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鬼人族編
4話 はじめてのであい
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みなさんこんにちは、ゴブリンになった元スライムです。じゃじゃん早速問題です。僕はいまどこにいるでしょうか。
心の中の回答者A「君はゴブリンを倒して、そのサンプルを因子として取り込みゴブリンになったわけだよね。普通に考えてこれから君がすることは、他のゴブリンたちと合流でもしているのではないかい。よくわからないゴブリンを仲間として、迎え入れてくれるのかは知らないけどね。」
心の中の回答者B「いやいや、こういう可能性も考えられると思うんだ。ゴブリンは、アカウント作成で作った新しいアカウントだろう。レベルは1だ。それこそAくんが言ってたように、他のゴブリンたちが元スライム君に、仲間意識を持つかはわからないだろう。レベル1で仲間と合流するなんてバカのすることだよ。」
正解は、、、、、、
デレデレデレデレ
ゴブリンの集落の牢屋にぶち込まれている、でした。
いやー、まさかゴブリンの俺を敵だとみなすとは思いもしませんでしたよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スライムからゴブリンにジョブチェンジした俺は、ゴブリンの集落に帰還していた。帰還したというより捕まった。なんとゴブリンはオークと共存しており、集落というより小さな国であった。まさかとは思ったが、油断していた。捕食したゴブリンの頭があまりにも悪そうだったため、舐めていた。ギャギャしか言えない幼児と侮っていた。
俺今ゴブリンだし、同族なら入れてもらえるでしょと思い、集落の門番に話しかけたところ普通に捕まった。これからどうなるのだろう。
牢屋にぶち込まれてから、1日くらい経ち昼寝でもしようかとウトウトしていたら、
「ブヒィ、ブヒィィィィィィ」
兵士の格好をした見張りのオークが話しかけてくる。癖強めだな。一通り叫んだ後、牢屋の鍵を開けて付いてこいと言わんばかりに歩き始める。
まだレベル1の身であるため、戦っても負けることは目に見えているので、癖強めのオークに付いて行くことにする。
オークは何も言わずに牢屋を抜ける。
まぶしっ
1日ぶりに拝む太陽は非常にまぶしかったが心地よかった。牢屋は、四方八方石造りの壁で覆われ太陽など見えず、時間間隔なんてなかった。俺が入っていた牢屋は、国に入ろうとする怪しい輩をとどめておく、簡素な牢屋だったのだろう、俺以外誰も捕まっていなかった。
オークに連れられながら街を見物する。年代的にはファンタジーでは定番の中世くらいである。前を歩くオークの鉄の装備も石の要塞も実に中世らしい。それにしても、オークやゴブリンは普通に人間らしい生活をしている。人間の国はこれほどまでに発展しているのだろうか。
こういう町並みはすごく好きだ。現代日本では見られない科学技術を伴わない街並みに、活気のある商店街。道行くゴブリンやオークが生き生きしている。
道行く彼らの視線が俺を現実に引き戻す。
そうだ、俺捕まっていたのだ。日本だったらこのまま裁判所で処罰が決定する展開だよな。もっと焦るべきなのだろうか。
そんなこんなで、癖強めのオークと一切会話がないまま、どうやら目的地に到着したようだ。そこは周囲と比べて低い森林地帯。それに多くのゴブリンとオークが集まっている。わけもわからず怯えた様子のゴブリンとオークを他所に、品定めをするかのように凛とした姿勢のゴブリンらしき大男が口を開いた。
「おいそこのお前、このゴブリンで最後か」
俺を一瞥した後、俺を連れてきたアホづらのオークに話しかけた。
「おっすお頭。」
おいー、話せんのかいな。てっきりまたブヒィィとかいうのかと思ったら、ザ・下っ端って感じの応答をしやがった。なんだよこいつ喋れるのかよ、この世界に来て誰も話す人いなかったし、情報もなかったし、話してくれればよかったのに。こいつブヒィしか言わないから話せないと思ってたわ。くそ。だけどこいつが、この世界に来て初めての話し相手ではなくて良かったと思う自分もいる。だが、勝手な恨みと親しみを込めて、今度からコイツはザ・下っ端と呼ぶことにしよう。よろしくな、ザ・下っ端。
「こいつで最後でやす。」
俺で最後?集会でもするのか。集会にしては周囲のゴブリンとオークの様子がおかしい。それに、おびえたゴブリンとオークを囲む兵士のようなゴブリンとオークがいる。話し合いというより、戦闘を行う気配しかしない。
「よし、全員揃ったようだな。これからお前たちにはこの森林で自由に殺し合いを行ってもらう。この閃光弾が開始の合図だ。」
大男は手を天に掲げ赤色の花火のようなものを打ち上げた。
いや、話し合いを行うみたいなノリで、殺し合いを行ってもらうとか言うな。
「これは試験だ。お前らにとって最初のチャンスだ。だが、力なき者、覚悟無き者にとっては最後のチャンスになるかもしれない。今から10分後に開始する。それまでに森に散らばれ。」
なんか突然始まった、、、
こういう時こそ深呼吸だ深呼吸。
スーハー、スーハー、
よし落ち着いた。まずは状況の整理だ。今この大男が言ったのは、殺し合いというより生き残れと言ったのだ、手段は問われていない。殺し合いだけでなく、交渉して仲間を作り生き残っても問題ないはずだ。
さすが異世界、しかもゴブリンとオークの国、残酷だ。
だが、俺も意外と俺はこの世界に馴染んでいるのかもしれない。殺し合いをしろと言われても、不安はあるが生き残りをかけて殺し合うことに抵抗はない。
見たところ、周りのゴブリン、オークたちは生まれて間もないものばかりだ。対して俺は前世から合わせると20年間生きてきた。たぶん、そこの大男とかザ・下っ端よりも長生きしている。
こんな若造らに負けるはずがない。自分の意識をしっかりと保とうとする。
「我ら誇り高き鬼人族。
「「「レ・ゼプシオ。強き者を敬い、強き者に従う。」」」
検討を祈る。」
大男の言葉に周りの兵士が被せる。
鬼人族?何がなんだかわからない。あれ、もうみんな動き出した。動揺したゴブリンとオークが一斉に違う方向に動き始めた。でも、みんな動揺を抑えきれていない。こんな奴らに負けるはずがない。所詮、ギャギャ叫ぶ幼児とブヒィブヒィしてる豚供だ、そう強く自分に言い聞かせる。日本では動揺すらしなかった自分の鼓動が、強く強く脈動するのを感じる。
落ち着け落ち着け。とりあえず、頭を整理しながら自信を落ち着かせ、誰もいないところに移動する。
あと五分だろうか、いや2分だろうか。大男が最後に喋ってから、どれくらい経ったかわからず、いつ始まるのかがわからない。
まだだ、まだ大丈夫だ。いや、なぜ俺は一人でここにきてしまったんだ。もうみんな仲間を作って散らばっているはずで、レベル1の俺にとって数的不利は、敗北を意味する。それにあいつらがレベル1とは限らない。そもそもあいつらが俺と同じで、生まれたばかりであるとも限らない。焦りばかりが増していく。今すぐ仲間を探さなければ。
あっ
俺の動揺をよそに、赤い閃光弾が晴天の空に放たれた。
いつも俺はそうだった。赤く輝く閃光弾が花火を彷彿とさせ、前世の記憶を思い出させた。
基本的に気にしない性格で、周りの人が動揺する出来事が起きても俺はボーっとしている。
「冷静だね。」何てよく言われたけどただ何にも考えていないだけだ。周りで何が起きようと俺の生活が脅かされることはない。何を焦っている、お前らにはほとんど関係のないことだろう、と余裕ぶっていた。
一つの失敗や出来事は、普通命にかかわるものではない。それは日本での常識だ。だが、ここはどうだ。俺は自分のためにと平気で他の魔物を殺してきた。きっと他の奴らも自分たちの為なら俺を殺すことは厭わない。この世界では一挙手一投足が命にかかわる出来事になる可能性があるのではないか。
俺は何を甘ったるいことを考えていたんだ。この世界では命のやり取りが日常だ。殺す、殺されるは特別な出来事ではないのだ。今俺はこの世界の住人だ。馴染め!冷静であれ、強くあれ。残酷に生きろ。一つの言葉を思い浮かべるたびに、元日本人の感情は深く暗い闇の底に沈んでいった。
生まれたばかりのゴブリンの目にハイライトが無くなっていき、彼に新たな意識が静かに芽生えた。対照的に大きな音とともに爆発した閃光弾が、木々が騒めき、暗く冷えた森林を明るく照らした。
心の中の回答者A「君はゴブリンを倒して、そのサンプルを因子として取り込みゴブリンになったわけだよね。普通に考えてこれから君がすることは、他のゴブリンたちと合流でもしているのではないかい。よくわからないゴブリンを仲間として、迎え入れてくれるのかは知らないけどね。」
心の中の回答者B「いやいや、こういう可能性も考えられると思うんだ。ゴブリンは、アカウント作成で作った新しいアカウントだろう。レベルは1だ。それこそAくんが言ってたように、他のゴブリンたちが元スライム君に、仲間意識を持つかはわからないだろう。レベル1で仲間と合流するなんてバカのすることだよ。」
正解は、、、、、、
デレデレデレデレ
ゴブリンの集落の牢屋にぶち込まれている、でした。
いやー、まさかゴブリンの俺を敵だとみなすとは思いもしませんでしたよ。
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スライムからゴブリンにジョブチェンジした俺は、ゴブリンの集落に帰還していた。帰還したというより捕まった。なんとゴブリンはオークと共存しており、集落というより小さな国であった。まさかとは思ったが、油断していた。捕食したゴブリンの頭があまりにも悪そうだったため、舐めていた。ギャギャしか言えない幼児と侮っていた。
俺今ゴブリンだし、同族なら入れてもらえるでしょと思い、集落の門番に話しかけたところ普通に捕まった。これからどうなるのだろう。
牢屋にぶち込まれてから、1日くらい経ち昼寝でもしようかとウトウトしていたら、
「ブヒィ、ブヒィィィィィィ」
兵士の格好をした見張りのオークが話しかけてくる。癖強めだな。一通り叫んだ後、牢屋の鍵を開けて付いてこいと言わんばかりに歩き始める。
まだレベル1の身であるため、戦っても負けることは目に見えているので、癖強めのオークに付いて行くことにする。
オークは何も言わずに牢屋を抜ける。
まぶしっ
1日ぶりに拝む太陽は非常にまぶしかったが心地よかった。牢屋は、四方八方石造りの壁で覆われ太陽など見えず、時間間隔なんてなかった。俺が入っていた牢屋は、国に入ろうとする怪しい輩をとどめておく、簡素な牢屋だったのだろう、俺以外誰も捕まっていなかった。
オークに連れられながら街を見物する。年代的にはファンタジーでは定番の中世くらいである。前を歩くオークの鉄の装備も石の要塞も実に中世らしい。それにしても、オークやゴブリンは普通に人間らしい生活をしている。人間の国はこれほどまでに発展しているのだろうか。
こういう町並みはすごく好きだ。現代日本では見られない科学技術を伴わない街並みに、活気のある商店街。道行くゴブリンやオークが生き生きしている。
道行く彼らの視線が俺を現実に引き戻す。
そうだ、俺捕まっていたのだ。日本だったらこのまま裁判所で処罰が決定する展開だよな。もっと焦るべきなのだろうか。
そんなこんなで、癖強めのオークと一切会話がないまま、どうやら目的地に到着したようだ。そこは周囲と比べて低い森林地帯。それに多くのゴブリンとオークが集まっている。わけもわからず怯えた様子のゴブリンとオークを他所に、品定めをするかのように凛とした姿勢のゴブリンらしき大男が口を開いた。
「おいそこのお前、このゴブリンで最後か」
俺を一瞥した後、俺を連れてきたアホづらのオークに話しかけた。
「おっすお頭。」
おいー、話せんのかいな。てっきりまたブヒィィとかいうのかと思ったら、ザ・下っ端って感じの応答をしやがった。なんだよこいつ喋れるのかよ、この世界に来て誰も話す人いなかったし、情報もなかったし、話してくれればよかったのに。こいつブヒィしか言わないから話せないと思ってたわ。くそ。だけどこいつが、この世界に来て初めての話し相手ではなくて良かったと思う自分もいる。だが、勝手な恨みと親しみを込めて、今度からコイツはザ・下っ端と呼ぶことにしよう。よろしくな、ザ・下っ端。
「こいつで最後でやす。」
俺で最後?集会でもするのか。集会にしては周囲のゴブリンとオークの様子がおかしい。それに、おびえたゴブリンとオークを囲む兵士のようなゴブリンとオークがいる。話し合いというより、戦闘を行う気配しかしない。
「よし、全員揃ったようだな。これからお前たちにはこの森林で自由に殺し合いを行ってもらう。この閃光弾が開始の合図だ。」
大男は手を天に掲げ赤色の花火のようなものを打ち上げた。
いや、話し合いを行うみたいなノリで、殺し合いを行ってもらうとか言うな。
「これは試験だ。お前らにとって最初のチャンスだ。だが、力なき者、覚悟無き者にとっては最後のチャンスになるかもしれない。今から10分後に開始する。それまでに森に散らばれ。」
なんか突然始まった、、、
こういう時こそ深呼吸だ深呼吸。
スーハー、スーハー、
よし落ち着いた。まずは状況の整理だ。今この大男が言ったのは、殺し合いというより生き残れと言ったのだ、手段は問われていない。殺し合いだけでなく、交渉して仲間を作り生き残っても問題ないはずだ。
さすが異世界、しかもゴブリンとオークの国、残酷だ。
だが、俺も意外と俺はこの世界に馴染んでいるのかもしれない。殺し合いをしろと言われても、不安はあるが生き残りをかけて殺し合うことに抵抗はない。
見たところ、周りのゴブリン、オークたちは生まれて間もないものばかりだ。対して俺は前世から合わせると20年間生きてきた。たぶん、そこの大男とかザ・下っ端よりも長生きしている。
こんな若造らに負けるはずがない。自分の意識をしっかりと保とうとする。
「我ら誇り高き鬼人族。
「「「レ・ゼプシオ。強き者を敬い、強き者に従う。」」」
検討を祈る。」
大男の言葉に周りの兵士が被せる。
鬼人族?何がなんだかわからない。あれ、もうみんな動き出した。動揺したゴブリンとオークが一斉に違う方向に動き始めた。でも、みんな動揺を抑えきれていない。こんな奴らに負けるはずがない。所詮、ギャギャ叫ぶ幼児とブヒィブヒィしてる豚供だ、そう強く自分に言い聞かせる。日本では動揺すらしなかった自分の鼓動が、強く強く脈動するのを感じる。
落ち着け落ち着け。とりあえず、頭を整理しながら自信を落ち着かせ、誰もいないところに移動する。
あと五分だろうか、いや2分だろうか。大男が最後に喋ってから、どれくらい経ったかわからず、いつ始まるのかがわからない。
まだだ、まだ大丈夫だ。いや、なぜ俺は一人でここにきてしまったんだ。もうみんな仲間を作って散らばっているはずで、レベル1の俺にとって数的不利は、敗北を意味する。それにあいつらがレベル1とは限らない。そもそもあいつらが俺と同じで、生まれたばかりであるとも限らない。焦りばかりが増していく。今すぐ仲間を探さなければ。
あっ
俺の動揺をよそに、赤い閃光弾が晴天の空に放たれた。
いつも俺はそうだった。赤く輝く閃光弾が花火を彷彿とさせ、前世の記憶を思い出させた。
基本的に気にしない性格で、周りの人が動揺する出来事が起きても俺はボーっとしている。
「冷静だね。」何てよく言われたけどただ何にも考えていないだけだ。周りで何が起きようと俺の生活が脅かされることはない。何を焦っている、お前らにはほとんど関係のないことだろう、と余裕ぶっていた。
一つの失敗や出来事は、普通命にかかわるものではない。それは日本での常識だ。だが、ここはどうだ。俺は自分のためにと平気で他の魔物を殺してきた。きっと他の奴らも自分たちの為なら俺を殺すことは厭わない。この世界では一挙手一投足が命にかかわる出来事になる可能性があるのではないか。
俺は何を甘ったるいことを考えていたんだ。この世界では命のやり取りが日常だ。殺す、殺されるは特別な出来事ではないのだ。今俺はこの世界の住人だ。馴染め!冷静であれ、強くあれ。残酷に生きろ。一つの言葉を思い浮かべるたびに、元日本人の感情は深く暗い闇の底に沈んでいった。
生まれたばかりのゴブリンの目にハイライトが無くなっていき、彼に新たな意識が静かに芽生えた。対照的に大きな音とともに爆発した閃光弾が、木々が騒めき、暗く冷えた森林を明るく照らした。
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