主婦と神様の恋愛事情

花咲マイコ

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10☆雪と晴房の恋愛事情☆キスマーク(エンド)

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「雪………?」
「怖かった………」
 晴房さんが来てくれなかったら………と思うと体が震える。

「晴房さんじゃなきゃ、ダメって思ったの…助けに…来てくれ、てありがとう……」

 雪の震える体を晴房は更に抱きしめる。
 すると震えが不思議とおさまる…やっぱり神様だと思う…
 やっと安心した雪は晴房を見つめ微笑む。
 雪のそんな笑顔が美しく思う…

「この身は李流のためにあって、晴房さんのためにもあるって改めておもっ…………んっ!」

 晴房の唇が雪の唇を触れる。
 そして、柔らかな唇の感触に正直驚いて離れる。
 
「上手くいかぬな………初めてだからな…」

 一瞬、晴房さんも相良と変わらないのとをすると思ったけど嫌ではなくむしろ…………

「安心させるには唇が一番と瑠香がいっておってな。」

 顔を真っ赤にさせて照れてる晴房にぷっと笑って、

「わ、笑うことなかろう…………」
「晴房さん…好きよ。晴房さん以外とこんなことしたくないわ」
「雪…」
 晴房の肩に手をかけて、雪ほうから晴房の唇に口づける。
 甘い吐息が唇からもれると、また晴房の方から口づけをする、お互い繰り返す。
 飽きない、飽き足りない…
 体を一つに、魂を一つに溶け合いたいほどの愛しさと切なさがお互いを結びつける。

 愛しい………
 この先ではなく今しか考えられない………



「初めてを雪に捧げてしまった………」

 ぽっ…と頬を赤らめ乙女のような仕草をワザとする晴房にふふっと雪は笑い、
「普通、女のセリフですけどね」
「嫌だったか?」
「嫌ったらこんなことしないもの………」

「胸元が赤くなってる虫刺されか?」

「あなたに刺されたの…」
 晴房は初めてにしては情熱的だった。
 無意識で覚えてないようだった。
 雪は晴房の腕にキスをすると赤く跡がつく。

「そうか、これがキスマークと言うものなのだな………」
 寄り添う雪の髪をなでておでこに、頬に、優しく口づける。

 まだ足りない………

 雪の右手に左手を重ねて晴房はベッドに雪を押し倒す、雪のすべてに口づけを……
 自分のものだという証を残した…

 朝、晴房は初めて雪の手作りを食べて幸せな恋人気分を満喫した。



「ハル様、腕に虫に刺された跡がありますよ?」
「ん?これか?」

 これは…なんと言ったらいいものか。
 お前の母に付けられた…とは、まだ言えないし…
 瑠香は晴房の考えを覗いて吹き出す。

《そ~ゆー事は言わないものだ、ハル。 
虫刺されにしておけ。》

 瑠香にテレパシーで助言され、

「ダニカナ?」

「オレの局にもいるということですよね?」
 李流は信じた。真直ぐ性格だ。
「そういえば、写真はどうした?整理できたか?」
「はい。それはバッチリ!」
 母親より尊き方が優先な李流
の顔をよく見ると目に隈ができている。
 徹夜したのかと思うと申し訳なく思う。

「それお前にやる」
「は?陛下に献上するんじゃないんですか?」
「そんな話したっけ?」

 しれっと、ごまかした。
 李流の晴房に対しての敬意が減少したことは間違いなかった。

 その後、雪が妊娠した後、李流の殺気を生むことになるのは宿命だった。



9年後。

「李流よ、大魔法使い更新か?」
李流は『二八歳過ぎたら大魔法使い』ネタは古すぎると思いながら、
「ハル様のように大事な人に捧げたいですし、汚れた身を宮様に捧げたくないですしね。」
当然のごとくにいう。

 魂から李流は皇室を心酔してる。
「私を超える大魔法使いになりそうだな」

 ハッハッハーと李流の背中を叩く。

「パパ上、僕も魔法使いになりたい!」
「好きな女が現れるまで、身を清くしてればなれるぞ!」
「…………」

 親子仲の良さをみると、少し羨ましくもあり幸せな家族だと、李流は思う。
 母も幸せなら自分も幸せだと、しみじみと感じた。
 弟たちには自分と同じ感情がなく健やかに育って欲しいと心から思うのだった。
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