった。
それが、薫と会話のきっかけだった。
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