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スケバンの恋の行方
6☆融合の悪霊
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雪は再び榊の後ろに乗りトンネルを走る。
「ちょっと待て、私の後ろに乗ればいいじゃないか!」
榊誠に雪に密着して振り下ろされないようにしているだけだが、緒丹子にとってとても破廉恥で腹立たしかった。
「うーん。もし、緒丹子ちゃんの金棒を振り回して雪ちゃんに当たっちゃったらダメでしょ?」
雪と緒丹子はその危険性を想像すると納得する。
「それに僕はバイクで走るだけで、雪ちゃんが幽霊退治をするんだ。僕は安全運転に専念するからね」
それは法定速度を守るということだろうか?
「競争を仕掛けられたら本気出してもらわなきゃ、困りますよ。悪霊との勝負で勝たなければ悪霊の仲間入り=事故に遭わされてしまうのだから……」
この仲間からトンネルの噂を聞いていた雪は注意する。
「ふん、あたしのスピードに敵うやつがいると思ってんのか?誠さんも本気を出せば早いんだから、心配すんな!」
緒丹子は自信満々にバイクをわざと吹かせて胸を張る。
「宮中に勤める者だからもう、本気は出さないけどね…できる限り頑張るよ」
法定速度違反で警察に捕まったら宮中、陛下の顔に泥を塗る行為で切腹ものだ。
榊誠の一番恐ろしいことは自分が犯すミスが連帯して迷惑をかけることだった。
「絶対、サツに捕まるわけにはいかないね……」
穏やかな榊誠の雰囲気に冷たいものを雪は感じた。
昔、捻くれていたということは嘘ではないのかも知れない。
桜庭夫妻に根性叩き直されたと言っていたことを雪は思い出す。
トンネルに入って五分は経った。
前に車がなければ一分もしないで抜けるトンネルなのだが抜けられていない。
外から見れば瘴気溢れるトンネルだったが中に入れば普通にトンネルにライトが照らす走りやすい空間だった。
ふと、緒丹子は後ろを向くと後ろは塞がれたように真っ暗になっている。
「異界に閉じ込められたな……」
と緒丹子は榊誠と走行してそう呟いた。
「そ、そうなんだ…僕にはわからないけど嫌な雰囲気はあるよね」
榊誠も気を引き締めている。
「そういえば緒丹子さんはそういうものが見えるんですか?」
雪は忘れていた疑問をする。
「あんたと同じとは言わねえけど、彷徨える魂を狩る仕事は代々してんだよ。」
「だったらこのトンネルも緒丹子さんが一人で狩ればいいのに…」
と、雪は素直に口にしてため息を吐いた。
そんな雪の態度に緒丹子はムッとする。
「私は誠さんと二人っきりで退治したかったんだよっ!」
トンネルに響くほどの怒鳴り声を上げた。
「そうだったんだーごめんねー。でも僕は鬼は見えても悪霊はよく見えないからさー。雪ちゃん最強だから許してよ」
「お前、最強なのか……」
雪の秘めた気配は尋常じゃないと緒丹子は会った時からピリピリ感じていた。
それは太刀の者のせいなのか、元からある雰囲気か……
「とにかく人の世にあだなす存在を斬るだけよ…」
フルヘルメットのせいで表情はよく見えないが妖艶さがあると緒丹子は感じた。
陛下の祈りの祝福からこぼれ落ち魑魅魍魎を斬るのが太刀のもの退魔の太刀の役目だ。雪の退魔の太刀は闇に落ちた神までも叩き切る。
『我々と勝負するか?』
『我らに勝てると思ってるのか?』
『勝てなかったら僕と体が一緒になっちゃうよーそれでいいよねぇ』
『ケケケケケケケケェェエ!』
榊誠の真横に突然バイクが現れた。
バイク本体には人の顔が張り付いてこちらを見る。
バイクの上には人の姿をした黒い煙のような人が乗っている。
「汚された神……?」
雪は神の存在に敏感だった。
《トンネル工事の神の清めを怠ったせいだろうな》
退魔の太刀は言う。
《この人間どもは山を穢した贄として土地を汚しこの土地の神に取り込まれておる。だが此奴は我の強い霊のためさらに似たようなものに事故を起こして、取り込み、さらに土地神が穢れていくのだ》
自然を御そうと言う人間の敬意を持たない力は土地をいつの時代も汚すのだと退魔の太刀は言う。
「神さまと霊を分離させろってことね…」
《だが我にかかれば穢れた神も消えるがな…》
「閻魔様に腐った魂持っていかなきゃなないから、別れさせてくれた方が良いいんだけどな」
「閻魔様?あなた太刀の声聞こえるの?」
「ああ、なぜだかな…元は鬼神に関係した太刀なのかもな…」
と、緒丹子は考えたことを口にする。
《ふふ…そうだったかもな》
太刀は嬉しそうにそう答えた。
「それにこいつらバイク事故だけじゃねぇんだよ、殺人強盗、ありとあらゆる罪が重なった業の深い奴らなんだ。それがなぜか神と同化したらしくてな……」
「邪神になっちゃったてことかー。なかなか人間の社会以外のことって複雑で単純に表現されるみたいだね」
色々の禍事が具現化しているトンネルの事件の真相だった。
普通の人間なら理解することすら拒否するが能力ある者たちは全てを素直に受け入れて理解し解決する事を実行する本能がある。
「全てを断ち切らねばならない……」
榊誠と雪はそう言霊に出した。
「ちょっと待て、私の後ろに乗ればいいじゃないか!」
榊誠に雪に密着して振り下ろされないようにしているだけだが、緒丹子にとってとても破廉恥で腹立たしかった。
「うーん。もし、緒丹子ちゃんの金棒を振り回して雪ちゃんに当たっちゃったらダメでしょ?」
雪と緒丹子はその危険性を想像すると納得する。
「それに僕はバイクで走るだけで、雪ちゃんが幽霊退治をするんだ。僕は安全運転に専念するからね」
それは法定速度を守るということだろうか?
「競争を仕掛けられたら本気出してもらわなきゃ、困りますよ。悪霊との勝負で勝たなければ悪霊の仲間入り=事故に遭わされてしまうのだから……」
この仲間からトンネルの噂を聞いていた雪は注意する。
「ふん、あたしのスピードに敵うやつがいると思ってんのか?誠さんも本気を出せば早いんだから、心配すんな!」
緒丹子は自信満々にバイクをわざと吹かせて胸を張る。
「宮中に勤める者だからもう、本気は出さないけどね…できる限り頑張るよ」
法定速度違反で警察に捕まったら宮中、陛下の顔に泥を塗る行為で切腹ものだ。
榊誠の一番恐ろしいことは自分が犯すミスが連帯して迷惑をかけることだった。
「絶対、サツに捕まるわけにはいかないね……」
穏やかな榊誠の雰囲気に冷たいものを雪は感じた。
昔、捻くれていたということは嘘ではないのかも知れない。
桜庭夫妻に根性叩き直されたと言っていたことを雪は思い出す。
トンネルに入って五分は経った。
前に車がなければ一分もしないで抜けるトンネルなのだが抜けられていない。
外から見れば瘴気溢れるトンネルだったが中に入れば普通にトンネルにライトが照らす走りやすい空間だった。
ふと、緒丹子は後ろを向くと後ろは塞がれたように真っ暗になっている。
「異界に閉じ込められたな……」
と緒丹子は榊誠と走行してそう呟いた。
「そ、そうなんだ…僕にはわからないけど嫌な雰囲気はあるよね」
榊誠も気を引き締めている。
「そういえば緒丹子さんはそういうものが見えるんですか?」
雪は忘れていた疑問をする。
「あんたと同じとは言わねえけど、彷徨える魂を狩る仕事は代々してんだよ。」
「だったらこのトンネルも緒丹子さんが一人で狩ればいいのに…」
と、雪は素直に口にしてため息を吐いた。
そんな雪の態度に緒丹子はムッとする。
「私は誠さんと二人っきりで退治したかったんだよっ!」
トンネルに響くほどの怒鳴り声を上げた。
「そうだったんだーごめんねー。でも僕は鬼は見えても悪霊はよく見えないからさー。雪ちゃん最強だから許してよ」
「お前、最強なのか……」
雪の秘めた気配は尋常じゃないと緒丹子は会った時からピリピリ感じていた。
それは太刀の者のせいなのか、元からある雰囲気か……
「とにかく人の世にあだなす存在を斬るだけよ…」
フルヘルメットのせいで表情はよく見えないが妖艶さがあると緒丹子は感じた。
陛下の祈りの祝福からこぼれ落ち魑魅魍魎を斬るのが太刀のもの退魔の太刀の役目だ。雪の退魔の太刀は闇に落ちた神までも叩き切る。
『我々と勝負するか?』
『我らに勝てると思ってるのか?』
『勝てなかったら僕と体が一緒になっちゃうよーそれでいいよねぇ』
『ケケケケケケケケェェエ!』
榊誠の真横に突然バイクが現れた。
バイク本体には人の顔が張り付いてこちらを見る。
バイクの上には人の姿をした黒い煙のような人が乗っている。
「汚された神……?」
雪は神の存在に敏感だった。
《トンネル工事の神の清めを怠ったせいだろうな》
退魔の太刀は言う。
《この人間どもは山を穢した贄として土地を汚しこの土地の神に取り込まれておる。だが此奴は我の強い霊のためさらに似たようなものに事故を起こして、取り込み、さらに土地神が穢れていくのだ》
自然を御そうと言う人間の敬意を持たない力は土地をいつの時代も汚すのだと退魔の太刀は言う。
「神さまと霊を分離させろってことね…」
《だが我にかかれば穢れた神も消えるがな…》
「閻魔様に腐った魂持っていかなきゃなないから、別れさせてくれた方が良いいんだけどな」
「閻魔様?あなた太刀の声聞こえるの?」
「ああ、なぜだかな…元は鬼神に関係した太刀なのかもな…」
と、緒丹子は考えたことを口にする。
《ふふ…そうだったかもな》
太刀は嬉しそうにそう答えた。
「それにこいつらバイク事故だけじゃねぇんだよ、殺人強盗、ありとあらゆる罪が重なった業の深い奴らなんだ。それがなぜか神と同化したらしくてな……」
「邪神になっちゃったてことかー。なかなか人間の社会以外のことって複雑で単純に表現されるみたいだね」
色々の禍事が具現化しているトンネルの事件の真相だった。
普通の人間なら理解することすら拒否するが能力ある者たちは全てを素直に受け入れて理解し解決する事を実行する本能がある。
「全てを断ち切らねばならない……」
榊誠と雪はそう言霊に出した。
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