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15:マクシミリアン side
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厳密に言うと体の関係はないのだが、姉とヴァレンヌが領地の屋敷にいる時にクソ親父もいて、甲斐甲斐しくヴァレンヌを慰めたらしい。
そして彼女がようやく落ち着いた頃に元婚約者が現れてヴァレンヌに迫ったところを助け出したらしく、流石に侯爵家令息が公爵家当主に敵うわけもなく一蹴され、その姿を見たヴァレンヌがクソ親父に陥落したらしい。
しかも、俺が贈った手紙や花もあのクソ親父が渡してなかったと知って、怒髪天を突くほどの怒りが湧いた。
王都に戻って来たときに会ったヴァレンヌは幸せそうにクソ親父のことを話すし、しまいには結婚が決まったのだと報告され俺は精神的に叩きのめされた。
仕事に打ち込めば忘れられると思った。
屋敷に戻らなければ、顔を見なければとそう自分にいい聞かせたが、翌年になり子供が生まれると、さらに立ち直れそうになかった。
その子供が歩くようになり、言葉を話すようになるとヴァレンヌが「マックスもそろそろ結婚しなきゃだめよ」と笑顔で俺にとどめを刺した。
それからというもの、クソ親父も一緒になって結婚相手を探し始めた。
逃げ場のなくなった俺は、部下の妹が結婚しなくて困ってると言う話を聞いてあることを考えた。
その令嬢と契約として婚姻関係になることだ。
会ってみないとわからないが、そうなればもう気を使わなくてもよくなる。
そう考えてすぐに部下のルシアンに妹と一度会えるようにと約束を取り付けてもらった。
指定した店で会った彼女…ウェズリーズ伯爵家のリディアは普通の令嬢だった。敢えて言うなら年齢よりも落ち着いているように感じるくらいだ。
そして俺は目の前に座った彼女をじっくりと観察した。
自分で言うのもなんだが、俺は騎士団の中でも有望株で社交会でも三本の指に入るほど整った顔立ちだ。尚且つ公爵家嫡男でもある。世の中の令嬢は俺に声をかけてもらうことを望み、夫人たちは自身の娘の結婚相手にと躍起になって縁を結ぼうとしている。
そんな俺が目の前に座って社交辞令とはいえ笑顔を浮かべて話をしているというのに、リディア嬢は最初こそ俺の顔を見たものの、今はテーブルの上に置かれたケーキを満面の笑みで頬張り、そして紅茶を飲んで悦に入った表情を浮かべている。
思い描いていた反応じゃないことに少し苛立ちを覚えたが、まあ今はそんなことは重要じゃない。この契約に頷いてもらうだけなのだから。
そして肝心の本題を話し、ウェズリーズ伯爵家にも支援をすることを盛り込み、これは契約が完了した後も一定期間は行うことを告げると少し怪訝な顔をしたものの最終的には快諾した。
そして、お互いに意見をすり合わせ、納得のいく内容で契約書を作成しお互いにサインをした。
そして彼女がようやく落ち着いた頃に元婚約者が現れてヴァレンヌに迫ったところを助け出したらしく、流石に侯爵家令息が公爵家当主に敵うわけもなく一蹴され、その姿を見たヴァレンヌがクソ親父に陥落したらしい。
しかも、俺が贈った手紙や花もあのクソ親父が渡してなかったと知って、怒髪天を突くほどの怒りが湧いた。
王都に戻って来たときに会ったヴァレンヌは幸せそうにクソ親父のことを話すし、しまいには結婚が決まったのだと報告され俺は精神的に叩きのめされた。
仕事に打ち込めば忘れられると思った。
屋敷に戻らなければ、顔を見なければとそう自分にいい聞かせたが、翌年になり子供が生まれると、さらに立ち直れそうになかった。
その子供が歩くようになり、言葉を話すようになるとヴァレンヌが「マックスもそろそろ結婚しなきゃだめよ」と笑顔で俺にとどめを刺した。
それからというもの、クソ親父も一緒になって結婚相手を探し始めた。
逃げ場のなくなった俺は、部下の妹が結婚しなくて困ってると言う話を聞いてあることを考えた。
その令嬢と契約として婚姻関係になることだ。
会ってみないとわからないが、そうなればもう気を使わなくてもよくなる。
そう考えてすぐに部下のルシアンに妹と一度会えるようにと約束を取り付けてもらった。
指定した店で会った彼女…ウェズリーズ伯爵家のリディアは普通の令嬢だった。敢えて言うなら年齢よりも落ち着いているように感じるくらいだ。
そして俺は目の前に座った彼女をじっくりと観察した。
自分で言うのもなんだが、俺は騎士団の中でも有望株で社交会でも三本の指に入るほど整った顔立ちだ。尚且つ公爵家嫡男でもある。世の中の令嬢は俺に声をかけてもらうことを望み、夫人たちは自身の娘の結婚相手にと躍起になって縁を結ぼうとしている。
そんな俺が目の前に座って社交辞令とはいえ笑顔を浮かべて話をしているというのに、リディア嬢は最初こそ俺の顔を見たものの、今はテーブルの上に置かれたケーキを満面の笑みで頬張り、そして紅茶を飲んで悦に入った表情を浮かべている。
思い描いていた反応じゃないことに少し苛立ちを覚えたが、まあ今はそんなことは重要じゃない。この契約に頷いてもらうだけなのだから。
そして肝心の本題を話し、ウェズリーズ伯爵家にも支援をすることを盛り込み、これは契約が完了した後も一定期間は行うことを告げると少し怪訝な顔をしたものの最終的には快諾した。
そして、お互いに意見をすり合わせ、納得のいく内容で契約書を作成しお互いにサインをした。
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