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あやかしと神様のドキドキ同居
お墨付き
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日ノ入りから日ノ出前の見回りが西のあやかしである葛葉子の日課だ。
日ノ出になったら陰陽寮の瑠香の局に乗りこむ。
それは、瑠香に人間に戻る口づけをもらうためだ。
(瑠香のキスのお陰で、朝日が出てても大丈夫みたいだ。
仮の眷属の契約を交わしているからだろうか?)
いつもは学校に行く前にキスをしてくれることになっている。
でも今日は日曜。
学校がない。
(一日中朝日が大丈夫になっても、朝日が怖い。これは本能だな……)
瑠香にキスをもらわないと落ち着かなくて朝日が昇ると同時に瑠香の部屋に滑り込むのだ。
いつも瑠香も葛葉子が訪れると時に起きる。
なのに、今日は起きない。
そんな瑠香の寝顔をまじまじと見る。
(とても綺麗。美形。きらきら輝いて見える……友達が見せてくれるアイドル写真よりかっこいい)
……色気がある……
クンクン瑠香の匂いをかぐ。
いい匂いする。
《発情期か?》
綺麗な口元が意地悪く笑ってテレパシーで言ってくる。
「起きてるなら、さっさと起きろ!」
顔を真っ赤にして腕を振り上げて怒る葛葉子の手を取り押し倒す。
「キス……ほしい?」
押し倒されて言われてドキッとする。
掌を重ね指が檻のように交互に握られ逃げられない。
瑠香の顔は嫌いじゃない、むしろ好きだし、見つめられると恥ずかしくて、首をそらして瑠香の顔を見ないようにする。
《はやく……言え!》
着物の襟からのぞく首筋から鎖骨、胸元の谷間がそそる。
(…理性がなくなる前に言ってくれ……)
葛葉子は、恥ずかしさのあまり目をぎゅっと瞑り、
「ほ、ほしい……っ!」
「目を見て言って……」
優しい声音で言われると、警戒心を解いて言う事を聞いてしまう……
「意地悪……」
見つめ合うと恥しくふたり目を閉じて唇を重ねる。
「瑠香!いいかげんにしろ!」
几帳で仕切られた局の隣の部屋から顔を真っ赤にした中年の威厳のある狩衣を着た瑠香の父が怒鳴る。
(しまった!父が隣で徹夜で仕事をしていたことを忘れてた。)
「人様の娘を襲うようなことをするな!陰陽師、宮中で仮にも暮らすものが、節操ないことするな!」
瑠香は正座させられガミガミ怒られる。
陰陽寮長は隣に座る葛葉子をじろっとみて、
「……阿倍野殿に似てるな…」
「父に?」
「奥方だ」
「母は幼い時に亡くなったのであまり覚えてないのです……」
突然の死のあまり悲しすぎて忘れてしまっただけかもしれない……
その分、父は母の分も葛葉子をとても愛してくれた。
「白狐の化身…女陰陽師として活躍していたのですよ。巫女ではなくてね。」
「それは初耳です!」
陰陽寮長はいろいろ昔のことをいろいろ知っているようだ。
「そうか…なにも教えてもらってないのか……それとも白狐と同化して記憶が薄れたか……」
陰陽寮長はふと考え込む。
もっと聞きたいという葛葉子の顔を察して、
「若い頃、桜庭の姫君と仲良くて、悪霊退治をしていたのだよ」
時は戦後、迷える魂はとても多かった。
陰陽師たちも密かに暗躍したという。
陰陽寮長は顎に手を置き、考えてから、
「それに、香茂も阿倍野も血は同じだが、男女役割が別みたいだな。」
香茂は何らかの超能力、テレパシーは大体の一族は使える。
そしてなんらかの超能力をもっている者が陰陽師として宮中に仕えることになっている。
阿倍野の女子は『神憑き』でもあった。
阿倍野は御霊や神を宿しやすい体質のものが多い。
巫女として最上位を頂いたものもいるが陰陽師として働くことも多かった。
葛葉子は『神憑き』の能力を認められて巫女の道を目指した。
そして、母が葛葉子の姉である菊房は生まれながらにして『神憑き』で神の花嫁として神に選ばれた。
房菊は神殿で晴房を産み落とすというそそうをしたが、神は生まれたばかりの晴房と契約して、神の化身となった。
そのため、穢は清められ宮殿の穢の危機は回避した。
房菊の存在…命と引き換えに……
聞くものによっては、穢そのものだと晴房を毛嫌いする奥の宮中の者たちもいる。
だが、晴房は生まれた瞬間に一度霊的に生まれ変わって清らかな存在として宮中で、亡き祝皇、両陛下に可愛がられ、物心ついた頃に陰陽寮長と神の依代で審神者の瑠香が晴房を育てているのだが、晴房は恐る多くも陛下大好きで、遠慮なくご寝室に忍び込むこともあるが陛下も皇太子、宮様方も晴房をかわいがっておられ、晴房も幸せに暮らしている。
《まぁ、宮中で皇様方は晴房をかわいがっておるのは神で尊いのもあるが負い目もあるのよ》
陰陽寮長は恐れもなくそう、テレパシーで伝えてきた。
テレパシーが使えるのも香茂の家系なのだろう。
「今は、宮中の最強の守り神として阿倍野と縁を切り宮中で育てられているが晴房は幸せにやっている。阿倍野殿、君の父上には余計なことをしてほしくないものだがな……」
陰陽寮長は複雑な顔をしてため息を吐いた。
「はい……」
姉のしでかしたことの重みを、葛葉子は改めて恐れ多く感じ悲しくなる。
陰陽寮長はそんな葛葉子の肩をポンポンと優しく叩き、
「晴房は君の姉さんの子であることは代わりはない。叔母として晴房をかわいがってくれ」
「はいっ!」
葛葉子はそう言ってもらえて、心が軽くなり元気に答えた。
陰陽寮長の鋭さある外見とは真逆に優しいと知り、
「あの、私も陰陽師になれないでしょうか?」
葛葉子は前から考えていたお願いをしてみた。
「なに?」
やはり、陰陽寮長は目が鋭くて怖い。
なので、また葛葉子は怯えながら、
「いえ、掌典寮は穢に厳しくて……私のようなモノは邪魔なのです。」
いま住処としているところはそういう厳しいところで、部屋はもらっているが塗籠(物置)のようなところに住まわせてもらっている。
それに巫女たちには無視され続けられ、正直巫女寮に帰るのが辛くて白狐の仕事を理由に掌典寮に戻っていなかった。
「だからと言って家には帰りたくないのです……」
(父は皇室をすごく憎んでいるから…)
その言葉は怖くて言えなかった……
しかし、
《やはり憎んでいるのか》
瑠香は黙って心を、記憶を覗いていた。
きっと、陰陽寮長も葛葉子の頭の中を覗いていると、葛葉子は今悟り、
(疑われている……)
そう思うと、葛葉子は震えていた。
(父が陛下を憎むならば、いつか刃向かってくる可能性はあると思われてるかも……そんな末恐ろしいことしないために白狐と契約が成立してるのにっ!)
葛葉子正直憤る。
それに、白狐の魂が実家に行くなと警告をして、葛葉子の思考行動を抑制していると感じる。
それが、同化している証だ。
(潔白をしろと言うのならば、私自身は、陛下を愛してる。
陛下のためなら死ねるほど敬愛してる!)
葛葉子は強く心中でそう誓う。
言霊に出すよりも二人には伝わると思うから!
瑠香はその気持ちが伝わって苦しくなる。
瑠香は葛葉子の肩を抱き寄せ、
「オレが葛葉子にキスしなくては人に戻れない事を掌典寮が知ってるなら、男にキスされたなら巫女失格だ。
他の巫女にとっても穢になるし、そのことを知った巫女が嫉妬で荒御魂になる事もあると思うんだ。
オレが責任を取るよ、お願いだ父さん!」
瑠香は葛葉子の為に必死に訴える。
葛葉子に辛い思いをさせたくない。
自分のせいで、あやかしになってしまったかも知れないのにほおって置くことは出来ない…したくない……
「瑠香……」
葛葉子の肩を抱く手に手を添える。
陰陽寮長は鋭い目で二人の親密な様子を見て、
「結婚まで考えたら、許してやる」
「オレはそのつもりだ!」
「なら良し!」
間髪入れず肯定し承認された。
「ちょっとまて!私の気持ちは?」
勝手に嫁に決められても困る。
「君がここで暮らすなら、同意とみなすが?」
にやりと親子微笑む。
親子揃って既成事実化させようとしていると察する。
(私は陛下一筋なのに…)
そんな葛葉子の最終的な望みを完璧無視をして条件をつけられて、白狐のあやかしの葛葉子はフルフルと震える。
「人の弱みを……足元みて……意地悪親子めっ!」
葛葉子は憤り答えをはぐらかすため逃げ出そうとするが瑠香に陰陽寮長に見せつけるように抱きしめ話さない。
「子作りしていいか?父さん」
とんでもないことまで要求してきた。
「なっ!何を言う!」
「早く孫が見たいなぁ…」
陰陽寮長も、わざと、鋭い瞳を和ませて言う。
「まかせとけ!」
瑠香は声を弾ませる。
「ふ、ふざけないでっ!」
キスで人間に戻ったはずなのに狐耳と尻尾が出るほど葛葉子は怒る。
「というのは本気の冗談だが、辛かっだろう。」
陰陽寮長は優しく葛葉子の肩に手を置き、
「簡単な陰陽師の仕事も手伝ってもらうことになるが、瑠香の部屋の隣が空いている。」
空いていると言っても几帳や屏風で仕切られているだけだ。
それは、宮中どこの局も変わらない。
「ふふ、もとは君の母君が使っていたのだ。遠慮なく使ってくれ」
「あ、ありがとうございます!」
『許された』『信用された』気がして葛葉子はホッとし涙が落ちた。
陰陽寮長は袖で涙を拭いてやる。
陰陽寮長は優しい、父を思い出してしまうほどに…
「葛葉子!一緒に暮らすのか!?ハルは嬉しいぞ!」
様子を覗いていた晴房が飛び出して来て葛葉子に抱き着いた。
(ちっ!ハルがいたことを忘れてた。)
瑠香は舌打ちする。イチャイチャするのに最大の邪魔者だ。
「うんっ!よろしくな!晴房!」
晴房を抱っこして血のつながりを違いに感じた。
可愛い晴房とも一緒に居られるのも嬉しく思う葛葉子だった。
その日から葛葉子のドキドキな半同居生活が始まった。
喜んだ晴房が葛葉子の手を引いて陰陽寮を案内している間に、
「それにしても、許してくれるとは思わかった。」
「更に監視のためだ。怠るなよ……」
本当の優しさから来たことではないという事だ。
(わかっていたけれど……)
父は基本人を信用しない。
仕事上そういう立場なのだから仕方がないが…
「掌典はとくに穢はいかん。
阿倍野殿が式神を放つなら我らの仕事だろう。
人質ではないが葛葉子をいざとなれば使えるだろう。
彼は娘を溺愛していたからな……葛葉子の気持ちを考えていればだかな……」
他にもいろいろ起きることを考えているらしかった。
そこまで考えていなくて陛下を守れない。
父に学ぶところは沢山あると瑠香は素直に受け入れる。だが………
「葛葉子から目を離すなよ。逐一報告しろ」
「ああ…分かってる」
思いっきり疑われてることを知ったら葛葉子はどう思うだろうと、思うと少し胸がいたい…
まだまだ未熟で優しい瑠香だった。
「それと孫作りの時は、ハルに気づかせるな。」
(疑うくせに、許してくれるとは?)
「優秀な血を香茂に欲しい、お前たちの子なら、すごく可愛いだろう。早く孫が見たい。」
父も子煩悩な所があるから阿倍野の長の気持ちを理解するのか?
「あ、ああ……」
『お墨付き』を改めてもらうと照れる瑠香だった。
日ノ出になったら陰陽寮の瑠香の局に乗りこむ。
それは、瑠香に人間に戻る口づけをもらうためだ。
(瑠香のキスのお陰で、朝日が出てても大丈夫みたいだ。
仮の眷属の契約を交わしているからだろうか?)
いつもは学校に行く前にキスをしてくれることになっている。
でも今日は日曜。
学校がない。
(一日中朝日が大丈夫になっても、朝日が怖い。これは本能だな……)
瑠香にキスをもらわないと落ち着かなくて朝日が昇ると同時に瑠香の部屋に滑り込むのだ。
いつも瑠香も葛葉子が訪れると時に起きる。
なのに、今日は起きない。
そんな瑠香の寝顔をまじまじと見る。
(とても綺麗。美形。きらきら輝いて見える……友達が見せてくれるアイドル写真よりかっこいい)
……色気がある……
クンクン瑠香の匂いをかぐ。
いい匂いする。
《発情期か?》
綺麗な口元が意地悪く笑ってテレパシーで言ってくる。
「起きてるなら、さっさと起きろ!」
顔を真っ赤にして腕を振り上げて怒る葛葉子の手を取り押し倒す。
「キス……ほしい?」
押し倒されて言われてドキッとする。
掌を重ね指が檻のように交互に握られ逃げられない。
瑠香の顔は嫌いじゃない、むしろ好きだし、見つめられると恥ずかしくて、首をそらして瑠香の顔を見ないようにする。
《はやく……言え!》
着物の襟からのぞく首筋から鎖骨、胸元の谷間がそそる。
(…理性がなくなる前に言ってくれ……)
葛葉子は、恥ずかしさのあまり目をぎゅっと瞑り、
「ほ、ほしい……っ!」
「目を見て言って……」
優しい声音で言われると、警戒心を解いて言う事を聞いてしまう……
「意地悪……」
見つめ合うと恥しくふたり目を閉じて唇を重ねる。
「瑠香!いいかげんにしろ!」
几帳で仕切られた局の隣の部屋から顔を真っ赤にした中年の威厳のある狩衣を着た瑠香の父が怒鳴る。
(しまった!父が隣で徹夜で仕事をしていたことを忘れてた。)
「人様の娘を襲うようなことをするな!陰陽師、宮中で仮にも暮らすものが、節操ないことするな!」
瑠香は正座させられガミガミ怒られる。
陰陽寮長は隣に座る葛葉子をじろっとみて、
「……阿倍野殿に似てるな…」
「父に?」
「奥方だ」
「母は幼い時に亡くなったのであまり覚えてないのです……」
突然の死のあまり悲しすぎて忘れてしまっただけかもしれない……
その分、父は母の分も葛葉子をとても愛してくれた。
「白狐の化身…女陰陽師として活躍していたのですよ。巫女ではなくてね。」
「それは初耳です!」
陰陽寮長はいろいろ昔のことをいろいろ知っているようだ。
「そうか…なにも教えてもらってないのか……それとも白狐と同化して記憶が薄れたか……」
陰陽寮長はふと考え込む。
もっと聞きたいという葛葉子の顔を察して、
「若い頃、桜庭の姫君と仲良くて、悪霊退治をしていたのだよ」
時は戦後、迷える魂はとても多かった。
陰陽師たちも密かに暗躍したという。
陰陽寮長は顎に手を置き、考えてから、
「それに、香茂も阿倍野も血は同じだが、男女役割が別みたいだな。」
香茂は何らかの超能力、テレパシーは大体の一族は使える。
そしてなんらかの超能力をもっている者が陰陽師として宮中に仕えることになっている。
阿倍野の女子は『神憑き』でもあった。
阿倍野は御霊や神を宿しやすい体質のものが多い。
巫女として最上位を頂いたものもいるが陰陽師として働くことも多かった。
葛葉子は『神憑き』の能力を認められて巫女の道を目指した。
そして、母が葛葉子の姉である菊房は生まれながらにして『神憑き』で神の花嫁として神に選ばれた。
房菊は神殿で晴房を産み落とすというそそうをしたが、神は生まれたばかりの晴房と契約して、神の化身となった。
そのため、穢は清められ宮殿の穢の危機は回避した。
房菊の存在…命と引き換えに……
聞くものによっては、穢そのものだと晴房を毛嫌いする奥の宮中の者たちもいる。
だが、晴房は生まれた瞬間に一度霊的に生まれ変わって清らかな存在として宮中で、亡き祝皇、両陛下に可愛がられ、物心ついた頃に陰陽寮長と神の依代で審神者の瑠香が晴房を育てているのだが、晴房は恐る多くも陛下大好きで、遠慮なくご寝室に忍び込むこともあるが陛下も皇太子、宮様方も晴房をかわいがっておられ、晴房も幸せに暮らしている。
《まぁ、宮中で皇様方は晴房をかわいがっておるのは神で尊いのもあるが負い目もあるのよ》
陰陽寮長は恐れもなくそう、テレパシーで伝えてきた。
テレパシーが使えるのも香茂の家系なのだろう。
「今は、宮中の最強の守り神として阿倍野と縁を切り宮中で育てられているが晴房は幸せにやっている。阿倍野殿、君の父上には余計なことをしてほしくないものだがな……」
陰陽寮長は複雑な顔をしてため息を吐いた。
「はい……」
姉のしでかしたことの重みを、葛葉子は改めて恐れ多く感じ悲しくなる。
陰陽寮長はそんな葛葉子の肩をポンポンと優しく叩き、
「晴房は君の姉さんの子であることは代わりはない。叔母として晴房をかわいがってくれ」
「はいっ!」
葛葉子はそう言ってもらえて、心が軽くなり元気に答えた。
陰陽寮長の鋭さある外見とは真逆に優しいと知り、
「あの、私も陰陽師になれないでしょうか?」
葛葉子は前から考えていたお願いをしてみた。
「なに?」
やはり、陰陽寮長は目が鋭くて怖い。
なので、また葛葉子は怯えながら、
「いえ、掌典寮は穢に厳しくて……私のようなモノは邪魔なのです。」
いま住処としているところはそういう厳しいところで、部屋はもらっているが塗籠(物置)のようなところに住まわせてもらっている。
それに巫女たちには無視され続けられ、正直巫女寮に帰るのが辛くて白狐の仕事を理由に掌典寮に戻っていなかった。
「だからと言って家には帰りたくないのです……」
(父は皇室をすごく憎んでいるから…)
その言葉は怖くて言えなかった……
しかし、
《やはり憎んでいるのか》
瑠香は黙って心を、記憶を覗いていた。
きっと、陰陽寮長も葛葉子の頭の中を覗いていると、葛葉子は今悟り、
(疑われている……)
そう思うと、葛葉子は震えていた。
(父が陛下を憎むならば、いつか刃向かってくる可能性はあると思われてるかも……そんな末恐ろしいことしないために白狐と契約が成立してるのにっ!)
葛葉子正直憤る。
それに、白狐の魂が実家に行くなと警告をして、葛葉子の思考行動を抑制していると感じる。
それが、同化している証だ。
(潔白をしろと言うのならば、私自身は、陛下を愛してる。
陛下のためなら死ねるほど敬愛してる!)
葛葉子は強く心中でそう誓う。
言霊に出すよりも二人には伝わると思うから!
瑠香はその気持ちが伝わって苦しくなる。
瑠香は葛葉子の肩を抱き寄せ、
「オレが葛葉子にキスしなくては人に戻れない事を掌典寮が知ってるなら、男にキスされたなら巫女失格だ。
他の巫女にとっても穢になるし、そのことを知った巫女が嫉妬で荒御魂になる事もあると思うんだ。
オレが責任を取るよ、お願いだ父さん!」
瑠香は葛葉子の為に必死に訴える。
葛葉子に辛い思いをさせたくない。
自分のせいで、あやかしになってしまったかも知れないのにほおって置くことは出来ない…したくない……
「瑠香……」
葛葉子の肩を抱く手に手を添える。
陰陽寮長は鋭い目で二人の親密な様子を見て、
「結婚まで考えたら、許してやる」
「オレはそのつもりだ!」
「なら良し!」
間髪入れず肯定し承認された。
「ちょっとまて!私の気持ちは?」
勝手に嫁に決められても困る。
「君がここで暮らすなら、同意とみなすが?」
にやりと親子微笑む。
親子揃って既成事実化させようとしていると察する。
(私は陛下一筋なのに…)
そんな葛葉子の最終的な望みを完璧無視をして条件をつけられて、白狐のあやかしの葛葉子はフルフルと震える。
「人の弱みを……足元みて……意地悪親子めっ!」
葛葉子は憤り答えをはぐらかすため逃げ出そうとするが瑠香に陰陽寮長に見せつけるように抱きしめ話さない。
「子作りしていいか?父さん」
とんでもないことまで要求してきた。
「なっ!何を言う!」
「早く孫が見たいなぁ…」
陰陽寮長も、わざと、鋭い瞳を和ませて言う。
「まかせとけ!」
瑠香は声を弾ませる。
「ふ、ふざけないでっ!」
キスで人間に戻ったはずなのに狐耳と尻尾が出るほど葛葉子は怒る。
「というのは本気の冗談だが、辛かっだろう。」
陰陽寮長は優しく葛葉子の肩に手を置き、
「簡単な陰陽師の仕事も手伝ってもらうことになるが、瑠香の部屋の隣が空いている。」
空いていると言っても几帳や屏風で仕切られているだけだ。
それは、宮中どこの局も変わらない。
「ふふ、もとは君の母君が使っていたのだ。遠慮なく使ってくれ」
「あ、ありがとうございます!」
『許された』『信用された』気がして葛葉子はホッとし涙が落ちた。
陰陽寮長は袖で涙を拭いてやる。
陰陽寮長は優しい、父を思い出してしまうほどに…
「葛葉子!一緒に暮らすのか!?ハルは嬉しいぞ!」
様子を覗いていた晴房が飛び出して来て葛葉子に抱き着いた。
(ちっ!ハルがいたことを忘れてた。)
瑠香は舌打ちする。イチャイチャするのに最大の邪魔者だ。
「うんっ!よろしくな!晴房!」
晴房を抱っこして血のつながりを違いに感じた。
可愛い晴房とも一緒に居られるのも嬉しく思う葛葉子だった。
その日から葛葉子のドキドキな半同居生活が始まった。
喜んだ晴房が葛葉子の手を引いて陰陽寮を案内している間に、
「それにしても、許してくれるとは思わかった。」
「更に監視のためだ。怠るなよ……」
本当の優しさから来たことではないという事だ。
(わかっていたけれど……)
父は基本人を信用しない。
仕事上そういう立場なのだから仕方がないが…
「掌典はとくに穢はいかん。
阿倍野殿が式神を放つなら我らの仕事だろう。
人質ではないが葛葉子をいざとなれば使えるだろう。
彼は娘を溺愛していたからな……葛葉子の気持ちを考えていればだかな……」
他にもいろいろ起きることを考えているらしかった。
そこまで考えていなくて陛下を守れない。
父に学ぶところは沢山あると瑠香は素直に受け入れる。だが………
「葛葉子から目を離すなよ。逐一報告しろ」
「ああ…分かってる」
思いっきり疑われてることを知ったら葛葉子はどう思うだろうと、思うと少し胸がいたい…
まだまだ未熟で優しい瑠香だった。
「それと孫作りの時は、ハルに気づかせるな。」
(疑うくせに、許してくれるとは?)
「優秀な血を香茂に欲しい、お前たちの子なら、すごく可愛いだろう。早く孫が見たい。」
父も子煩悩な所があるから阿倍野の長の気持ちを理解するのか?
「あ、ああ……」
『お墨付き』を改めてもらうと照れる瑠香だった。
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