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異世界編
第一話
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神との決着から数日、ナナシはユメに会うため街に出向いていた。
そんな時、道中に登校中の四人の生徒が目に入った。
「あれ?そうか、今日は学校がある日か」
制服はユメとは違うものだが、それは今日が平日であると証明するには十分な情報だった。
『やっぱり、無人島生活は曜日感覚がズレますね。どうします?』
「そうだな…一旦帰るか…夕方くらいに来れば、ユメも帰っているだろう」
ナナシが引き返そうとしたその時。
『ナナシさん!待ってください!』
「…ッ!?なんだ!?」
アンナに言われ、立ち止まる。
『何か変な気配が…さっきの生徒さんがいる辺に…』
「さっきの…?」
振り返ると、その生徒たちの足元に大きな魔法陣ができていた。
「な、なんだ!?」
生徒達はみるみる魔法陣の光に包まれる。
「くっ」
ナナシは魔法陣に突っ込んで行った。
『テンカさん!魔法陣が…!』
アンナがここまでテレパシーを送ったところで、ナナシはこの世界から姿を消した。
気がつくと、そこは何処かの地下のような場所だった。
振り返ると、調子の良さそうな茶髪の少年、気の強そうな黒髪ロングの少女、無表情で大人しそうな少女、オドオドした様子の三つ編みの少女がいた。
更に辺りを見渡すと疲労困憊の神官のような格好をした女性と鎧を纏った警備数人がいた。
「は?どうなってんの?これ?」
少女が声を上げると、神官が息を整え語り出した。
「突然の事で驚きでしょう。わたくしはシャハンドラ王国の神官を務めております、ツカサと申します。この度はこの世界を救って頂きたく貴女方を召喚させて頂きました」
召喚…?
『元いた場所とは違う…さっきの魔法陣と言い、不思議な事ばかりですね…』
『ここが異世界という可能性は?』
『無いことは無いと思います…見たことも行ったことも無いので判断は出来ませんが…』
「ちょっと!急にこんなところに連れてきて、ふざけた事言わないでくれる!?世界を救うって何!?そもそもここはどこなのよ!」
「この世界は貴方達がいた世界とは別の世界です」
「それって…異世界って事ですか…?」
無表情の子が聞いた。
「はい、実は最近この世界に魔族を名乗るものが現れまして…その魔族を討ち滅ぼして頂きたいのです!」
『魔族…』
『カオスの事でしょうか…?』
『いや、カオスはそんな事しないと思う…』
『どうしてですか?』
『いや、ただの勘だ…最近来た魔族…』
『あ!そう言えば!カオスの他にも取り逃した魔族がいましたよね!』
『そうか!確か…ザンゲと言ったか…そうつの可能性はありそうだな…』
「詳しい話は国王様が直々にご説明致します。どうぞこちらに…」
『もし、黒幕が、ザンゲだとしたら、今の俺では勝ち目なんてないぞ…』
『大丈夫です。ナナシさんはあの時よりも強くなっています』
そして、ナナシ達は階段を上がり国王の前に案内された。
「ようこそ、勇者達よ。ワシはこのシャハンドラ王国を収めるアスモア。我々が勇者を召喚した理由は聞いておるだろう。ワシからもお願い申し上げる、魔族を討ち滅ぼし、この国…いや、この世界を救って欲しい!」
「いやいや!ちょっと待ってください!勇者?魔族!?俺達普通の高校生ですよ!?」
男が声を上げた。
「いや、お主達は魔法陣に選ばれた。それは、勇者の素質があるという何よりの証拠なのじゃ」
「そ、素質って…」
オドオドした少女が控えめに言った。
「うむ、それでは、一度心の中で『ステータス』と念じてみるのじゃ」
そう言われ、ナナシ達は大人しく従った。
「うわ!なんかでた!」
すると、目の前にステータスが表示された。
四人の称号の欄には勇者の文字が書かれていたが、ナナシの称号は『死者』となっていたので、咄嗟にステータス画面を閉じてしまった。
「ホントに勇者って書いてある…」
「ステータスも俺ら全部三桁だ…!やべー!俺らまじで勇者じゃん!」
ステータス画面という非現実な現象に四人は国王の話を信じ始めていた。
国王達も四人のステータスを見て満足そうにしていた。
偽造…では無いな…少なくとも俺は…でも俺は、他のみんなと比べてステータスは低いな。
『それは、恐らくナナシさんが死んでいるからですね。体そのものはただの子供ですからね。ステータスに魂力は含まれていないのでしょう』
『あいつらのステータスが高いのは勇者の素質と言うやつか…』
「それで、そこの者はどうじゃ?」
「ん?あ」
『どうしよう!俺勇者じゃないぞ!口頭で言ってもステータス見られてバレる!』
『仕方ありません!ここは正直に言いましょう!』
『いいんだな!?』
『多分大丈夫です!』
『多分かよ…』
「ほれ、見せてくれ」
『あ!一応敬語で!』
『わかった』
「はい…」
ナナシのステータスを見て周りは呆然とした。
「し…死者…?お主…もしや転生者か…?」
「いや、俺もあの魔法陣から来た。元の世界でもしっかりと存在していました」
「どういう事じゃ?」
「詳しくは長くなるから言えませんが、死んだ時に、成仏出来ずに肉体に魂が留まってこうなりました」
「んー…そ、そうか…?とにかく勇者では無いのだな?」
「そうですね、ステータスもほか四人よりも低いですし」
「うむ…そうじゃな…そういう事なら神官が回復し次第すぐにでも、送迎できるのじゃが…どうする?」
「え!?帰る方法あるんですか!?」
大人しそうな少女が声を上げた。
「ああ、お主らも帰りたければ申し出てくれ。元々お主らは部外者。強要はしない」
「いや、俺はここでやりたいこともあるしここに残ります」
ナナシが言った。
「そうか?それでは、当面の生活費は国が支援しよう」
「大丈夫です。死者なので」
「おお、そうじゃったな…お主らはどうじゃ?魔族の討伐引き受けてくれるか?」
四人は少し顔を見合せ、少年が口を開いた。
「当然やりますよ!こんな経験は二度と無いかもですからね!」
「まあ、困ってる人を放っては置けないわよね」
「同意」
「わ、私も…ちょっと怖いですけど」
「おお!やってくれるか!感謝する!それでは、まずは冒険者ギルドに向かってくれ」
「え?魔族の討伐に行かないんですか?」
「素質はあっても経験が無ければ意味がなかろう。まずはそこで、色々経験を積み、装備を買って自身の強化をすることが先決じゃ」
「それもそっか…わかりました」
「では、頼んだぞ。勇者達よ」
そうして、ナナシ達は城を後にした。
「うわー…本当に異世界だ…」
中世ヨーロッパ風の街並みに四人は感動を覚えていた。
「そう言えば…ナナシ…だっけ?」
「はい」
「ああ、敬語はいいよ!ステータス欄見たけど18歳だろ?同い年だからさ」
「そうか?」
使い分けが難しいな…
『少しづつ覚えていきましょうか』
「俺はカズヤそして…」
それぞれが自己紹介をしだした。
黒髪ロングがハル、無表情の子がチユリ、オドオドした子がモエカだ。
「それで、ナナシはこれからどうすんだ?やりたい事って?」
「ああ、俺はその辺でのんびりしたいなって」
「…それだけ?」
「ああ」
「そうか…ま、帰りたくなったらいつでも帰れんだ。異世界満喫してこい」
「すまないな。お前らに任せてしまって」
「気にすんな!俺らが選んだんだし」
「そうだな」
「それじゃあ、俺らはギルドに行こうかな!じゃあな!」
「ああ」
ナナシはカズヤ達に別れを告げ、城に引き返した。
そして、城に入り、国王の許可を得て神官であるツカサのいる地下に降りた。
「あら?どうされました?」
「お前、どうやって異世界に転移させた?」
そんな時、道中に登校中の四人の生徒が目に入った。
「あれ?そうか、今日は学校がある日か」
制服はユメとは違うものだが、それは今日が平日であると証明するには十分な情報だった。
『やっぱり、無人島生活は曜日感覚がズレますね。どうします?』
「そうだな…一旦帰るか…夕方くらいに来れば、ユメも帰っているだろう」
ナナシが引き返そうとしたその時。
『ナナシさん!待ってください!』
「…ッ!?なんだ!?」
アンナに言われ、立ち止まる。
『何か変な気配が…さっきの生徒さんがいる辺に…』
「さっきの…?」
振り返ると、その生徒たちの足元に大きな魔法陣ができていた。
「な、なんだ!?」
生徒達はみるみる魔法陣の光に包まれる。
「くっ」
ナナシは魔法陣に突っ込んで行った。
『テンカさん!魔法陣が…!』
アンナがここまでテレパシーを送ったところで、ナナシはこの世界から姿を消した。
気がつくと、そこは何処かの地下のような場所だった。
振り返ると、調子の良さそうな茶髪の少年、気の強そうな黒髪ロングの少女、無表情で大人しそうな少女、オドオドした様子の三つ編みの少女がいた。
更に辺りを見渡すと疲労困憊の神官のような格好をした女性と鎧を纏った警備数人がいた。
「は?どうなってんの?これ?」
少女が声を上げると、神官が息を整え語り出した。
「突然の事で驚きでしょう。わたくしはシャハンドラ王国の神官を務めております、ツカサと申します。この度はこの世界を救って頂きたく貴女方を召喚させて頂きました」
召喚…?
『元いた場所とは違う…さっきの魔法陣と言い、不思議な事ばかりですね…』
『ここが異世界という可能性は?』
『無いことは無いと思います…見たことも行ったことも無いので判断は出来ませんが…』
「ちょっと!急にこんなところに連れてきて、ふざけた事言わないでくれる!?世界を救うって何!?そもそもここはどこなのよ!」
「この世界は貴方達がいた世界とは別の世界です」
「それって…異世界って事ですか…?」
無表情の子が聞いた。
「はい、実は最近この世界に魔族を名乗るものが現れまして…その魔族を討ち滅ぼして頂きたいのです!」
『魔族…』
『カオスの事でしょうか…?』
『いや、カオスはそんな事しないと思う…』
『どうしてですか?』
『いや、ただの勘だ…最近来た魔族…』
『あ!そう言えば!カオスの他にも取り逃した魔族がいましたよね!』
『そうか!確か…ザンゲと言ったか…そうつの可能性はありそうだな…』
「詳しい話は国王様が直々にご説明致します。どうぞこちらに…」
『もし、黒幕が、ザンゲだとしたら、今の俺では勝ち目なんてないぞ…』
『大丈夫です。ナナシさんはあの時よりも強くなっています』
そして、ナナシ達は階段を上がり国王の前に案内された。
「ようこそ、勇者達よ。ワシはこのシャハンドラ王国を収めるアスモア。我々が勇者を召喚した理由は聞いておるだろう。ワシからもお願い申し上げる、魔族を討ち滅ぼし、この国…いや、この世界を救って欲しい!」
「いやいや!ちょっと待ってください!勇者?魔族!?俺達普通の高校生ですよ!?」
男が声を上げた。
「いや、お主達は魔法陣に選ばれた。それは、勇者の素質があるという何よりの証拠なのじゃ」
「そ、素質って…」
オドオドした少女が控えめに言った。
「うむ、それでは、一度心の中で『ステータス』と念じてみるのじゃ」
そう言われ、ナナシ達は大人しく従った。
「うわ!なんかでた!」
すると、目の前にステータスが表示された。
四人の称号の欄には勇者の文字が書かれていたが、ナナシの称号は『死者』となっていたので、咄嗟にステータス画面を閉じてしまった。
「ホントに勇者って書いてある…」
「ステータスも俺ら全部三桁だ…!やべー!俺らまじで勇者じゃん!」
ステータス画面という非現実な現象に四人は国王の話を信じ始めていた。
国王達も四人のステータスを見て満足そうにしていた。
偽造…では無いな…少なくとも俺は…でも俺は、他のみんなと比べてステータスは低いな。
『それは、恐らくナナシさんが死んでいるからですね。体そのものはただの子供ですからね。ステータスに魂力は含まれていないのでしょう』
『あいつらのステータスが高いのは勇者の素質と言うやつか…』
「それで、そこの者はどうじゃ?」
「ん?あ」
『どうしよう!俺勇者じゃないぞ!口頭で言ってもステータス見られてバレる!』
『仕方ありません!ここは正直に言いましょう!』
『いいんだな!?』
『多分大丈夫です!』
『多分かよ…』
「ほれ、見せてくれ」
『あ!一応敬語で!』
『わかった』
「はい…」
ナナシのステータスを見て周りは呆然とした。
「し…死者…?お主…もしや転生者か…?」
「いや、俺もあの魔法陣から来た。元の世界でもしっかりと存在していました」
「どういう事じゃ?」
「詳しくは長くなるから言えませんが、死んだ時に、成仏出来ずに肉体に魂が留まってこうなりました」
「んー…そ、そうか…?とにかく勇者では無いのだな?」
「そうですね、ステータスもほか四人よりも低いですし」
「うむ…そうじゃな…そういう事なら神官が回復し次第すぐにでも、送迎できるのじゃが…どうする?」
「え!?帰る方法あるんですか!?」
大人しそうな少女が声を上げた。
「ああ、お主らも帰りたければ申し出てくれ。元々お主らは部外者。強要はしない」
「いや、俺はここでやりたいこともあるしここに残ります」
ナナシが言った。
「そうか?それでは、当面の生活費は国が支援しよう」
「大丈夫です。死者なので」
「おお、そうじゃったな…お主らはどうじゃ?魔族の討伐引き受けてくれるか?」
四人は少し顔を見合せ、少年が口を開いた。
「当然やりますよ!こんな経験は二度と無いかもですからね!」
「まあ、困ってる人を放っては置けないわよね」
「同意」
「わ、私も…ちょっと怖いですけど」
「おお!やってくれるか!感謝する!それでは、まずは冒険者ギルドに向かってくれ」
「え?魔族の討伐に行かないんですか?」
「素質はあっても経験が無ければ意味がなかろう。まずはそこで、色々経験を積み、装備を買って自身の強化をすることが先決じゃ」
「それもそっか…わかりました」
「では、頼んだぞ。勇者達よ」
そうして、ナナシ達は城を後にした。
「うわー…本当に異世界だ…」
中世ヨーロッパ風の街並みに四人は感動を覚えていた。
「そう言えば…ナナシ…だっけ?」
「はい」
「ああ、敬語はいいよ!ステータス欄見たけど18歳だろ?同い年だからさ」
「そうか?」
使い分けが難しいな…
『少しづつ覚えていきましょうか』
「俺はカズヤそして…」
それぞれが自己紹介をしだした。
黒髪ロングがハル、無表情の子がチユリ、オドオドした子がモエカだ。
「それで、ナナシはこれからどうすんだ?やりたい事って?」
「ああ、俺はその辺でのんびりしたいなって」
「…それだけ?」
「ああ」
「そうか…ま、帰りたくなったらいつでも帰れんだ。異世界満喫してこい」
「すまないな。お前らに任せてしまって」
「気にすんな!俺らが選んだんだし」
「そうだな」
「それじゃあ、俺らはギルドに行こうかな!じゃあな!」
「ああ」
ナナシはカズヤ達に別れを告げ、城に引き返した。
そして、城に入り、国王の許可を得て神官であるツカサのいる地下に降りた。
「あら?どうされました?」
「お前、どうやって異世界に転移させた?」
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