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あやかしと神様と吸血鬼
9☆容赦のない瑠香さん
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「ジョアンっ!毎年毎年どうして、わざわざ日和国に来て少女を襲うのっ!」
マリアンヌの不思議な力なのだろうか、十字架の銀のチェーンが輝き伸びてジョアンという名の吸血鬼を巻きつけて逃げられないようにする。
『だ、だって、空腹に耐えられなくて、少しずつ飲んでただけだよ…』
『嘘をつくのはおよしなさいっ! ミイラになるまで吸っていたのを治療するのにどんだけ苦労してると思っているの!』
自分は吸血鬼ではないのに金髪の怪しい吸血鬼と噂まで広がってしまったほどだ。
『日和国の女の子の、血を飲めば一年空腹にもならないし…君を襲わなくて済むと思ったんだ!』
そのセリフにマリアンヌはポッと頬を赤らめる。
だけど自分のために他人が犠牲になるのは申し訳無い。
『日和国民をそんな理由で襲うなんていただけないね。吸血鬼は吸血鬼らしく、灰になってもらって、我が国民を傷つけた事の制裁受けてもらおうか?』
東親王は凄むときは本気で怒っている。
『そ、その義務はシスターである私におまかせください!』
マリアンヌは咄嗟に愛しい吸血鬼のジョアンを庇った。
けれど、ジョアンは目の色を銀に変えてマリアンヌを襲おうとするのを見逃さなかった東親王は札をジョアンに貼って止めさせた。
東親王殿下の阿闍梨の護符は古今東西有効らしい。
『うう、空腹過ぎて理性が飛ぶ…こんな私を止めてくれるのはうれしいけど、君を襲いたくないんだよ…神に愛される君を穢したく無いんだよ…』
ジョアンは苦しさに耐えながら涙を流しながらマリアンヌに訴える。
マリアンヌは胸が打たれる。
全ては愛するマリアンヌを傷つけないための行為だった。
そのことは知っていた…
だけど、嫉妬もしていた…他の女の子の血を吸うことに…
『神に愛された私の血はまずいとでも思っているの?』
ムッとジョアンを睨んでそう言った。
『思ってないよ!魅力的だよ!だから大切にしたいから触れないし飲めないんだよ…
自分と違ってまっとうに人として生きてほしいんだっ!だけど、側にいてほしい、捕まえてほしい私のワガママなんだ…』
マリアンヌは突然ジョアンの頬を挟み、深いキスをする。
『…私もあなたの事を愛してる…
神よりも…だから私の血を飲んで…』
そう言うと襟元を開けさせてうなじを見せる。
『おなじモンスターにして
私だって…我慢の限界がありましてよ…あなたに触れたいほどとても愛してるのに…』
愛しのマリアンヌのうなじに瞳は集中して理性を失いかけるが瞳をぎゅっと閉じて、
『ああっマリアンヌ!私はどうしても君を吸血鬼にしたくないよっ!どうしたらっ!』
といいまた深いキスを繰り返す。
キスが挨拶でもある文化圏の仏蘭西人はキスを挟まないと会話ができないのかなぁ…とあまりにもキスしまくっている仏蘭西人二人に東親王は呆れる。
まだ外国人だから仕方ないかと思えるが…
「……なら、あやかし…やめて人間になればいいんだよ……」
真っ黒なオーラを吹き出してドスの効いた低い声を地のそこから吐き出すように瑠香は言う。
口からも黒い煙が吹き出さんばかりに恐ろしい形相に、マリアンヌと、ジョアンは手を取り合っておののく。
「人間になれないから困ってるんだよっ!それができれば苦労はしないッ!」
ジョアンは牙を剥き出して八つ当たり的にそう言う。出来もしないことを言われるのが一番腹立たしい。
「その牙を抜けばいいんじゃない?」
東親王はアイディアを煌めいて言ってみた。
「簡単に抜けないから困ってるんだっ!」
もしこの牙が抜けたら…もしかしたら人に戻れるかも知れない…と初めてその考えがよぎる。
それは全知全能のマリアンヌを愛でる神が囁いたようにも聞こえたが…
「…神のお告げも戴いたし…オレがぬいてやるよ…」
審神者である瑠香はマリアンヌを愛でる神の言葉を聞くことが出来た。
ここは八百万おわす神の国。
欧州で、一神教の神といえど八百万の神の一柱にすぎない。
黒いオーラにキラキラ煌めく青い瞳を鋭く、殺気をみなぎらせて耳まで届くのではないかというほどの三日月型の恐ろしい笑みに見えた。
「葛葉子の体を傷つけたその牙を抜き祓ってやるっ!殺さないだけでもありがたく思えぇぇ!」
瑠香はマリアンヌを乱暴にどかせてジョアンに馬乗りになって香の力で口を閉ざさせないようにすると、親指と人差し指に力を込める。
メキメキメキメキ…ブシュ!
と力任せに抜く音が聞こえて、その光景を見る三人はゾッとする。
牙を抜いたところから勢い良く血が吹き出す。
その血が瑠香の顔を汚す。
けれどそれは様になっていて恐ろしくも美しくも見える…
『あう、あう、わわわわ…』
あまりの痛さと恐ろしさにジョアンは言葉を失う。
「もう一本……覚悟しろ…」
一本抜いて満足気な瑠香はその牙を放り出してもう片方に容赦なく取り掛かった。
その様子をマリアンヌはガタガタと震えて『あの人間、神というより悪魔だわ…』恐ろしさのあまり十字を何度も切って落ち着かせる。
その肩を東親王はやさしくさすり、
「ルカの神は人よりもあやかしに容赦無い神様だから…しかたないね」
と苦笑して言った。
「あやかしの四神を瑠香のものにした時も容赦なかったょ…」
葛葉子は青ざめて、あのときのことを東親王に告げる。
あのときのあまりの鬼畜ぶりにあやかしの四神達が逃げ出し、無理やり眷属にされたことを思い出したくなかったけれど思い出す…
さらに怒りは収まらなくて抜き放っただけではなく、ジョアンの顔をボコボコに殴ったのをマリアンヌは涙を流して止めさせた。
その後、無事人間に戻れた吸血鬼はシスターとともに幸せに暮らした。
そして二度と日和国には訪れないと誓った。
マリアンヌの不思議な力なのだろうか、十字架の銀のチェーンが輝き伸びてジョアンという名の吸血鬼を巻きつけて逃げられないようにする。
『だ、だって、空腹に耐えられなくて、少しずつ飲んでただけだよ…』
『嘘をつくのはおよしなさいっ! ミイラになるまで吸っていたのを治療するのにどんだけ苦労してると思っているの!』
自分は吸血鬼ではないのに金髪の怪しい吸血鬼と噂まで広がってしまったほどだ。
『日和国の女の子の、血を飲めば一年空腹にもならないし…君を襲わなくて済むと思ったんだ!』
そのセリフにマリアンヌはポッと頬を赤らめる。
だけど自分のために他人が犠牲になるのは申し訳無い。
『日和国民をそんな理由で襲うなんていただけないね。吸血鬼は吸血鬼らしく、灰になってもらって、我が国民を傷つけた事の制裁受けてもらおうか?』
東親王は凄むときは本気で怒っている。
『そ、その義務はシスターである私におまかせください!』
マリアンヌは咄嗟に愛しい吸血鬼のジョアンを庇った。
けれど、ジョアンは目の色を銀に変えてマリアンヌを襲おうとするのを見逃さなかった東親王は札をジョアンに貼って止めさせた。
東親王殿下の阿闍梨の護符は古今東西有効らしい。
『うう、空腹過ぎて理性が飛ぶ…こんな私を止めてくれるのはうれしいけど、君を襲いたくないんだよ…神に愛される君を穢したく無いんだよ…』
ジョアンは苦しさに耐えながら涙を流しながらマリアンヌに訴える。
マリアンヌは胸が打たれる。
全ては愛するマリアンヌを傷つけないための行為だった。
そのことは知っていた…
だけど、嫉妬もしていた…他の女の子の血を吸うことに…
『神に愛された私の血はまずいとでも思っているの?』
ムッとジョアンを睨んでそう言った。
『思ってないよ!魅力的だよ!だから大切にしたいから触れないし飲めないんだよ…
自分と違ってまっとうに人として生きてほしいんだっ!だけど、側にいてほしい、捕まえてほしい私のワガママなんだ…』
マリアンヌは突然ジョアンの頬を挟み、深いキスをする。
『…私もあなたの事を愛してる…
神よりも…だから私の血を飲んで…』
そう言うと襟元を開けさせてうなじを見せる。
『おなじモンスターにして
私だって…我慢の限界がありましてよ…あなたに触れたいほどとても愛してるのに…』
愛しのマリアンヌのうなじに瞳は集中して理性を失いかけるが瞳をぎゅっと閉じて、
『ああっマリアンヌ!私はどうしても君を吸血鬼にしたくないよっ!どうしたらっ!』
といいまた深いキスを繰り返す。
キスが挨拶でもある文化圏の仏蘭西人はキスを挟まないと会話ができないのかなぁ…とあまりにもキスしまくっている仏蘭西人二人に東親王は呆れる。
まだ外国人だから仕方ないかと思えるが…
「……なら、あやかし…やめて人間になればいいんだよ……」
真っ黒なオーラを吹き出してドスの効いた低い声を地のそこから吐き出すように瑠香は言う。
口からも黒い煙が吹き出さんばかりに恐ろしい形相に、マリアンヌと、ジョアンは手を取り合っておののく。
「人間になれないから困ってるんだよっ!それができれば苦労はしないッ!」
ジョアンは牙を剥き出して八つ当たり的にそう言う。出来もしないことを言われるのが一番腹立たしい。
「その牙を抜けばいいんじゃない?」
東親王はアイディアを煌めいて言ってみた。
「簡単に抜けないから困ってるんだっ!」
もしこの牙が抜けたら…もしかしたら人に戻れるかも知れない…と初めてその考えがよぎる。
それは全知全能のマリアンヌを愛でる神が囁いたようにも聞こえたが…
「…神のお告げも戴いたし…オレがぬいてやるよ…」
審神者である瑠香はマリアンヌを愛でる神の言葉を聞くことが出来た。
ここは八百万おわす神の国。
欧州で、一神教の神といえど八百万の神の一柱にすぎない。
黒いオーラにキラキラ煌めく青い瞳を鋭く、殺気をみなぎらせて耳まで届くのではないかというほどの三日月型の恐ろしい笑みに見えた。
「葛葉子の体を傷つけたその牙を抜き祓ってやるっ!殺さないだけでもありがたく思えぇぇ!」
瑠香はマリアンヌを乱暴にどかせてジョアンに馬乗りになって香の力で口を閉ざさせないようにすると、親指と人差し指に力を込める。
メキメキメキメキ…ブシュ!
と力任せに抜く音が聞こえて、その光景を見る三人はゾッとする。
牙を抜いたところから勢い良く血が吹き出す。
その血が瑠香の顔を汚す。
けれどそれは様になっていて恐ろしくも美しくも見える…
『あう、あう、わわわわ…』
あまりの痛さと恐ろしさにジョアンは言葉を失う。
「もう一本……覚悟しろ…」
一本抜いて満足気な瑠香はその牙を放り出してもう片方に容赦なく取り掛かった。
その様子をマリアンヌはガタガタと震えて『あの人間、神というより悪魔だわ…』恐ろしさのあまり十字を何度も切って落ち着かせる。
その肩を東親王はやさしくさすり、
「ルカの神は人よりもあやかしに容赦無い神様だから…しかたないね」
と苦笑して言った。
「あやかしの四神を瑠香のものにした時も容赦なかったょ…」
葛葉子は青ざめて、あのときのことを東親王に告げる。
あのときのあまりの鬼畜ぶりにあやかしの四神達が逃げ出し、無理やり眷属にされたことを思い出したくなかったけれど思い出す…
さらに怒りは収まらなくて抜き放っただけではなく、ジョアンの顔をボコボコに殴ったのをマリアンヌは涙を流して止めさせた。
その後、無事人間に戻れた吸血鬼はシスターとともに幸せに暮らした。
そして二度と日和国には訪れないと誓った。
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