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あやかしと神様の妊娠危機!?

4☆親族

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 学校の先生に自宅まで送ってもらって玄関に入るとジジ様が心配そうな顔をして待っていた。
 瑠香がジジ様に連絡したようだ。
「大丈夫だったよ。ジジ様」
 葛葉子はニコッと安心させるように微笑んだ。
「うむ、それは良かった。」
 ジジ様はニカッ!と笑うと指を鳴らし、狐耳と尻尾の生えた和風の式神人形が座布団を持って葛葉子を座らせて運びベットに寝かせる。
「あまり、無理してはいかんよ。葛葉子。橘も妊娠してるくせに無理した……全く母子だな……」
 ジジ様は当時のことを思い出して苦笑して葛葉子のおでこをしわしわの小さな手で撫でる。
 小さいけど大きくて温かく感じる。
「ジジ様、もっと母様のお話してくれる?」
 葛葉子に甘えるように言われるとジジ様は弱い、むしろ嬉しい。
「寒いから一緒に久しぶりに布団に入りたいのぉ……」
 ジジ様はわざと照れるようにそういった。
「うん、いいよ。手も握ってね。でも、おっぱい触ったら容赦ないからね……!」
 ジジ様は孫にも容赦なくおっぱいを触ることを思い出してハッとして警戒する。
「ちっ…」
 とジジ様は後ろを向いて舌打ちをして、
「そうじゃの、おっぱいは瑠香君とこれから生まれてくる赤子のものだからの。ひゃひゃひゃひゃひゃ」
 葛葉子は不審な瞳を向けながらもジジ様を布団に入れた。
 布団の中でジジ様と手を握る。
 とくとくと、血が繋がってるような感覚がする。
「ジジ様しか……私の近い親族はいないんだよね……おばさん達もいるけど……ジジ様が一番ちかいね……」
 小さい頃しか接したことの無いおばさんよりもジジ様の方が素直に甘えやすい……と葛葉子は思う。
 瑠香とは違う安心感。
 祖父と孫の慈愛を感じる……
「わしも、そう思っておるよ……子供を宿したとしても、可愛い孫に違いない……まだ、まだ、わしにとっては葛葉子は赤ちゃんじゃて……」
 葛葉子は大人とはまだ言えない……
 まだ、成人も迎えていないのにちゃんと恋愛をして結婚して赤ちゃんが宿った……
 それは葛葉子自身が望んだことだ。
 望みは叶っているけれど……
 何もかも早い気もする……
 怒涛な日々を過ごした……
 今やっと安らぎを感じて思う。
 もっとゆっくり大人になりたい……まだ子供のままでいたい……
甘えたい……と……

 ジジ様は、橘の幼い頃や妊娠した頃の話をしているうちに二人とも眠ってしまって、葛葉子はジジ様を抱き枕代わりに胸に抱きしめていた。
 瑠香が急いで帰ってきてその様子を見て不服な顔をされたのだった。
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