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伝統の縁(でんとうのえにし)
12☆李流のコンプレックス
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李流は殺気立った表情で薫を睨む…
ついこの間、自分も目の前の李流と同じことをした。
あの時は計画もあって脅しのつもりだったけれど、李流はとっさの事だった。
理性よりも胸に蠢いた感情のまま行動して苦しそうだ…と薫は心配する。
その証拠に背中で息を吐いている。
「誰にも…言うな…曾祖母の事もそれに関係することも……」
薫に知られたくなかった…反日する者たちを嫌いな同志に…
「ニダの王国の血を引くことをか?」
薫は李流の心を口に出す。
「そうだよ……オレはどうしても嫌なんだ……」
腕の檻はそのままに李流は顔を地面に向ける。項垂れる。
「生まれも国籍も血もほぼ日和国だけど…少しでも入っていると思うと辛い…」
コンプレックスだとわかってる。
それに、父が関係して大好きな日和国を侮辱する国を国民をどうしても許せない…………
きっとこの思いも読んでいるだろう…
だけどこの心を吐き出すことを止められない…
「だけど、皇族の祈り姫の血も入ってるってすごいじゃん!
俺はそこに感心したんだけど…」
確かに、薫が心を覗いて興奮気味に声に出したのはその事だけど……
「オレは薫みたいにあやかしだということを誇れない……
忌むべきものとしか思えないんだ。」
そう言って苦笑混じりの泣きそうな顔を薫にむける。
「だけど、お前は日和人だろ?国籍も心も。」
「……だけど血が混ざってる…」
いつもは真面目で真っ直ぐな李流が子供みたいな反論した事に薫はあははっ!と笑う。
そして、バンバンと檻にしている李流の肩を叩くと、李流はあまりの痛さに檻を解いて両肩を擦る。
「多少血が混ざってるだけでお前が反日ニダ人そのものになるわけじゃないだろ?」
スパンっ!と薫はストレートに正論を発する。
「それにお前の愛国精神と陛下一筋は誰にも敵わないよ。
反日ニダ人になるわけねぇし、なったとしても超親日ニダ人程度だろ?」
「ニダ人になりたくない…死んでもやだ…」
子供返りしやがって、李流らしくないと思うが、それが未熟な人間でもあるのだから仕方がない。
それに、父親のせいで心の一番深い傷になっているのだから…
自分にも覚えはあるが、そんな深くもなかった…年を経て父の気持ちを察する事ができるようになった。
それを癒やしてくれたのは親友である李流だ。
皮肉にも李流の父親と比べてだったけれど…
再び李流の肩をパンっ!と両手で叩いて、
「内緒にしてやるけど、誰かがその事を知って李流を否定することがあるならオレが黙らせてやるから安心しろ!」
ニッと笑って拳を作る。
「なおさら不安だよ……」
李流はやっと苦笑した。
薫はそんな李流をギュッと抱きしめて、
「俺はお前の親友なんだからな…お前の痛みは俺のものだ…!」
「薫…ありがとう…」
李流も自然に薫の背中に腕をまわす。
「おーい、お前たち、雅楽の授業はじめるよ……」
恐れ多くも、雅親王と晴房が二人の様子が気になり探しに来てくださった。
そして、ちょうど抱擁しているところをご覧になられた…
雅親王は袖を口もとにあてて、
「……そーゆう関係だったのか…日和国には男色という文がもあってだね…」
「そ、そういう関係じゃないです!」
慌てて二人は腕を離して距離をとる。
「俺、年上の彼女いるし!童貞じゃないですしっ!」
「そ、そうだったのか…」
李流は意外なことに驚く…
李流のその表情を勘違いした雅親王は、
「可哀想に、がっかりさせちゃダメだよ」
雅殿下はワザとなのか、本気なのかその、のほほんとした雰囲気でどう思われたのが、もどかしい気持ちになったのは言うまでもない。
一段落したところで授業を再開する。
「ついでに雅楽の発祥の地は雅楽をやっていないんだ。
千年の間に滅びた国が多いからね。」
その中には半島の国もある。
千年の間に日和国以外の国々は変わっていった。
雅楽は日和国に流れ着いた。
さらに、日和では使わない 、使えない楽器はいつの間にから消えて、今ある楽器のみになり、日和国風に日和国独自の音楽になったんだよ。
と、雅楽の楽器を一個、一個愛おしげに撫でながら説明してくださる。
「悪しき物も良きものへ変えていく、悪しきものは本来の良きものに変えていく……それが我が国だからね」
雅殿下は李流に微笑まれて、
「日和はほんと不思議な国で愛おしいね。李流君」
それは、李流の宿命を思って言ってくれたのだと察した。
「はい…とても愛おしい国です。日和国に生まれて嬉しいです。本当に…」
そして、自分のどうしようもできない心のわだかまりがなくなるように日和国の悪しき物を変える不思議なように、変わることがいつかできればいいな…と思う李流だった…
ついこの間、自分も目の前の李流と同じことをした。
あの時は計画もあって脅しのつもりだったけれど、李流はとっさの事だった。
理性よりも胸に蠢いた感情のまま行動して苦しそうだ…と薫は心配する。
その証拠に背中で息を吐いている。
「誰にも…言うな…曾祖母の事もそれに関係することも……」
薫に知られたくなかった…反日する者たちを嫌いな同志に…
「ニダの王国の血を引くことをか?」
薫は李流の心を口に出す。
「そうだよ……オレはどうしても嫌なんだ……」
腕の檻はそのままに李流は顔を地面に向ける。項垂れる。
「生まれも国籍も血もほぼ日和国だけど…少しでも入っていると思うと辛い…」
コンプレックスだとわかってる。
それに、父が関係して大好きな日和国を侮辱する国を国民をどうしても許せない…………
きっとこの思いも読んでいるだろう…
だけどこの心を吐き出すことを止められない…
「だけど、皇族の祈り姫の血も入ってるってすごいじゃん!
俺はそこに感心したんだけど…」
確かに、薫が心を覗いて興奮気味に声に出したのはその事だけど……
「オレは薫みたいにあやかしだということを誇れない……
忌むべきものとしか思えないんだ。」
そう言って苦笑混じりの泣きそうな顔を薫にむける。
「だけど、お前は日和人だろ?国籍も心も。」
「……だけど血が混ざってる…」
いつもは真面目で真っ直ぐな李流が子供みたいな反論した事に薫はあははっ!と笑う。
そして、バンバンと檻にしている李流の肩を叩くと、李流はあまりの痛さに檻を解いて両肩を擦る。
「多少血が混ざってるだけでお前が反日ニダ人そのものになるわけじゃないだろ?」
スパンっ!と薫はストレートに正論を発する。
「それにお前の愛国精神と陛下一筋は誰にも敵わないよ。
反日ニダ人になるわけねぇし、なったとしても超親日ニダ人程度だろ?」
「ニダ人になりたくない…死んでもやだ…」
子供返りしやがって、李流らしくないと思うが、それが未熟な人間でもあるのだから仕方がない。
それに、父親のせいで心の一番深い傷になっているのだから…
自分にも覚えはあるが、そんな深くもなかった…年を経て父の気持ちを察する事ができるようになった。
それを癒やしてくれたのは親友である李流だ。
皮肉にも李流の父親と比べてだったけれど…
再び李流の肩をパンっ!と両手で叩いて、
「内緒にしてやるけど、誰かがその事を知って李流を否定することがあるならオレが黙らせてやるから安心しろ!」
ニッと笑って拳を作る。
「なおさら不安だよ……」
李流はやっと苦笑した。
薫はそんな李流をギュッと抱きしめて、
「俺はお前の親友なんだからな…お前の痛みは俺のものだ…!」
「薫…ありがとう…」
李流も自然に薫の背中に腕をまわす。
「おーい、お前たち、雅楽の授業はじめるよ……」
恐れ多くも、雅親王と晴房が二人の様子が気になり探しに来てくださった。
そして、ちょうど抱擁しているところをご覧になられた…
雅親王は袖を口もとにあてて、
「……そーゆう関係だったのか…日和国には男色という文がもあってだね…」
「そ、そういう関係じゃないです!」
慌てて二人は腕を離して距離をとる。
「俺、年上の彼女いるし!童貞じゃないですしっ!」
「そ、そうだったのか…」
李流は意外なことに驚く…
李流のその表情を勘違いした雅親王は、
「可哀想に、がっかりさせちゃダメだよ」
雅殿下はワザとなのか、本気なのかその、のほほんとした雰囲気でどう思われたのが、もどかしい気持ちになったのは言うまでもない。
一段落したところで授業を再開する。
「ついでに雅楽の発祥の地は雅楽をやっていないんだ。
千年の間に滅びた国が多いからね。」
その中には半島の国もある。
千年の間に日和国以外の国々は変わっていった。
雅楽は日和国に流れ着いた。
さらに、日和では使わない 、使えない楽器はいつの間にから消えて、今ある楽器のみになり、日和国風に日和国独自の音楽になったんだよ。
と、雅楽の楽器を一個、一個愛おしげに撫でながら説明してくださる。
「悪しき物も良きものへ変えていく、悪しきものは本来の良きものに変えていく……それが我が国だからね」
雅殿下は李流に微笑まれて、
「日和はほんと不思議な国で愛おしいね。李流君」
それは、李流の宿命を思って言ってくれたのだと察した。
「はい…とても愛おしい国です。日和国に生まれて嬉しいです。本当に…」
そして、自分のどうしようもできない心のわだかまりがなくなるように日和国の悪しき物を変える不思議なように、変わることがいつかできればいいな…と思う李流だった…
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