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あやかしと神様と吸血鬼

1☆文化祭の出し物

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 十月初旬、文化祭で葛葉子のクラスは仮装カフェをすることになった。

「葛葉子は狐かな?」
 久美は事もなげにそういった。

「えっ?」
 葛葉子は、ドキリとする。
『狐のあやかし』だっていうことがバレたと焦る。

「だって、いつも耳としっぽ出してるし…気づかないと思ったの?ねぇ?」
 久美は他の友達に同意を求めた。

「うん……見間違えかな?っ思ってたけど本物っぽいし…」
「…し、知ってたの?」
 気をつけていたつもりだし、出たらすぐに瑠香がキスしてくれて人の姿に戻ってたのに…

「知らないふりしてあげてたの。てか、見間違えかと思ってたけどそうじゃないみたいだし。」
「夏休み前なんかカッパの干物がいっぱい浮かんでたし、不思議じゃないよね」
 じーっと確認するように友達たちは葛葉子の耳を見る。
 見られて、試しに狐耳を出してみた。
 プルプル震えさせたり、耳を後ろに倒してみたりして、反応を確かめる。

「……怖く、ないの?」
 葛葉子は恐る恐る、顔色を伺いながら聞く。
 真陽も春子女王殿下も恐れないで触ったりモフモフするけれど、一般のクラスメイトはどうだろうと思った。
 今は昼休みでクラスメイトはクラスは人が少ない、ほぼ、友達だけだ。

「葛葉子だから怖くないよっ!」
 と友達みんなに声を合わされて言われた。
「わーん!みんな大好きー!」
 葛葉子はみんなにハグしまくる。

《学校生活を楽しみたいという願いを叶えるため、あやかしだと気づいたものには、感覚を麻痺させる妖術がかかるようになっている。だがあまり油断するな…》

 魂に入った菊がいった。

(ありがとう。菊)

 隠し事は心から少し窮屈な感じがするがこれでさらに友達と仲良くなれる気がして葛葉子は嬉しく感じた。
 瑠香は遠慮なく耳を出している葛葉子にぎょっとして、近づいてキスをしようとしたが、
 菊が瑠香にも同じことを伝えて、一応ホッとするが、不服だ。
 モフモフしていい権利は彼氏である瑠香の特権なのに…
 友達に遠慮なくモフモフされている葛葉子に、ヤキモチする。
 やわらかな胸を揉めない分、二人きりになると、モフモフをたのしんでいた。
 大きくため息を吐いて諦めた。
だが、今夜はいつも以上にモフモフ尻尾を弄んでやる…と計画しながら黙って葛葉子を眺めていた。
 瑠香は葛葉子が女友達と遊んでいるときは近づかない。
【学校生活を楽しみたい!】という葛葉子のささやかな望みでもあるからだ。
 女同士の話も楽しんでいる葛葉子の幸せを優先することにしている。
 そんな葛葉子を眺めているのも悪くない。
 女子たちからはそういうところが、ストーカーみたいだと揶揄されている。
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