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3. 時間に広がるさざなみ(辺境の星からの刺客)
第74話 白くて大きいふわふわの寝ずの番犬に守られて(沙織)
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その夜、私は帝の自室で眠りにつこうとしていた。
私は浴衣生地の袴と着物を着て、帝は浴衣を着ていた。
私の右の手首には紐が巻き付けられ、その先は帝の左の手首に巻き付けられていた。
ゲームの召喚が来た場合、二人同時にゲームに参加するためだ。
「若、あの、白いふわふわの生き物はなんでございましょう? 」
私はほのかな灯りに照らされて、大きな真っ白の毛に覆われた動物が帝のすぐ横に寝そべっているのに驚いて、静かに帝に聞いた。
「グレート・ピレニーズの一種だ。ひょうのように敏捷なタイプで、名前はサキという。」
帝は私の方を見て答えた。
「私が寝ている間、サキは寝ない。寝ずに見張ってくれているのだ。」
帝はサキの白いふわふわの毛に覆われた背中を静かに撫でた。
「サキは強い。沙織も安心して眠るが良い。」
「分かりましたでございます。」
私はなんとか目をつぶった。緊張のあまり、言葉使いも変になってしまう。眠らねばならない。
でも、眠れない。帝が隣に寝ていては、ドキドキしてしまってまったく眠れない。
「わたくしも、サキをなでて見てよろしいでしょうか。」
私は帝に聞いた。
「いいぞ。」
帝は私にそう言って寝返りを打った。サキの方を見ている。
そっと帝の足元から私はサキの方に回り込み、サキの背中をゆっくりと撫でてみた。
「天窓から月が見えますね。」
私はふと気づいて言った。
「あれは偽物だ。上から侵入できてしまうので、天井に窓はない。」
「あれは夜になると月に見えるよう偽物の月があそこに置いてあるのだ。」
帝は静かにそう言った。
「私は10歳で帝になって以来、ずっと狙われている。」
帝は自虐的な笑いを浮かべてそう言った。
「そうでございましたか。でも綺麗ですね。ね、サキ?」
私はサキの背中を撫でながら偽物の月を見上げた。
そのまま、帝と私はサキのそばで眠りについた。サキの呼吸を聞いていると、私も安心できて帝の自室で初めての夜を過ごしたのだ。
私は浴衣生地の袴と着物を着て、帝は浴衣を着ていた。
私の右の手首には紐が巻き付けられ、その先は帝の左の手首に巻き付けられていた。
ゲームの召喚が来た場合、二人同時にゲームに参加するためだ。
「若、あの、白いふわふわの生き物はなんでございましょう? 」
私はほのかな灯りに照らされて、大きな真っ白の毛に覆われた動物が帝のすぐ横に寝そべっているのに驚いて、静かに帝に聞いた。
「グレート・ピレニーズの一種だ。ひょうのように敏捷なタイプで、名前はサキという。」
帝は私の方を見て答えた。
「私が寝ている間、サキは寝ない。寝ずに見張ってくれているのだ。」
帝はサキの白いふわふわの毛に覆われた背中を静かに撫でた。
「サキは強い。沙織も安心して眠るが良い。」
「分かりましたでございます。」
私はなんとか目をつぶった。緊張のあまり、言葉使いも変になってしまう。眠らねばならない。
でも、眠れない。帝が隣に寝ていては、ドキドキしてしまってまったく眠れない。
「わたくしも、サキをなでて見てよろしいでしょうか。」
私は帝に聞いた。
「いいぞ。」
帝は私にそう言って寝返りを打った。サキの方を見ている。
そっと帝の足元から私はサキの方に回り込み、サキの背中をゆっくりと撫でてみた。
「天窓から月が見えますね。」
私はふと気づいて言った。
「あれは偽物だ。上から侵入できてしまうので、天井に窓はない。」
「あれは夜になると月に見えるよう偽物の月があそこに置いてあるのだ。」
帝は静かにそう言った。
「私は10歳で帝になって以来、ずっと狙われている。」
帝は自虐的な笑いを浮かべてそう言った。
「そうでございましたか。でも綺麗ですね。ね、サキ?」
私はサキの背中を撫でながら偽物の月を見上げた。
そのまま、帝と私はサキのそばで眠りについた。サキの呼吸を聞いていると、私も安心できて帝の自室で初めての夜を過ごしたのだ。
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