夫である伯爵に裏切られましたが、王家に輿入れすることになりました

西野歌夏

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王太子閣下の告白(3)

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「その、幸せにするとは?」

 イーサンが狼狽うろたえて王太子閣下に聞いた。
 ――私もそこが気になるわっ!

 私は少しドアの隙間を広げてこっそり階下に身を乗り出した。

「君が離縁した後、私がキャロラインに求婚して私の妻に迎えたい。あ、でもキャロラインが許してくれるならば、だが」

「王太子閣下の妻にございますか………………?」

「そうだ。君はキャロラインに指一本触れていないし、キャロラインには全く興味がないのだろう。ならば私が彼女を幸せにしたい」
「なんと…………!?」

 ――なんですって!?
 
  私はドキドキしてきて、一瞬自分がアーニャとイーサンに裏切られていたことを忘れた。二人はこの小さな家で隠れて逢瀬を何度も何度も楽しんでいた。あんなこともこんなこともして。アーニャになった体に向けたイーサンの熱烈な仕草を思い出し、私は赤面すると同時に胸が痛かった。

 ただ、王太子閣下の言葉で一気に別の感情が私の中に流れ込んできた。どす黒い気持ちから、まるで視界が開けるような、身に余るような愛情あふれる王太子閣下の思いがけない言葉で私の心に光が差した。私は少し冷静さを取り戻した。

「すぐさま彼女と離縁してくれ」
「キャロラインになんと言って離縁すれば良いか」

「そんなの君が自分で考えてくれ。ただ言っておくが、離縁した後は彼女に二度と近づくな。彼女をこれ以上傷つけるな」

「わかりました。閣下」
「彼女は未来の王妃になるお方だ。もちろん、彼女が私に心を開いてくれればの話だが」
「あ………………王妃?」

 私には今のイーサン伯爵の顔が想像できた。渾身のパンチを喰らったような顔をしているに違いない。

「私は彼女の愛を勝ち取るために頑張る。君がこれ以上彼女を傷つけなければ、非常にありがたい」

 私は腰が抜けそうになり、そっと這うようにベッドに戻った。イーサンへの愛が残っている今、アーニャとイーサンへの怒りと失望が私の中に押し寄せてくる。ただ、王太子閣下の力強い言葉に、私の心に温かさが戻ってくるような気がしたのは事実だった。

 私はベッドに横たわり目をつぶった。王太子閣下の思いがけない言葉に、目尻から涙が出て頬をつたった。

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