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1.お試し転職
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「お父様、わたくし別の仕事をやってみたいのですけれど」
「突然どうしたヴィラ」
私は幼い頃から聖女として全てを捧げてきた。
そんな私が他の事をやりたくなるのは自然な事だと思う。
「何かやりたい仕事でもあるのか?」
「はい」
よくぞ聞いてくれましたね、お父様。
「わたくしメイドのお仕事をしてみたいと思っております」
「ほう、メイドか……なかなか大変な仕事ではあるぞ」
「はい。でも素敵なお仕事だと思います」
いつも私の身の回りの世話をしてくれているメイドさんに憧れていた。
掃除やベッドメイキング、私の身の回りの世話、食事やお茶の準備まで様々な事を卒なくこなす。
私と違って何でも出来る素敵なレディだ。
女性として憧れてしまうのは当然だろう。
その熱い想いをお父様にぶつける。
「……なるほど。強い想いがあるのは分かった。まあ社会勉強の為にやらせてみるのも悪くはないとは思う」
「本当ですかお父様!」
まさか許可が出るとは思わなかった。
自分の気持ちは言葉にしてみるものだ。
「一週間だ。それで適性が無い様なら諦めて聖女の仕事に戻って貰う」
「はい!」
一週間か、短い。
でもそこで見込みがあるなら続けていいって事よね。
「ただし一つ条件がある。聖女の祈りは欠かさずにやること、それを守るなら許可しよう」
「もちろんですわ!」
聖女の祈りとは教会で祈りを捧げる事だ。
これは聖女としての使命であり日課として欠かさずやっている。
実際にはどの様な効果があるのかは分からないけれど、この国を繁栄させる意味でも必要な事らしい。
歴代の聖女もやって来たことなので重要な事なのだろう。
「ヴィラ、一週間メイドの仕事をしてみてどうだ?」
「はい。お父様、大変ですけれど毎日充実しております」
「そうか。メイド長からもお褒めの言葉を貰っている。頑張っているみたいだな」
「そうなんですね。ありがとうございます」
仕事ぶりが評価されるのは嬉しい。
「ではメイドの仕事を続けてもよろしいのでしょうか?」
「ああ、約束だからな。ヴィラにそんな才能があったとは。正直驚いたぞ」
「はい。頑張りますわ」
「それで聖女様がメイドをやっているのか?」
「そうなんですよ、王太子殿下」
「そうか。まあなかなか様になっているじゃないか」
「ありがとうございます」
普通は殿下にお茶を出すなんて10年早いとか言われそうだけれど、そこはほら聖女の特権といいますか。
実際、私って優遇されているよね。
我儘を許されている。
まあ、折角なので使えるものは使っていこうと思う。
「このお茶も上手に入れられている。美味いよ」
「よかったです。メイド長にしごかれているので上達しましたわ」
舌が肥える殿下に美味しいと言っていただけるなら合格だろう。
社交辞令でないことを祈りたい。
お茶は毎日何回も入れさせられたので上手くなったはず。
「これで可愛い聖女様に有能さが加わった訳か。何時でも嫁に行けるな」
「な、何を言ってらっしゃるのですか殿下! からかわないでください」
か、可愛いとか言われても困ります。
何だか身体が熱くなってあたふたしてしまう。
メイド長なら冷静に対処出来るのでしょうね。
まだまだ一流メイドさんへの道は険しそう。
「突然どうしたヴィラ」
私は幼い頃から聖女として全てを捧げてきた。
そんな私が他の事をやりたくなるのは自然な事だと思う。
「何かやりたい仕事でもあるのか?」
「はい」
よくぞ聞いてくれましたね、お父様。
「わたくしメイドのお仕事をしてみたいと思っております」
「ほう、メイドか……なかなか大変な仕事ではあるぞ」
「はい。でも素敵なお仕事だと思います」
いつも私の身の回りの世話をしてくれているメイドさんに憧れていた。
掃除やベッドメイキング、私の身の回りの世話、食事やお茶の準備まで様々な事を卒なくこなす。
私と違って何でも出来る素敵なレディだ。
女性として憧れてしまうのは当然だろう。
その熱い想いをお父様にぶつける。
「……なるほど。強い想いがあるのは分かった。まあ社会勉強の為にやらせてみるのも悪くはないとは思う」
「本当ですかお父様!」
まさか許可が出るとは思わなかった。
自分の気持ちは言葉にしてみるものだ。
「一週間だ。それで適性が無い様なら諦めて聖女の仕事に戻って貰う」
「はい!」
一週間か、短い。
でもそこで見込みがあるなら続けていいって事よね。
「ただし一つ条件がある。聖女の祈りは欠かさずにやること、それを守るなら許可しよう」
「もちろんですわ!」
聖女の祈りとは教会で祈りを捧げる事だ。
これは聖女としての使命であり日課として欠かさずやっている。
実際にはどの様な効果があるのかは分からないけれど、この国を繁栄させる意味でも必要な事らしい。
歴代の聖女もやって来たことなので重要な事なのだろう。
「ヴィラ、一週間メイドの仕事をしてみてどうだ?」
「はい。お父様、大変ですけれど毎日充実しております」
「そうか。メイド長からもお褒めの言葉を貰っている。頑張っているみたいだな」
「そうなんですね。ありがとうございます」
仕事ぶりが評価されるのは嬉しい。
「ではメイドの仕事を続けてもよろしいのでしょうか?」
「ああ、約束だからな。ヴィラにそんな才能があったとは。正直驚いたぞ」
「はい。頑張りますわ」
「それで聖女様がメイドをやっているのか?」
「そうなんですよ、王太子殿下」
「そうか。まあなかなか様になっているじゃないか」
「ありがとうございます」
普通は殿下にお茶を出すなんて10年早いとか言われそうだけれど、そこはほら聖女の特権といいますか。
実際、私って優遇されているよね。
我儘を許されている。
まあ、折角なので使えるものは使っていこうと思う。
「このお茶も上手に入れられている。美味いよ」
「よかったです。メイド長にしごかれているので上達しましたわ」
舌が肥える殿下に美味しいと言っていただけるなら合格だろう。
社交辞令でないことを祈りたい。
お茶は毎日何回も入れさせられたので上手くなったはず。
「これで可愛い聖女様に有能さが加わった訳か。何時でも嫁に行けるな」
「な、何を言ってらっしゃるのですか殿下! からかわないでください」
か、可愛いとか言われても困ります。
何だか身体が熱くなってあたふたしてしまう。
メイド長なら冷静に対処出来るのでしょうね。
まだまだ一流メイドさんへの道は険しそう。
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