私との婚約は政略ですから、恋人とどうぞ仲良くしてください

稲垣桜

文字の大きさ
46 / 64

34. 抜け落ちた記憶

「リズ…お前……」


 どうしたのかしら?口をパクパクしちゃって、お父様ったら変ね。


「旦那様、医師がいらっしゃいました」


 マイクが医師様を連れて部屋へ入ってきた。
 いつも診てくれる我が家のハドソン先生。そういえばこの間、お孫さんが生まれるって話してくれてたな。
 でも、なんだか急いだのか、服装がちょっと乱れてて髪型も…残念なことになってるわ。


「お嬢様。お目覚めになりましたね。痛いところはありませんか?」

「頭は少し痛いですけど、他は別に…大丈夫です」


 脈を取りながら痛い場所とかを確認されて、その後で傷の具合を見たりしてあっという間に診察らしいものは終わったんだけど、お父様がヒソヒソと耳打ちしてるのはなぜかしら?


「すみませんお嬢様。池に落ちたことは覚えていらっしゃいますか?」

「それが、池に落ちたと聞いたのですが、まったく覚えていないのです」

「では、覚えている一番最近のことを話してくださいますか?」


 覚えていることと言われると…

 そうね…
 デビュタントでお父様にエスコートしてもらって参加して…
 そうだわ。図書館に本を返しに行ってみんなでレモンパイを食べに行く約束をしてるのよ。

 そのことを話したら、なんだかみんな驚いた顔をしてるわ。

 なぜかしら??


「リズ…ではルカ殿のことは…彼のことで何か覚えてないか?」

「えっ?ルカ様?ルカ様はリリアンナ様とご一緒ではないのでしょう?」


 あら?お父様もお母様もおかしな顔をなさっているわね。どうしたのかしら。
 ルカ様のことはみんな知ってるのにどうしたのかしら?

 そういえば、さっきお母様がルカ様が毎日来ているって言ってたけど…


 どうして?





 ◇





「お嬢様、ローズマリー様がいらっしゃいましたが、お会いになられますか?」


 目が覚めて一週間が過ぎた頃にローズマリ―が訪ねてきてくれて、普通に生活している分には痛くもならないから、ちょっと退屈していたのよね。

 頭の怪我も包帯を巻いていると重症に見えたけど、今では塗り薬でも構わないと言われたから、昨日からは包帯をするのもやめたから見た目には怪我の前と変わりはない。
 お医者様も大丈夫だって言ってたから、もう来週から学園にも行けるのよね。

 それにローズマリーには聞きたいこともあるし。


「今準備するから、入ってもらって」

「では、応接室にお通しいたしますね」


 マイクがローズマリーを応接室に案内してくれている間に、カーラに手伝ってもらって一応は寝衣を着て休んでいたのだけど、失礼のない程度の部屋着を選んで着替えを済ませて急いで部屋を出た。








あなたにおすすめの小説

地味顔令嬢の私を「嘘の告白」で笑いものにするつもりですか? 結構です、なら本気で惚れさせてから逆にこっちが盛大に振ってあげます!

日々埋没。
恋愛
「お前が好きだ。この俺と付き合ってくれないか?」    学園のアイドル、マルスからの突然の告白。  憧れの人からの言葉に喜んだのも束の間、伯爵令嬢リーンベイルは偶然知ってしまう。それが退屈しのぎの「嘘の告白(ウソコク)」だったことを。 「あの地味顔令嬢が俺に釣り合うわけないだろ。ドッキリのプラカードでも用意しとくわ」  親友のミネルバと共に怒りに震える彼女は、復讐を決意する。まずは父の言いつけで隠していた「絶世の美貌」を解禁! 嘘の恋を「真実の恋(マジコク)」に変えさせ、最高のタイミングで彼を地獄へ突き落とす――。 「……今さら本気になった? 冗談はやめてください、これドッキリですよ?」

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?

白雲八鈴
恋愛
 我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。  離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?  あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。  私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

いつも隣にいる

はなおくら
恋愛
心の感情を出すのが苦手なリチアには、婚約者がいた。婚約者には幼馴染がおり常にリチアの婚約者の後を追う幼馴染の姿を見ても羨ましいとは思えなかった。しかし次第に婚約者の気持ちを聞くうちに変わる自分がいたのだった。

殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね

さこの
恋愛
恋がしたい。 ウィルフレッド殿下が言った… それではどうぞ、美しい恋をしてください。 婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました! 話の視点が回毎に変わることがあります。 緩い設定です。二十話程です。 本編+番外編の別視点

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話