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ルカSIDE 5.
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それから学園ではリリアンナ嬢と過ごすことになってしまった。
そもそも、俺と彼女ではクラスが違う。
俺は特Aだが彼女はCだ。マードル公爵家の令息との婚約が解消になったのも、この頭の悪さからではないかと思うほどだ。周りを見てもCクラスなど高位貴族では珍しい。
そんな嫌々ながらも学園で生活する中でも、授業中だけは落ち着いていられた。リリアンナ嬢とクラスが違うということがよい方に働くとは思わなかったが、その分、休み時間や放課後は彼女に時間を取られた。
嫌な顔をすればすぐにあの事を引き合いに出して、自分に微笑むように言い、そして常に側に居るようにと強要をするようになっていった。
事あるごとに、自分には婚約者がいて絶対に婚約を解消しないと言い続けていたが、リリアンナ嬢はそれに対しては意味深な笑みを浮かべるだけだった。ただ、自分の側に居ることを強いるだけで、それ以上は言うことはなかった。
だから俺は、学園にいる間はおとなしく従えばいずれ解放されると単純に考えてしまったのだ。
一年、二年と過ぎ、リズの姉のマリエラ嬢がキャリエール伯爵家のに嫁ぐときも、両親はその式に参加はしたが俺は学園もあって参加せずに母に手紙を託した。
その日、夜になり帰ってきた母からリズの様子を聞いて、自身の心にぽっかりと空いてしまっていた穴が塞ぎきれないままさらに月日は過ぎていった。
そして気が付くとリズが学園に入学する年になった。
領地で過ごしていたリズが王都に戻ってきたと手紙が届き、本来ならすぐにでも会いに行きたかった。リズの顔を見て、あの笑顔を見たいと。
その手紙には学園でお昼を一緒にどうかと問われていたが、できることならそうしたい。
一年だけでもリズと一緒に学園生活を楽しみたいと思っていたのに、この時には終わっているだろうと、あの女が俺に飽きているだろうと思っていたことが浅はかだったと思うほど、何年も耐えたあの女に従う日々は未だ終わることなく続いていた。
そしてリリアンナ嬢はそんな俺の考えを見透かしてか、忘れないようにと俺に忠告をした。
「そういえば、あの子。今度入学だそうね。…ねえルカ、あなた、もちろん解っているわよね?」
俺はリリアンナ嬢の言葉に、背筋に冷たいものが流れ落ちるのを感じた。
この学園生活の間で、リリアンナ嬢の表に出さない本性がそれとなく理解してきたからだ。
自分の邪魔になる人物や目障りだと思う人物に対して、自分では手を下さないくせに、取り巻きたちに何かしら手を打たせていることには気がついていた。
リリアンナ嬢は俺が知らないと思っているだろう。俺にはその裏の顔は一切見せない。だが、俺は次期侯爵に決まった時から周囲の悪意に晒されることが多かったことで、人を見る目は少なからずあると思っている。
だからこそ、リリアンナ嬢から感じる悪意には気が付かないわけがないのだ。
リズに直接会うことはできない。
だが、リズにはせめて入学の祝いくらいはきちんと伝えたい。
そして俺は街へ行った時に店先に並んだガーベラで花束を作ってもらい、その場でメッセージを書いたカードと共にリズへと届けてもらった。
どこから見られているかもわからない。
リリアンナ嬢に知られると、リズに何をするかわからないのだからと、周囲に目を配りながら家へと帰った。
そもそも、俺と彼女ではクラスが違う。
俺は特Aだが彼女はCだ。マードル公爵家の令息との婚約が解消になったのも、この頭の悪さからではないかと思うほどだ。周りを見てもCクラスなど高位貴族では珍しい。
そんな嫌々ながらも学園で生活する中でも、授業中だけは落ち着いていられた。リリアンナ嬢とクラスが違うということがよい方に働くとは思わなかったが、その分、休み時間や放課後は彼女に時間を取られた。
嫌な顔をすればすぐにあの事を引き合いに出して、自分に微笑むように言い、そして常に側に居るようにと強要をするようになっていった。
事あるごとに、自分には婚約者がいて絶対に婚約を解消しないと言い続けていたが、リリアンナ嬢はそれに対しては意味深な笑みを浮かべるだけだった。ただ、自分の側に居ることを強いるだけで、それ以上は言うことはなかった。
だから俺は、学園にいる間はおとなしく従えばいずれ解放されると単純に考えてしまったのだ。
一年、二年と過ぎ、リズの姉のマリエラ嬢がキャリエール伯爵家のに嫁ぐときも、両親はその式に参加はしたが俺は学園もあって参加せずに母に手紙を託した。
その日、夜になり帰ってきた母からリズの様子を聞いて、自身の心にぽっかりと空いてしまっていた穴が塞ぎきれないままさらに月日は過ぎていった。
そして気が付くとリズが学園に入学する年になった。
領地で過ごしていたリズが王都に戻ってきたと手紙が届き、本来ならすぐにでも会いに行きたかった。リズの顔を見て、あの笑顔を見たいと。
その手紙には学園でお昼を一緒にどうかと問われていたが、できることならそうしたい。
一年だけでもリズと一緒に学園生活を楽しみたいと思っていたのに、この時には終わっているだろうと、あの女が俺に飽きているだろうと思っていたことが浅はかだったと思うほど、何年も耐えたあの女に従う日々は未だ終わることなく続いていた。
そしてリリアンナ嬢はそんな俺の考えを見透かしてか、忘れないようにと俺に忠告をした。
「そういえば、あの子。今度入学だそうね。…ねえルカ、あなた、もちろん解っているわよね?」
俺はリリアンナ嬢の言葉に、背筋に冷たいものが流れ落ちるのを感じた。
この学園生活の間で、リリアンナ嬢の表に出さない本性がそれとなく理解してきたからだ。
自分の邪魔になる人物や目障りだと思う人物に対して、自分では手を下さないくせに、取り巻きたちに何かしら手を打たせていることには気がついていた。
リリアンナ嬢は俺が知らないと思っているだろう。俺にはその裏の顔は一切見せない。だが、俺は次期侯爵に決まった時から周囲の悪意に晒されることが多かったことで、人を見る目は少なからずあると思っている。
だからこそ、リリアンナ嬢から感じる悪意には気が付かないわけがないのだ。
リズに直接会うことはできない。
だが、リズにはせめて入学の祝いくらいはきちんと伝えたい。
そして俺は街へ行った時に店先に並んだガーベラで花束を作ってもらい、その場でメッセージを書いたカードと共にリズへと届けてもらった。
どこから見られているかもわからない。
リリアンナ嬢に知られると、リズに何をするかわからないのだからと、周囲に目を配りながら家へと帰った。
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