教祖

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プロローグ

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 「っというわけで、君にはこれから1週間我が部の体験入部を行っていただきます。拒否権は認めない。質問は3つまで。さあ来い!」
 僕の目の前で、この部の部長を自称する3年生の先輩が弾丸トークを終え、某カンフー映画主人公のごとく逆手で手招きをしている。細身の体に、肩甲骨まで伸ばした艶のある黒髪。ぱっと見はきれいなお姉さん、といった風貌ながら仕草とのアンバランスさでどこかの新興宗教のよう。ちなみに、入学式終了からここまでの所要時間はわずか5分。必殺仕事人も真っ青のスピード感だけど、このままじゃ勝手に話が進んでいきそうだし、何か質問しなければ。
 「え、いや、その」
 安定のコミュ障を発動してしまった。でもこれは仕方ない。10年来のパソコンの起動に5分はかかるのと同じように、僕のコミュニケーションには予備動作が必要なんだ。ぶっつけ本番で会話なんて高度な情報処理をしてしまったら、瞬く間にフリーズしてしまう。
 「『え、いや、その』か、すまんがその質問に対する回答は俺の力ではこたえられる術がないな。さて、質問が済んだところで早速部活に移るとしようか」
 「ちょ、ちょっと待ってください!」
 今度は言葉になった。よし、ホーム画面まで行ったぞ。しかし一人称俺なのか。
 「なんだよもう。質問は1つって言ったろうが」
 「いや、3つでは」
 「句読点がついた時点て一つの文って認識だろ。どっちにしろ俺にもう質問を受ける気は皆無だ。あきらめてくれ」
 「そんな、勝手に」
 「んじゃ、俺から一つ聞くが、これから外せない用事があるのか?」
 「いや、そんな外せないって程の事は」
 正直な話、することなんてありゃしない。今日の今日で友達なんてできるわけもなく、一刻も早く自宅警備員として自室に駆け込むのが関の山。
 「はい、無駄話終了。さあ諸君、今日の部活内容を発表するぞ」
 「理不尽すぎる」
 部長の声で低スペックパソコン「僕」は、立ち上がりもむなしく、強制シャットダウンを余儀なくされました。
 部長の呼びかけに、僕以外の6人(おそらく部員)が僕の背後、部屋の正面のホワイトボードに視線を集める。目の前の幅広のテーブルを囲む男性4人の女性が2人。奥の両サイドに二人ずつ男性、女性陣は手前の両サイド。
 まず特徴的な体格の男性が二人。片方の糸目で太めの人は親近感が湧く。もう一人は明らかに僕の嫌いなリア充オーラが目に見えるような茶髪細マッチョイケメン。残りの二人は、全部の指がアイアンネイルに包まれてニヒルな笑みを浮かべた少し小柄な人、顔面偏差値がさっきのイケメンさんよりさらに高いけど、どこか虚ろな目でホワイトボードを穴が開くほど見つめる人といったラインナップ。
 女性は同じ空間にいるのが違和感しかない取り合わせのお二方。
 僕から見て左側には組んだ両手の上に顎を載せて好奇心に染めた瞳を向ける女性。ギャルとまではいかなくても、ファッションとしてうまく着崩された制服と、両手に着けられたシュシュが僕のお近づきになれないセンサーをビンビン刺激してくる。
 対して右側に座るのは、なんだかんだでクラスランキング3番手には入っていそうな、かわいらしい女性。ショートカットにシャープな印象の眼鏡で文学少女な感じ。でも、おとなしいというよりは少しを気を張ってる野良猫気質といったところ。
 まさに柔と硬って感じ。
 
 「まあまあ、きっと30分後には文句ひとつでなくなってるさ。さて、今日はこちら!」

 そんな個性派集団の長は勢いよくホワイトボード反転させ、そこに書かれた文字を2回叩いて示した。
    
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