好きだったハズのアイツ

魂魄妖夢

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花火大会

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「ねぇ?知ってる?」
しのちゃんと話していたらいきなり言った。
「何が?」
「ふーん…やっぱし知らないんだ。」
「なになにー?気になるー!」
「あのね、今日ここの地域で花火大会やるんだって。」

あ、察したわ。多分
「そしてそれをみんなで行こうってことになったらしいの。班行動で。」
デスよねー。察しましたよ。
でも班行動までは予想してなかった。
「いいね、楽しみ♪と言うよりしのちゃんはなんで沈んでんの?」
ボソッとしのちゃんは呟いた。
「男女ペアで、二人で行くんだって。」

我が耳を疑った。あのー。これはやばいパターンでは…

「京佳ちゃんは誰となりたい??」
不安が隠せなさそうなしのちゃん。まあ誰でもいいし、
「しのちゃんに任せるよ?誰でも楽しめるし。」

パァァとしのちゃんの顔が明るくなった。
「い、いいの?別に隼人君でも凛翔君でも良いんだよ??」
「だから、私は誰でもいいんだって、」

にっこり笑顔で言ってあげたら
「ありがとう!」と、可愛い顔で言われた。うーん。完敗。

「と言うより男子の意見きいたほうがいいんじゃない?」

「あっ、確かに!忘れてたよぉ」

「まあ聞きに行ってみよ??」

「うんっ!」

可愛いね。ホント完敗
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「え?そうなの?」

「ふーん」

男子に話したらこうだよ。
もちろん上の返事は凛翔君。優しいからね。
下はクール男子(笑)。
要は誰でもいいというわけで

ペアはみんなで相談することに。

「じゃぁ、誰かなりたい人とか、なるならこの人がいい!っていう人いるぅ?」

しのちゃん進行で始まったけど、しのちゃんはどうしても隼人といきたそう。

「私は誰でもいいよ?それよりしのちゃんこそ隼人と行きたいんじゃない??」

「なっ…///やっ、やめてよぉ、」
そう言いながらしのちゃんの顔は真っ赤っか。わかりやすい。

「俺は誰でもいいぜ。まあどちらかと言えば京佳かな。」

おやいきなりのご指名。
まあどちらかといえばだから、気にすることは無いや。問題は

「隼人?お前は誰がいい?」
「ん?」

聞いてねぇし!!
何なんだあいつ…!!

「だから、花火大会で行く女子!」






「京佳」






「え?」
今気のせいじゃなければ何かすごいことが起こったような気がする。
「ん?誰?聞こえなかったよぉ」

「もういい。誰でもいい、」

「ダメだろ?京佳ちゃんご指名の奴がー」

あちゃー…凛翔君空気を読んでくれ…

「えっ?」
しのちゃん流石にびっくりして、ちょっとショックを受けてるよう。
「しのちゃんごめんね?変わってあげよう「俺は京佳がいい。」

ちょっとみんな空気読んで!?
ねぇ!?
と言うより喋ったよね!?

もう疲れるよぉ…!!
「そ、そうなんだ、じゃあペアは決まったね?」
無理矢理笑顔を作るしのちゃんは痛々しく思えてきた。

「よろしくな」
微笑みかけてきた。

ドキッ…///

初めて笑顔を見たかもしれない!
「こ、こ、こちらこそよろしく…」
噛みまくったが言えた。

そうして花火大会は始まった。
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二人ペアで行動。自由に歩き回っていいそう。

私は隼人に任せるけどねー

私の浴衣の着付けをしのちゃんに頼んだ。(もちろんしのちゃんの着付けは私が担当した)隼人を大分待たせてしまったようだ。

ただ、隼人は顔を伏せてすぐ歩いただけだった。
ほんのり顔が赤かった気がするのは気のせいか。

「どこいくのっ?」
「…」
うわっ、冷たっ。

行先ぐらい教えてくれたって良いじゃん。ケチだなぁ。

そうして隼人に引っ張られついた場所は…!

「わぁ!綺麗!!」
花火の絶好ポイント。しかも誰もいない。これは嬉しい。

「ありがとねっ!」
隼人にお礼を言うと
「別に…」と相変わらずの冷たさ。

でも嬉しいなぁ。
そういえば軽く流したけど凛翔君からも指名受けてたよな。

何でだろう。しのちゃんの方が可愛いのに。可愛いと気づまりなのかな?

「俺さ、この花火大会楽しみにしてたんだ。京佳と行けるし」

ちょっと顔を伏せがちにして言った彼の言葉を聞き逃さなかった。

でも理解するのに少しかかった。
楽しみにしてた??
なんで私なんかと…

もしかして…///

なんて考える私じゃない。

自分に都合のいいように考えるのは悪い癖だ。だから直していかなきゃ…

「私も楽しみだったよ。まさか隼人と行けるとは思ってなかったけど」

本心を伝えると彼は諦めたみたいに「帰るか。」
と言った。
「う、うん…」
最後の花火、まだ見てないのになぁ。
「最後、見てく?」
驚きだった、心読めるのかな…この人。
素直に「うんっ!」と言うと彼は嬉しそうに微笑んだ。

だからその笑顔はたまにしか見せないでしょ、それが反則っていうんだよ…///

なんでこんな感情が湧き上がってくるんだろう。何故?
聞かれてもわからない。
私はまだわかっていなかった










好きという感情を
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