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弐
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目を覚ますと、そこは知らない街だった。
知らない…街。たぶん。もしかしたらどこかで知っているかもしれない。思えばどこか、懐かしい気もする。考えても、思い出せないのだけれど。
春風が楽しげに笑って過ぎ去っていく。
私は誰だろう。どこに行けばいいんだろう。ふとそんなことを思って。
記憶喪失?
そうなのかもしれない。
本当に何も、思い出せない。
とりあえずどこかへ、と立ち上がった私はすぐに、近くに一人の男の子が佇んでいることに気が付いた。
見上げれば満開の桜が空を覆っていて。彼はその美しい桜をただ眺めていた。
「あの」
気づけば声をかけていた。ハッとこっちを見た彼は、私がいたことに今気づいたらしく。
「何だい?」
それでもそう答えて優しく笑う彼の笑顔は、桜よりもずっと美しく咲き誇っていた。
彼を知っている。
記憶の断片が朧に揺れる。
いや、知っているどころか、私は…
私の思考は再びの、彼の問いかけによって遮られた。
「どうしたの?」
「え、いや、あの…」
自分でもどうして話しかけたのかわからない。
「あ、えと、……桜、綺麗ですね」
しどろもどろになりながら答える私。そんな私に彼はまたふっと笑って。
「そうだね」
ああわかった、私は。
私はこの人が、好きなんだ。
知らない…街。たぶん。もしかしたらどこかで知っているかもしれない。思えばどこか、懐かしい気もする。考えても、思い出せないのだけれど。
春風が楽しげに笑って過ぎ去っていく。
私は誰だろう。どこに行けばいいんだろう。ふとそんなことを思って。
記憶喪失?
そうなのかもしれない。
本当に何も、思い出せない。
とりあえずどこかへ、と立ち上がった私はすぐに、近くに一人の男の子が佇んでいることに気が付いた。
見上げれば満開の桜が空を覆っていて。彼はその美しい桜をただ眺めていた。
「あの」
気づけば声をかけていた。ハッとこっちを見た彼は、私がいたことに今気づいたらしく。
「何だい?」
それでもそう答えて優しく笑う彼の笑顔は、桜よりもずっと美しく咲き誇っていた。
彼を知っている。
記憶の断片が朧に揺れる。
いや、知っているどころか、私は…
私の思考は再びの、彼の問いかけによって遮られた。
「どうしたの?」
「え、いや、あの…」
自分でもどうして話しかけたのかわからない。
「あ、えと、……桜、綺麗ですね」
しどろもどろになりながら答える私。そんな私に彼はまたふっと笑って。
「そうだね」
ああわかった、私は。
私はこの人が、好きなんだ。
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