主婦と神様の恋愛事情

神様と大切な思い出

5☆審神者

「私が、お前の中から、雪さんの存在を消してやろうか？」

　瑠香の切れ長な瞳の目の色がブルーに変わる。
　そして猫のようにキラキラ光る。

　晴房はドキリとする。
　生まれた時からの付き合いで、本気で瑠香が怒るとこうなる。

　いたずらして何度となく、瑠香を怒らせたことがあるが、反省をしないから何度も見る。
　大人になって今が初めてだ。

　瑠香は神の化身というより審神者に近い。
　神を選び裁く力を持つ。
　神であり裁判官。
　神と交信の役目もある
　外で力を使うときは瑠香の許しがいる。

「力は使えないのであろう？」

「使わないだけだ……
　審神者として、陛下を守るための心意気を審査すればお前は不合格だ。
　神に告げ雪を存在を、消してもかまわぬのだよ。」

　良い香りが漂う。
　瑠香の血族は代々香道を扱い不思議な力も受け継いできた。
　神の力ではなく超能力。
　香りは脳に作用する。

　晴房が現れるまで、瑠香の一族がスパイや謀反者を抹殺していた。

「桜庭雪のすべてを忘れるが良い……
　そうすれば、お前の望み通り、苦しみはなくなる」

　晴房は初めて自分が苦しんでいることに気がついた。、雪のために苦しんでいる。
　祝皇陛下のために苦しんだことはないのに……

　それは、神との契約違反…
　祝皇を守る神の化身のとして失格だ。
　このまま、雪を忘れた方が身のためかもしれない……

　だけど、忘れたくない

ドカッ！

　晴房は瑠香の腹を蹴っていた。