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彼女は宇宙人
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香茂桂は星を見ることが好きだった。
夜空の輝きは美しく、キラキラした宝石箱たった。
叔母である真陽も星を眺めるのが好きで小さい頃望遠鏡で星を見せてもらったこともきっかけかも知れない。
地球から肉眼で見る星はとても美しいけれど、いろんな星々に、行ってみたいという壮大な夢が桂にはあった。
いろんな宇宙人と出会いたい。
「むしろ、宇宙人が恋人になったら永遠に離れなくて済むんじゃないかな?」
と、十歳の頃、つい口に出して言ってしまったら、
「桂は発想が面白いな。」
「だって……」
桂は少ししゅんとして…
(別れが…こわいもん……)
父の瑠香は桂の心の声をテレパシーで聞いて、
(だな……本当に……)
と、返してくれた。
父は暗く青ざめる。
父の不安は幼い頃から伝わってきていた……
母の葛葉子があと五年しか生きられないからだ……
その分濃厚な家族の思い出をたくさんたくさん作って家族にも愛情をたっぷりくれた父が、母を亡くした途端全てをぶち壊した……
「お前らがいなければ、もっと葛葉子と一緒に過ごせたのに……」
酷すぎる。
それ以降父とは疎遠で、家には一時期誰もいなくなってしまった。
父が宮中の仕事から帰ってくる時以外は家に帰らず祖父母の家で育った。
その時、叔母さんに天体の部屋を譲ってもらってそれからずっと空を観察していた。
現実逃避もあるけれど、やっぱり星が宇宙が好きで、宇宙人に会いたかった。
大学生になった桂は、大学近くのアパートで一人暮らしをしていたが、祖父母の家に帰って、空を眺めていたら、異様な動きをする光を見た。
(飛行機…かな?でも……)
と思って望遠鏡で見ると、円盤の宇宙船だった。
見た目は、円盤に丸い電球見たいのが淵について、下の方に三つほどシーリングライトのようなものがついて、天井にはアホ毛の先に玉がついて、まさに児童が描くような宇宙船だった。
そして、実家の方角に墜落すると『感』が瞬時に伝わった。
伝わったというのはおかしいが、実家に眠る阿倍野の家の祖父母が突然知らせてきた感じだった。
階段を駆け降りて上着を持って玄関を出る時,驚いた祖母が
「どうしたの?何かあったの?」
と、心配で聞く。
祖父も何事かと、顔を覗かせる。
「UFO見つけたから行ってくる!」
顔を紅潮させて、ワクワク感が抑えきれずに顔に出ていたらしい。
「まあまぁ、世紀の大発見になるわねどうしましょう?」
祖母は嫌味ではなく素でいう。
桂なら宇宙人見つけると一番に信じてくれた人だからだ。
「危険なことは…するなよ?」
祖父は現実主義だが、桂の考えをテレパシーで覗くと、懐かしい『眠る夫婦神』の伝えだと思うとただならぬことが起きていると思っているらしい。
「うん!行ってくるね!夕飯ダメにしちゃってごめんね。ばあちゃん…」
桂はその事を思って謝る。
「帰ってきた薫が食べてくれるから大丈夫よ」
「だね、遠慮しないで僕の分も食べてって言っておいて」
そう言って急いで実家に帰った。
実家は広い。
森に近い林もあれば、神社の境内のような作りの家の後ろに母屋がある。
本当は鳥居をたてるはずだったが、家族が生活しているのに参拝客が来ても迷惑なので、作らなかった。
宮中と陰陽を保ち、安寧を支える神となった祖父母の威津那と橘が眠っている。
眠る前までは、あやかしや不気味なことが起こる異界の気配が強い特殊な場所だと聞いた。
両親の活躍により、祖父母は宮中を見守る神の一柱として収まった時に空間も安定したようだ。
そんな安らかに眠る森の中に煙が一筋立っていた。
桂は迷いなくその場所に駆ける。
竹林の竹が数本薙ぎ倒されて、穴が空いていた。
大きいUFOを想像していたが、成人男性の桂が腕を広げたくらいの幅しかない円盤…だった。
桂はワクワクしながら円盤を引き上げると、円盤の下が空いて何か落ちた。
桂はドキリとする。
足元を見ると光り輝く竹が落ちていた。
(かぐや姫?)
と瞬時に思う。
円盤は横に置き、その物体を持ち上げた目の前でまじまじ見ると、竹の形をした光物体は花の蕾のような形になったと思うと、花びらが開いていくように形を変えて桂の掌で人形のような形に立って、光がだんだん収まると、丸いお饅頭のやうな顔に大きなアーモンドの形の黄色い金属のような瞳に桜の花びらの唇。
そして、平安時代のようなストレートの黒髪で、端っこにリボンがついていた。さらに十二単を着ていた。
人外な…誰もが知る宇宙人と言える存在に形どった。
「な、な、な、な、な……!」
桂は驚きと興奮のあまり次の言葉が出てこない。
宇宙人はそんな桂を見て、心配そうに首を傾げる。
なんとも、その姿も愛らしい……
かわいい!という言霊を通り越して、
「僕のお嫁さんになってください!」
と、第一声で告白してしまった。
その言葉は本心でなんの迷いもない。
桂はついに求めていた運命の相手と巡り会えたと確信をした。
宇宙人は頬を蛍光色に光らせてコクリと頷いた。
彼女の名前はカグヤ姫。
かの有名な昔話のお姫様は本当だったのだ。
夜空の輝きは美しく、キラキラした宝石箱たった。
叔母である真陽も星を眺めるのが好きで小さい頃望遠鏡で星を見せてもらったこともきっかけかも知れない。
地球から肉眼で見る星はとても美しいけれど、いろんな星々に、行ってみたいという壮大な夢が桂にはあった。
いろんな宇宙人と出会いたい。
「むしろ、宇宙人が恋人になったら永遠に離れなくて済むんじゃないかな?」
と、十歳の頃、つい口に出して言ってしまったら、
「桂は発想が面白いな。」
「だって……」
桂は少ししゅんとして…
(別れが…こわいもん……)
父の瑠香は桂の心の声をテレパシーで聞いて、
(だな……本当に……)
と、返してくれた。
父は暗く青ざめる。
父の不安は幼い頃から伝わってきていた……
母の葛葉子があと五年しか生きられないからだ……
その分濃厚な家族の思い出をたくさんたくさん作って家族にも愛情をたっぷりくれた父が、母を亡くした途端全てをぶち壊した……
「お前らがいなければ、もっと葛葉子と一緒に過ごせたのに……」
酷すぎる。
それ以降父とは疎遠で、家には一時期誰もいなくなってしまった。
父が宮中の仕事から帰ってくる時以外は家に帰らず祖父母の家で育った。
その時、叔母さんに天体の部屋を譲ってもらってそれからずっと空を観察していた。
現実逃避もあるけれど、やっぱり星が宇宙が好きで、宇宙人に会いたかった。
大学生になった桂は、大学近くのアパートで一人暮らしをしていたが、祖父母の家に帰って、空を眺めていたら、異様な動きをする光を見た。
(飛行機…かな?でも……)
と思って望遠鏡で見ると、円盤の宇宙船だった。
見た目は、円盤に丸い電球見たいのが淵について、下の方に三つほどシーリングライトのようなものがついて、天井にはアホ毛の先に玉がついて、まさに児童が描くような宇宙船だった。
そして、実家の方角に墜落すると『感』が瞬時に伝わった。
伝わったというのはおかしいが、実家に眠る阿倍野の家の祖父母が突然知らせてきた感じだった。
階段を駆け降りて上着を持って玄関を出る時,驚いた祖母が
「どうしたの?何かあったの?」
と、心配で聞く。
祖父も何事かと、顔を覗かせる。
「UFO見つけたから行ってくる!」
顔を紅潮させて、ワクワク感が抑えきれずに顔に出ていたらしい。
「まあまぁ、世紀の大発見になるわねどうしましょう?」
祖母は嫌味ではなく素でいう。
桂なら宇宙人見つけると一番に信じてくれた人だからだ。
「危険なことは…するなよ?」
祖父は現実主義だが、桂の考えをテレパシーで覗くと、懐かしい『眠る夫婦神』の伝えだと思うとただならぬことが起きていると思っているらしい。
「うん!行ってくるね!夕飯ダメにしちゃってごめんね。ばあちゃん…」
桂はその事を思って謝る。
「帰ってきた薫が食べてくれるから大丈夫よ」
「だね、遠慮しないで僕の分も食べてって言っておいて」
そう言って急いで実家に帰った。
実家は広い。
森に近い林もあれば、神社の境内のような作りの家の後ろに母屋がある。
本当は鳥居をたてるはずだったが、家族が生活しているのに参拝客が来ても迷惑なので、作らなかった。
宮中と陰陽を保ち、安寧を支える神となった祖父母の威津那と橘が眠っている。
眠る前までは、あやかしや不気味なことが起こる異界の気配が強い特殊な場所だと聞いた。
両親の活躍により、祖父母は宮中を見守る神の一柱として収まった時に空間も安定したようだ。
そんな安らかに眠る森の中に煙が一筋立っていた。
桂は迷いなくその場所に駆ける。
竹林の竹が数本薙ぎ倒されて、穴が空いていた。
大きいUFOを想像していたが、成人男性の桂が腕を広げたくらいの幅しかない円盤…だった。
桂はワクワクしながら円盤を引き上げると、円盤の下が空いて何か落ちた。
桂はドキリとする。
足元を見ると光り輝く竹が落ちていた。
(かぐや姫?)
と瞬時に思う。
円盤は横に置き、その物体を持ち上げた目の前でまじまじ見ると、竹の形をした光物体は花の蕾のような形になったと思うと、花びらが開いていくように形を変えて桂の掌で人形のような形に立って、光がだんだん収まると、丸いお饅頭のやうな顔に大きなアーモンドの形の黄色い金属のような瞳に桜の花びらの唇。
そして、平安時代のようなストレートの黒髪で、端っこにリボンがついていた。さらに十二単を着ていた。
人外な…誰もが知る宇宙人と言える存在に形どった。
「な、な、な、な、な……!」
桂は驚きと興奮のあまり次の言葉が出てこない。
宇宙人はそんな桂を見て、心配そうに首を傾げる。
なんとも、その姿も愛らしい……
かわいい!という言霊を通り越して、
「僕のお嫁さんになってください!」
と、第一声で告白してしまった。
その言葉は本心でなんの迷いもない。
桂はついに求めていた運命の相手と巡り会えたと確信をした。
宇宙人は頬を蛍光色に光らせてコクリと頷いた。
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