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19. 黒幕
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崖の上で待機をさせた医師が応急手当してすぐに病院へ運んだ。
怪我をしていないのであればそのまま屋敷へと向かう所だが、一目見てそんな程度ではないと、誰が見ても生きているのがおかしいと思うほどの現場の状況なのだ。
幸い、この国の医学は発達している。医師の渋い顔を蹴り倒したくなる衝動を抑えて、彼女の側で声をかけ続けた。
医師の診察の結果は、カイラがフェリスを庇ったことと、馬車の中にあったクッションなどや生えていた樹木が緩衝材の役割を果たしたことで、致命的な怪我をしなかったようだ。だが目が覚めてからでないとはっきりと結果は話せないと言われた。
御者は現場での確認の段階でもう息はなく、カイラに関してはフェリスを庇ったからか全身打撲に加えて骨折もあり全快するまでには月日がかかるものの、命には別状はないとのことだった。
だが、問題はフェリスの怪我だった。
カイラが庇ったことと、馬車の中に置いてあったクッションや毛布のおかげで頭部をぶつけることは避けられたが、馬車の残骸が彼女の上に落ちたことで、フェリスの足や体も相当損傷を受けているらしい。
崖下から助け出し、すぐに手術をしたもののハッキリとした結論はまだ聞かされてはいない。
キランやラウムは自分たちがフェリスを守れなかったと、罰してくれと何度も俺に頭を下げたが、彼らがいなければ崖から落ちる前に野盗に襲われていたのだ。もしそうなっていたら、今頃はどうなっていたかもわからない。
だが、そもそもあの場所に野盗が出ることがおかしい。
それに道を塞ぐように置かれていた岩の存在も俺の中で警告を発している。
あの子爵の子飼いが怪しい動きをしていると掴んでいたのだ。
それが今回のことと無関係とは俺には思えなかった。
ラウムとキランには怪我の手当てが終わり次第捕らえた賊の尋問を担当するように伝え、エイレ公爵家の騎士や我が家の影を動員して裏付けを急いだ。
彼女が目覚めるのはいつになるのか、今日だろうか、それとも明日だろうか。
目覚めるまでにすべてが明るみになって解決できればいいのにと、俺は団長の元を訪ねた。
「ブランゼス、奥方はどうだ?」
「どうもこうも……重傷です。まだ意識は戻っていません」
俺は団長からの指示でエーレ子爵家を調べることは、それも任務なのだからと受け入れた。嫌々でも仕事は仕事なのだ。
だがそれがフェリスを傷付けることになったのであれば、見込みの甘かった団長に責任を問いたいほどなのだが、そんなことを言える立場でもない。
守り切れなかったのは自分なのだから。
そして団長は「こんな時に何なんだが…」と言いにくそうに口を開いた。
騎士団の方でもフェリスが襲われた一件は調査しているようで、その前からエーレ子爵家やシラキード商会に潜り込んでいた人員からの報告でフェリスの事故はやはりエーレ子爵が絡んでいるとのことだった。ただ、決定的な証拠と言えるものはなく、ここで摘発しても逃げられる可能性があるとのことだった。
しかも今回の一件にはマイラ嬢も関わっているらしい。
それを聞いてあの女の顔が脳裏に浮かび、俺は嫌悪感を隠すことなく殺気を押し殺すことができなかった。
マイラ嬢が関わっているのなら、俺が囮になろう。
囮となって証拠を掴んでやろう。
怪我をしていないのであればそのまま屋敷へと向かう所だが、一目見てそんな程度ではないと、誰が見ても生きているのがおかしいと思うほどの現場の状況なのだ。
幸い、この国の医学は発達している。医師の渋い顔を蹴り倒したくなる衝動を抑えて、彼女の側で声をかけ続けた。
医師の診察の結果は、カイラがフェリスを庇ったことと、馬車の中にあったクッションなどや生えていた樹木が緩衝材の役割を果たしたことで、致命的な怪我をしなかったようだ。だが目が覚めてからでないとはっきりと結果は話せないと言われた。
御者は現場での確認の段階でもう息はなく、カイラに関してはフェリスを庇ったからか全身打撲に加えて骨折もあり全快するまでには月日がかかるものの、命には別状はないとのことだった。
だが、問題はフェリスの怪我だった。
カイラが庇ったことと、馬車の中に置いてあったクッションや毛布のおかげで頭部をぶつけることは避けられたが、馬車の残骸が彼女の上に落ちたことで、フェリスの足や体も相当損傷を受けているらしい。
崖下から助け出し、すぐに手術をしたもののハッキリとした結論はまだ聞かされてはいない。
キランやラウムは自分たちがフェリスを守れなかったと、罰してくれと何度も俺に頭を下げたが、彼らがいなければ崖から落ちる前に野盗に襲われていたのだ。もしそうなっていたら、今頃はどうなっていたかもわからない。
だが、そもそもあの場所に野盗が出ることがおかしい。
それに道を塞ぐように置かれていた岩の存在も俺の中で警告を発している。
あの子爵の子飼いが怪しい動きをしていると掴んでいたのだ。
それが今回のことと無関係とは俺には思えなかった。
ラウムとキランには怪我の手当てが終わり次第捕らえた賊の尋問を担当するように伝え、エイレ公爵家の騎士や我が家の影を動員して裏付けを急いだ。
彼女が目覚めるのはいつになるのか、今日だろうか、それとも明日だろうか。
目覚めるまでにすべてが明るみになって解決できればいいのにと、俺は団長の元を訪ねた。
「ブランゼス、奥方はどうだ?」
「どうもこうも……重傷です。まだ意識は戻っていません」
俺は団長からの指示でエーレ子爵家を調べることは、それも任務なのだからと受け入れた。嫌々でも仕事は仕事なのだ。
だがそれがフェリスを傷付けることになったのであれば、見込みの甘かった団長に責任を問いたいほどなのだが、そんなことを言える立場でもない。
守り切れなかったのは自分なのだから。
そして団長は「こんな時に何なんだが…」と言いにくそうに口を開いた。
騎士団の方でもフェリスが襲われた一件は調査しているようで、その前からエーレ子爵家やシラキード商会に潜り込んでいた人員からの報告でフェリスの事故はやはりエーレ子爵が絡んでいるとのことだった。ただ、決定的な証拠と言えるものはなく、ここで摘発しても逃げられる可能性があるとのことだった。
しかも今回の一件にはマイラ嬢も関わっているらしい。
それを聞いてあの女の顔が脳裏に浮かび、俺は嫌悪感を隠すことなく殺気を押し殺すことができなかった。
マイラ嬢が関わっているのなら、俺が囮になろう。
囮となって証拠を掴んでやろう。
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