リビングデッド

常夏の炬燵

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魔族編

第三十四話

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「ゴウキの奴…裏切りおったな…まあ良い…これで、魔王は死ぬことが出来る。もう魔王に興味は無い」

神は魔力の塊を呼び出す。

「これに魔王の魔力が加われば…くくく…もう少しだ…究極の魔族の完成まであと一歩じゃ!…問題は魔王が殺されてくれるかどうかじゃな…」

そんな神をテンカが陰から見ていた。

究極の魔族?魔王を倒すと完成だと?
どうすればいい…奴の口ぶりだと、その魔族は魔王をも超えた力を持っている…
だが、魔王も放っておく訳には…

とりあえず…戦況を確認し、ナナシ達に伝えなければ…!

テンカは天界に戻り、戦況を確認する。
だが、そこには魔王はおらず、ナナシだけが立っていた。

なんだ?魔王は…?倒したのか…?カイマもディアンもいない…
カイマの魔界にも気配は無い…どうなっている…?

『ナナシ!戦況を教えてくれ!』

『テンカ!それが…』

ナナシは先程あった出来事を話した。

『くっ…そうか…ディアンが…とにかく今からそっちへ向かう!』

そう言って、現世へ転移した。

「テンカ!」

「待ってろ!すぐ治療する!」

テンカはナナシの治療を終えた後、先程判明した事を話した。

「そんな事が…だが、魔王も魔王で倒さなきゃまずいんだろ?」

「ああ、そうなんだが…」

「究極の魔族か…だが、もう戦いは始まっている。俺達がやめると言う選択肢をとったとして、魔王が簡単に納得するとは思えない」

「それもそうだな…倒す以外ないか…よし、今からカイマを探す」

「エドはどうしたんだ?」

「あ!忘れていた!少し待っていてくれ」

そう言って、テンカはエドを連れて戻ってきた。

「エド!無事だったか!」

「なんとかな」

「よし、じゃあ、カイマを探し出さないと」

その時、カイマと魔王は…

「まさか、宝玉が壊されるとはな」

「もうこれで終わりなのだ!」

「それはこっちのセリフだ」

「何?」

「不死の宝玉ってのはな?不死身にする代わりに、対象のエネルギー、俺様の場合は魔力だ。その魔力の八割を宝玉に与え続けなければならない」

「まさか…!」

「そう、俺様は本気の二割の力しか出せていなかったんだよ。今それが開放された。その意味がわかるか?」

「……」

「俺様相手によくここまで戦った。褒めてやろう。だが、もう終わりだ。誠意を込めて本気の力で貴様をぶっ殺してくれる!!」

「う…ッ」

なんて魔力…足がすくんで動かない…

「じゃあな…」

殺される…!

「間に合ったーーー!!!」

「なん…!?」

魔王はナナシのタックルをくらい、バランスを崩す。その拍子に攻撃が中断された。

「カイマ!動けるか?」

「う、うん!」

「やるぞ!!」

「貴様!どうやって!?」

周囲を見渡すと、遠くにテンカとエドがいた。

「本当に鬱陶しい奴らだ…だが、今までのようにはいかんぞ!全員あの世に送ってくれる!」

魔王との決戦が今始まる。
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