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あやかしと神様の補足事項

9☆克服

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 流れ込む人混みに巻き込まれる二人をポンタはニヤリと人を馬鹿にした笑みをして煙を残して消えてしまった。

 瑠香は人混みに巻き込まれてゾッとして怯んだ。
 様々な人の匂いが瑠香の鼻に入り込む。
「う、ぅぇ……」
 と、小さくえづいて、真っ青になってフラフラしてその場にうずくまりそうになる瑠香の腕を葛葉子は肩に担いで引っ張る。
 妖力を使えば男の瑠香でさえ軽い。
 葛葉子はなんとか人混みをぬい端の路上に移動させる。
「瑠香、大丈夫っ!?」
「ああ、なんとかな……」
 口元を抑えて吐きそうになっている。
「ちょっと、いい?」
 瑠香は潤んだ瞳で葛葉子を見つめて、ギュッと抱きしめる。
 ふくよかな胸に顔を埋める。
 思いっきりそこで深呼吸を繰り返す。
「葛葉子の匂いは落ち着くし元気が出る……」
 その様子をチラチラと他人に見られて恥ずかしいけど、瑠香の緊急事態なので仕方がない。
 背中と頭をポンポンと子供を宥めるように撫でる。
「葛葉子の匂いはほんと心地いい……はぁ……」
 といい、調子に乗って匂いだけではなく、やわらかさを何度も確かめるように頭をのっける。
「も、もう大丈夫?人見てるから……」
 葛葉子は顔を真っ赤にして戸惑う。
(自分からするのは嫌じゃないけど瑠香にされると恥ずかしい……それに外だし!)
 その必死の気持ちを聞いて顔を離して微笑む。
 顔色が戻って葛葉子も安心する。
「ほんっとオレ、人混みダメみたいだな……情けない……」
 と瑠香は自嘲する。
「うーん、それは人それぞれ弱点あるんだからしかたないよ」
 ふふっと葛葉子は笑う。
 何でも容量のいい瑠香の弱点がある事は人間味があって嬉しい。
 と思っている葛葉子の意に反して、
(人混みが苦手なんて、恥ずかしいし……これは絶対に克服してやる……)
 瑠香は新たな目標を立てる。
 瑠香と葛葉子は人混みが流れるのをみつめる。
 人混みが減ってからポンタを探すことにするが、人の流れは収まると言うよりかあつまってきた。
 それは、スターの写真を売る露天がいつの間にか出来ていた。
 ファンは争うように露天に並ぶ。隠し撮りしたような写真が並べられてファンは熱気覚めやらず写真を奪うように買う。
 すごい大人気だ。
 そんなスターと肩を並べたいあやかしなんて、ポンタくらいだ……と葛葉子は思う。
 人に害を及ぼすあやかしもいるけど、あやかしは人間に臆病な所もある。
 あやかしのポンタだって、そういう所はあるはずだ。
 それも克服して本気なんだと思うが、ポンタの嫁になる気もない。
 だから、ポンタには悪いけど早く見つけださなきゃと葛葉子は気を張り、ポンタの気配を探すが
《これは瑠香と狸の賭事じゃ黙ってみとれ》
 と菊に窘められた。
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