あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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あやかしと神様の狐の嫁入り

1☆白狐と稲荷狐姫

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 夏は神様やあやかしと妖怪が浮き立つ季節。
 人々の生命の熱気に魅了され神やあやかしが祭り紛れ込む。
 そして、浮足立つた人ならざるものが皇居宮中に入り込んでしまうこともあるらしい。
 人の警備では取り締まれないあやかしの者たちを皇を敬うあやかし達は四神会議で、

「より一層の強化月間にしよう!」
 という事になった。

 明日の期末期テストを悩んでいた葛葉子は夜の皇居宮中を見回りのため高く宙を飛び怪しいものがいないから見渡すが、心ここにあらずだった。
 
 瑠香に、
「護衛としてテストは関係ないが、恥を書かせてはダメだぞ。
……無理だと思うけど」

 バカにされて悔しいがそのとおりなので何も言えなかった。

 東殿下は高校は九月になったら転校で、夏は八尾比丘尼伝説探しをするご予定になっていた。
 東の護衛の葛葉子、瑠香、
臣は予定に合わせ一緒に転校する。
 だから、テストなんて関係ないと思っていても、学生の義務として、テストを受けよう!と東殿下が言い出した。
 点数はどうでもいいけどと言われているけれど、瑠香が言うように恥はかけられないと思い悩んでいた。
 悩んでいるくらいならテスト勉強しなくてはいけないけれど、このように見回りしていて勉強出来ないし、むしろ勉強苦手だ。
地に降りて、しゃがみ込み

はぁぁぁぁああ……

 と狐の耳を折り大きなため息を吐いた。

「その悩みを解決してさし上げましょうか?」
「え?」
 青白い炎と一匹の狐が葛葉子に、話しかけた。
 葛葉子は、警戒する。
 向こうから話しかけられるとは……

「警戒しないでください。」

 直立歩行した白狐だった。
 真っ白な花嫁の衣装で小袖の赤の縁取りと目の周りの紅の葉のような刺青が相まって美しい品を感じる。
「私はとある稲荷神社の狐の娘。萩姫と申します」
 深々と頭を下げられる。
 葛葉子も釣られて頭を下げる。
 純粋な神狐だと葛葉子はおもった。
 半分人間の自分とは違い向こうは本物の神狐。
 あやかしでも立派な由緒正しき白狐だとかんじる。
「あなたはどこのあやかしの狐ですか?」
「皇居宮中を守る白狐だ。」
 それだけでは、説明不足なので、
「西を守る四神の白虎の位を頂いた神狐で人とのあやかしだ。」
 宮中にはナマズが龍
 蛇と亀が玄武
 雀が朱雀
 葛葉子が西を守る白虎。
 本当の四神の化身としての信任のようなものだ。
 バトンタッチな形で受け継がれている。

「……そうか、西の概念のあやかし、神の化身か……」

 自分に宿った稲荷の白狐とは違うとは思っていたがそういうことかと葛葉子は、納得がいった。

「最近まで狸が守護を務めていたはずですが……」
 葛葉子は悲しい顔をして

「タヌさんは色々なことを教えてくれて、死んでしまったんだ」
 萩姫もかなしげに

「そうですか、残念です。狸にしては心優しい方だったようですからね。
 人の頼みを断れないよい、あやかしと聞いていましたのに」
 本当に残念そうで、タヌさんに何か頼みごとをしようと思ってたふうだった。

「わ、わたしだって、タヌさんの後任として頑張っているぞ!」
 タヌさんに負けないくらい皇居を、守りたいと思っている。
 四神の獣たちとも仲介してくれたのもタヌさんだった……
 だけど悲しんでばかりはいられない。
「ところで、あなたは何に悩んでいたのですか?」
「テストをするのが嫌だな……思って……」
葛葉子は警戒もせずに、話してしまった。
萩姫は口もとを隠してほくそ笑んだ。
「なら、テスト期間中でいいから、私と入れ代わってくれませんか?ここの守りも神狐のよしみでお守りしますから。」
「いや、この仕事は私の仕事だし!」
 代わるわけには行かないと思っていたら、目を見つめられた。

「お願いです。私も嫌なことがあるのです……」
 手を握られ懇願される。
「テスト百点取れるか?」
 代わる条件みたいなことが口から出てしまう。
「そのくらい簡単なことですわ、神力でも使えば簡単ですわ……」
 葛葉子はそこまで出来ないしやり方を知らない。

「東殿下に迷惑を掛けたくないのでしょう?」
 狐の姫は更にたたみかける。

「テストの点数が悪くて、恥をかかせては皇族を守る護衛として失格になりますわよ……」

 瑠香と同じことを言われる。
 やっぱりみんなそう思うのかなぁと弱気になった所を操られる。
「葛葉子は萩姫になるのです、嫌な運命を取り替えましょうね」
「なんで、わたしの名前……知ってんだ?」
めまいがする、気が遠くなる、
「わたくしと、テストが終わるまで入れ替わればよいのですわ、頷いてくれますわよね?」
 意識がもうろうとしている、操られている葛葉子は首を立てにふった。
「たぬきよりも同じ狐のほうが、都合も良うございましょう。皆にとっても、あの方にとっても……」
 葛葉子は朦朧としてというより深層心理にある人としてのしがらみに負けてうなずいてしまった。

 狐はにやりと微笑んだ。
 葛葉子は未熟なあやかしだった。
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