祈り姫

花咲マイコ

文字の大きさ
10 / 79

10☆最後の逢引

しおりを挟む
 祈りの宮の塀の裏にいつものように法子は李流と逢い引き(深い意味ではない)している。

 今日は懐中電灯が必要ないほどに輝いた月が二人を照らす。

「発表会はうまく行ったぞ!李流のおかげじゃ!」

 月光に反射して目が輝いている訳ではない。
 発表会で自分の言いたいことをみんなに伝えたこと

 そのことに関して木金さんに詰め寄られたけれど、きちんと伝えられたことにも満足で李流に詰め寄るように武勇伝のように報告する。

「そういえば私だけじゃなくて、クラス委員が私のことフォローしてくれたぞ。
 私一人だけじゃ、木金さんに言い負けていたかもしれない。クラスのみんな洗脳されてると思ったけれどきちんと分かってる者がいるのも嬉しかったぞ!」

 それは自分の従兄弟だとは言わず

「まだ公に言えるような時代じゃないんですよ。みんな知らないことが多いですから」


「真実も言えないのは辛いな。」
 
 神妙に法子は考えつぶやいた。
 
「そうですね…」

 その言葉が不意に李流の胸にとげを刺す。

 李流も真実をすべてさらしていないからだ。

 法子は思いを言霊を口にする。

「いつかきっと真実を国民みんなが知る時代がくればいい……いいや、そういう時代がきっとくると思う。
近いうちにきっと……早くそういう時代がくるように私は祈り姫にならねば!」


 輝く満月に拳を突き上げ誓う。

 法子の誓いのポーズをみて李流は一瞬ぽかんとしてしまったけれど、

 姫宮さまはとても力強い決意を持っていらっしゃると思うと笑いがこみ上げて声を上げて笑ってしまった。

「あはは!法子様サイコー!」

 お腹を抱えて李流に笑われて顔が真っ赤になる。

「私はおかしいことを言ったのか?本気で言ったのだが……」

「いえいえ、とても可愛らしいし、アニメにでてくる正義のヒーロー…ヒロインのようですね」

「そ。そうか。」

 法子は照れる。

 照れる法子がかわいくて頭をついつい、なでなでしてしまう。
 とても、とてもおそれ多いことなのに……
 そうすると法子は照れながらもとても嬉しい表情をするのだ。

  法子は顔を引き締めると頭をなでてくれている李流の手を両手で包み込む。

 それは木金さんの手を包み込んだように。
  法子の暖かさが伝わってきて胸が熱くなってなぜだか感激で瞳が潤む。

「すべて李流のおかげじゃ。ありがとう。」

 今までにない最高の笑顔だと思い李流の息が詰まる。

「私に自信を持てたこと、日和を愛する心を与えてくれたこととても感謝している。」

「そんな……私はなにもしてません……私も法子様に会えただけで…」

 人生最大の喜び……

 と言おうとしたところで
  突然あたりを真っ白に照らすほどの光に包まれた。

「こんなところで宮様となにをしている!」

 宮廷警備員十人ほどが李流と法子を包囲した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...