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誰にも分からない
しおりを挟むいつも調子よさそうなのに
今日に限って、絵にかいたような落ち込み方。
出入り口に一番近いソファで、
サークルに来て早々、背中をまるめて無言で座り込むあなた。
腕を膝に預けて、床を見つめているように見える。
どうか、俺をなぐさめて!!
そんな悲鳴がその背中から、漏れ出ているようで
見かねた私は、立ち上がってあなたの隣に座る。
「どうしたんですか?元気ないですね。」
私は、それとなくごく自然に、少々の心配を声色に纏わせながらあなたに問いかけた。
なのに、
返ってきた言葉は、
「ーーちゃんには、俺の気持ちわかんないよ。」
突き放すような何の感情もこもっていない声で。
体温が一気に下がるような感覚に襲われながらも、
頭に来た私は、
「そうですか。」
そう、一言だけ言い放って、その場を離れる。
分からないよ。あなたの気持ちなんか。
ひどく、心が痛む。
私は、あなたの領域に入れてもらえない。
よそ者は、あっちにいけよ。
そう拒否されたのと一緒だから。
それでも、
もしかして、あなたはひどく傷つきすぎて、誰とも心を通わせたくなかったのだとしたら?
そんな都合のいい想像を、自分を納得させる為にしてみるけど、
そんな状態なら人前に現れずに1人でいるよね、と思い直す。
一度突き放されても、そこは負けずに食い下がるべきだったのか?
そんな後悔がよぎりもした。
でも、いくら考えたって答えは出ない。
何が正解だったのか?なんて
誰にも分からないんだから。
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