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1日目(3) いなくなった人
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祭りの中を探しても君は全く見つからない。
朝から探し続けて疲れ果てた俺はベンチに座った。
すると隣のおっさんが話しかけてきた。
相談を聞いてくれるらしい。
疲れはてた俺は信じてくれるわけないのに、今までにおきたことをおっさんに話し始めていた。
「人探してんすよ。昨日までいたはずの人が夢から覚めたらいなくなっててみんなの記憶からもいなくなっている。信じられない話なんすけど本当なんすよ」
「別に信じてないとは言ってないぞ、俺は君と同じ境遇にあった人を知ってる」
「そんな人がいるんすか」
「起きたら好きな相手がいなくんなっていたらしい、その前に不思議な夢を見たとか」
「もしかして町が水没する夢だったり? 」
「そうだ。水没する夢だったな」
「俺と一緒だ。結局そのいなくなった人って見つかったんすか」
「いや、見つけることは出来なかったんだ。その人はもう死んでしまったと思われてる。本当は生きているのにな」
二人は小声で話し合う。
「何で生きているってわかんだよ、見つかんなかったんだろ」
「もしいなくなってしまった日に見つけることが出来なかっら、次の日になるとその人のことを完璧に忘れてしまうんだよ」
「だから、何でわかんだよ」
彼は静かに言った。
「俺も消えたことがあるからだ」
「どういうことだよ、日暖みたいに消えちまったってことかよ」
「3年前家族で俺の実家に帰ってきたとき、妻も君と同じ立場になった。妻は俺のことを見つけることが出来なくてな。少しでも思い出して欲しくて今は地球温暖化対策本部で働いてるんだ」
「その奥さんはどうしてんだよ? 」
「この町に東京から帰って来たらしい。まぁ会っても俺のことを忘れてるから、会わないけどな」
「会う気がないならおっさんは何しに帰って来たんだよ? 」
「俺も君と一緒で水没する夢を見た、だからここに来たんだ。もしかしたら前と同じことがおきてんじゃないかと思ってな。そしたら君が巻き込まれている。君の探している子の居場所を知りたいんだろ、教えてるよ」
「本当に分かんのか」
「信じなくても良いがその子はこの山頂にいるはずだ。」
「何で山頂に? 」
「俺も消えた時山頂に向かったからだ。なんか気づいたらそこにいた。そもそも水没する日の前の日の寝る前に何か願わなかったかい? 明日なんか来て欲しくないみたいな」
「そういえば寝る前に日暖の引っ越しがいやだから、明後日なんか来ないで欲しいって願ったけど、それがどうしたんだよ」
「俺の考えだがそれを願った次の日から全て夢なんじゃないか。横尾山の地蔵は悪いことを夢にしてくれるじゃなく、夢の中で君を幸せにしようとしてるんだ」
「全然幸せじゃねぇけど」
「君の願いは、今探している子と離れたくないから明後日が来てほしくないんだろ。だから明後日が来ないように夢を見せ続け、津波などの夢でその子が引越し出来ないようにしてるんじゃないか」
「何でそんなことおっさんが分かんだよ」
「分かってるわけじゃない、俺なりの考えを言っているだけだ。本当は地蔵の暇つぶしかもしれない。そうだとしても今日はもう現実なんだ。今日のことは何があっても夢にはならない。今日中に彼女に会うことが出来なかったら、全部忘れてしまうぞ。早く行ってこい」
「おう、ありがとなおっさん。信じてみるわ」
「おっと、その前に名前だけ教えてくれ 」
「俺の名前は裕樹、立花裕樹だ」
「良い名前だな。一つだけ願いを言っても良いか? 」
「何すか」
「裕樹の母さんに、いなくなって苦労かけてごめん、君は知らないと思うが俺は一生君を愛してるって伝えてくれ」
「愛してるって、おっさん何者だ? 」
「俺の名前は立花隼人だ。裕樹大きくなったな、俺とは違って家族も好きな女も守ってやれ」
おっさんは人混みに帰っていった。
おっさんは立花隼人と名乗った、父の名前だ。
俺は親父が死んだと思った日からずっと親父に会いたかった。
こんな形で会えるとは思わなくて涙が出そうだ。
しかしこんな時に涙を流していたら親父にけじめがつかない。俺は階段を登り始めた。
朝から探し続けて疲れ果てた俺はベンチに座った。
すると隣のおっさんが話しかけてきた。
相談を聞いてくれるらしい。
疲れはてた俺は信じてくれるわけないのに、今までにおきたことをおっさんに話し始めていた。
「人探してんすよ。昨日までいたはずの人が夢から覚めたらいなくなっててみんなの記憶からもいなくなっている。信じられない話なんすけど本当なんすよ」
「別に信じてないとは言ってないぞ、俺は君と同じ境遇にあった人を知ってる」
「そんな人がいるんすか」
「起きたら好きな相手がいなくんなっていたらしい、その前に不思議な夢を見たとか」
「もしかして町が水没する夢だったり? 」
「そうだ。水没する夢だったな」
「俺と一緒だ。結局そのいなくなった人って見つかったんすか」
「いや、見つけることは出来なかったんだ。その人はもう死んでしまったと思われてる。本当は生きているのにな」
二人は小声で話し合う。
「何で生きているってわかんだよ、見つかんなかったんだろ」
「もしいなくなってしまった日に見つけることが出来なかっら、次の日になるとその人のことを完璧に忘れてしまうんだよ」
「だから、何でわかんだよ」
彼は静かに言った。
「俺も消えたことがあるからだ」
「どういうことだよ、日暖みたいに消えちまったってことかよ」
「3年前家族で俺の実家に帰ってきたとき、妻も君と同じ立場になった。妻は俺のことを見つけることが出来なくてな。少しでも思い出して欲しくて今は地球温暖化対策本部で働いてるんだ」
「その奥さんはどうしてんだよ? 」
「この町に東京から帰って来たらしい。まぁ会っても俺のことを忘れてるから、会わないけどな」
「会う気がないならおっさんは何しに帰って来たんだよ? 」
「俺も君と一緒で水没する夢を見た、だからここに来たんだ。もしかしたら前と同じことがおきてんじゃないかと思ってな。そしたら君が巻き込まれている。君の探している子の居場所を知りたいんだろ、教えてるよ」
「本当に分かんのか」
「信じなくても良いがその子はこの山頂にいるはずだ。」
「何で山頂に? 」
「俺も消えた時山頂に向かったからだ。なんか気づいたらそこにいた。そもそも水没する日の前の日の寝る前に何か願わなかったかい? 明日なんか来て欲しくないみたいな」
「そういえば寝る前に日暖の引っ越しがいやだから、明後日なんか来ないで欲しいって願ったけど、それがどうしたんだよ」
「俺の考えだがそれを願った次の日から全て夢なんじゃないか。横尾山の地蔵は悪いことを夢にしてくれるじゃなく、夢の中で君を幸せにしようとしてるんだ」
「全然幸せじゃねぇけど」
「君の願いは、今探している子と離れたくないから明後日が来てほしくないんだろ。だから明後日が来ないように夢を見せ続け、津波などの夢でその子が引越し出来ないようにしてるんじゃないか」
「何でそんなことおっさんが分かんだよ」
「分かってるわけじゃない、俺なりの考えを言っているだけだ。本当は地蔵の暇つぶしかもしれない。そうだとしても今日はもう現実なんだ。今日のことは何があっても夢にはならない。今日中に彼女に会うことが出来なかったら、全部忘れてしまうぞ。早く行ってこい」
「おう、ありがとなおっさん。信じてみるわ」
「おっと、その前に名前だけ教えてくれ 」
「俺の名前は裕樹、立花裕樹だ」
「良い名前だな。一つだけ願いを言っても良いか? 」
「何すか」
「裕樹の母さんに、いなくなって苦労かけてごめん、君は知らないと思うが俺は一生君を愛してるって伝えてくれ」
「愛してるって、おっさん何者だ? 」
「俺の名前は立花隼人だ。裕樹大きくなったな、俺とは違って家族も好きな女も守ってやれ」
おっさんは人混みに帰っていった。
おっさんは立花隼人と名乗った、父の名前だ。
俺は親父が死んだと思った日からずっと親父に会いたかった。
こんな形で会えるとは思わなくて涙が出そうだ。
しかしこんな時に涙を流していたら親父にけじめがつかない。俺は階段を登り始めた。
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