夫である伯爵に裏切られましたが、王家に輿入れすることになりました

西野歌夏

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国王陛下へのご挨拶(3)

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 挙式が待ちきれないという意味が、今の私には正確にどういう意味なのか分かっている。

 ――早く王太子閣下の胸に飛び込んで、私の全てを捧げたいわ
 
 知らなかった衝動を、今の私は知ってしまっている。

 食事の席は和やかに進行し、伯爵家の奥方として3年過ごした歳月が役に立った。富豪だが貴族ではない実家では学べなかったことを、伯爵家の奥方として私は身につけており、王家の食事の席でも決して恥ずかしいことはない振る舞いができた。

 胸が高鳴る王太子閣下との挙式を経て、私はこの国の王妃となる運命を背負うことになる。国民の誰しもが敬い憧れる国王陛下とソフィー王妃を面前にして、私はお二人を義両親として受け入れた。

 お二人から自分が家族として受け入れられていることに驚きを感じながらも、今更ながら王太子閣下の妻となることの意味を自覚した。王家への輿入れは、もはや後には引けない国の慶事なのだ。

 私を見つめて微笑む幸せそうな王太子閣下に、私も幸せを感じた。

 国王陛下とソフィー王妃においとまの挨拶をすると、私は従者に付き添われてお妃教育が行われる間に歩いて向かった。この広い城が自分の居城となることに信じられない思いだったが、王太子閣下の妻になるため、私は努力を惜しむまいと覚悟を決めた。

 実家の皆の顔が浮かんだ。泣いて喜んでくれたマリアや執事、父と母、色んな人の顔が浮かび、過去のトラウマに屈してはならないと心に誓った。

「キャロラインさま。私がお妃教育を担当するブルーデネルです」
「よろしくお願いします」

「今回、二年で仕上げるところを短期間で身につけなければなりませんわ。少々厳しくなりますが、ご覚悟を」
「ええ、分かったわ」

 私の厳しいお妃教育が始まった。ただ、ブルーデネルが私を嫌いなわけではないと知っている。

「キャロラインさまっ!違います」
「申し訳ありません」
「王妃がビクビクしない!もっと威厳を持った振る舞いを」
「はいっ!」

 ――お妃教育は厳しくても当たり前よ。負けないわ。
 
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