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第一章 死に戻りからの婚約破棄と出会い
悩み
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多分、私は才能なんてない。
彼を繋ぎ止める努力が足りなかったから。
私の我が強すぎたから。
私のやりたいことと、彼のやりたいことが噛み合わないのに。
多分、私は才能なんてない。
大して勉強に打ち込まなかったから。
もっと打ち込むべきものはあったのに。
多分、私には魅力なんてない。
だから、こうして最愛の人が夢中で私の親友を抱いているのを見ることになる。
彼女の喘ぎ声を聞きたいなんて思ったことはない。
そんなの誰も思わない。
私の最愛の王太子は、子爵の令嬢と愛の行為を熱烈に行っている。
彼女は私の親友。
私は公爵令嬢という身分が取り柄だけのつまらない女。
強すぎる魔力は隠した。
コントロールできない魔力は邪悪なものだから。
私は魔力はあるが、可愛らしい令嬢レベルだと思わせておきたかった。
化け物のような魔力があるなんて、誰にも知られたくなかったのに。
でも、この魔力のおかげで、親友と恋人の裏切りの現場を見ることができた。私が魔力を使って助けたルイの長椅子のおかげで、過去に戻って裏切りの現場を見ることができた。
あまりにありふれた裏切りの現場。
そんなありふれた低俗で醜悪な、皆が噂で好む、皆が大好きな下世話でお気楽ありがち展開に私が遭遇するなんて。
もう。何が言いたいのか分からない。
ルイと私を乗せた長椅子が動いた。
「6月21日の現在の時刻に戻った」
ルイの声が遠くで聞こえた。
小さな白い花が房状で咲くエルダーフラワーの花が見えた。1867年に作出されたハイブリッドティーローズより前の、オールドローズが咲き誇っている。ピンクや赤や白や赤紫の薔薇だ。マリー・アントワネットが肖像画でも手にしてるピンクのケンティフォリアローズが目の前に見えた。赤紫でのちに青紫となるという色調変化が美しいモスローズも見える。1855年にフランスで完成したウィリアム ロブだ。
ブランドン公爵家の庭師と私は仲が良く、私は薔薇の名前をある程度知っていた。でも、今は薔薇を見たい気分ではない。薔薇が女性のように見えるから……。
前の人生でも私は男性と事を致した事がなかった。キープに扱われて、もしかしたらあの時も自分が本命でない事を薄々気づいていたのだろうか。いや、私は気づいていなかった。
もう、何がなんだか分からない。
よろよろとバルコニーの縁に近づいた私は、誰かに腕をつかまれた。私より一つ下の18歳のルイだ。ブロンドの髪が風になびき、彼の碧い瞳は私を優しく見つめて「戻ろう」と言った。
どこに?
私はルイのことをよく知らない。
王国の秘密を盗んだ、この美しい若者は私の魔力の強さを知っている。
「最後まであがいてみるんだ。君の才能は最高なんだから」
彼は私にそうささやいて、私の唇に自分の唇を重ねようとした。
彼を繋ぎ止める努力が足りなかったから。
私の我が強すぎたから。
私のやりたいことと、彼のやりたいことが噛み合わないのに。
多分、私は才能なんてない。
大して勉強に打ち込まなかったから。
もっと打ち込むべきものはあったのに。
多分、私には魅力なんてない。
だから、こうして最愛の人が夢中で私の親友を抱いているのを見ることになる。
彼女の喘ぎ声を聞きたいなんて思ったことはない。
そんなの誰も思わない。
私の最愛の王太子は、子爵の令嬢と愛の行為を熱烈に行っている。
彼女は私の親友。
私は公爵令嬢という身分が取り柄だけのつまらない女。
強すぎる魔力は隠した。
コントロールできない魔力は邪悪なものだから。
私は魔力はあるが、可愛らしい令嬢レベルだと思わせておきたかった。
化け物のような魔力があるなんて、誰にも知られたくなかったのに。
でも、この魔力のおかげで、親友と恋人の裏切りの現場を見ることができた。私が魔力を使って助けたルイの長椅子のおかげで、過去に戻って裏切りの現場を見ることができた。
あまりにありふれた裏切りの現場。
そんなありふれた低俗で醜悪な、皆が噂で好む、皆が大好きな下世話でお気楽ありがち展開に私が遭遇するなんて。
もう。何が言いたいのか分からない。
ルイと私を乗せた長椅子が動いた。
「6月21日の現在の時刻に戻った」
ルイの声が遠くで聞こえた。
小さな白い花が房状で咲くエルダーフラワーの花が見えた。1867年に作出されたハイブリッドティーローズより前の、オールドローズが咲き誇っている。ピンクや赤や白や赤紫の薔薇だ。マリー・アントワネットが肖像画でも手にしてるピンクのケンティフォリアローズが目の前に見えた。赤紫でのちに青紫となるという色調変化が美しいモスローズも見える。1855年にフランスで完成したウィリアム ロブだ。
ブランドン公爵家の庭師と私は仲が良く、私は薔薇の名前をある程度知っていた。でも、今は薔薇を見たい気分ではない。薔薇が女性のように見えるから……。
前の人生でも私は男性と事を致した事がなかった。キープに扱われて、もしかしたらあの時も自分が本命でない事を薄々気づいていたのだろうか。いや、私は気づいていなかった。
もう、何がなんだか分からない。
よろよろとバルコニーの縁に近づいた私は、誰かに腕をつかまれた。私より一つ下の18歳のルイだ。ブロンドの髪が風になびき、彼の碧い瞳は私を優しく見つめて「戻ろう」と言った。
どこに?
私はルイのことをよく知らない。
王国の秘密を盗んだ、この美しい若者は私の魔力の強さを知っている。
「最後まであがいてみるんだ。君の才能は最高なんだから」
彼は私にそうささやいて、私の唇に自分の唇を重ねようとした。
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