幻聖魔伝 ～Three world～

第五夜

42

　とりあえず俺達はあれこれ話しながらミセティル国行きの船に乗る。

「船に乗るのなんか、かなり久々だよ～！」

　ホーク、喜ぶのはいいけどお前船酔いしなかったっけ？

「私、昨日乗った……」

　ミルカ、合わせなくていいよ。

「リュカも、かなり久々だよな？」

　ランディが隣にやってくる。

「そうだね。最後に乗ったのは去年、ランディの誕生日パーティーに行く時だったかな？」

「そうだよな。確かお袋が帰り送ったもんな」

　去年って言ってもほんの一ヶ月前が『去年』なんだけどね。

「……あれ？　その腕時計、去年俺があげたやつじゃん！　使ってくれてんだ」

　俺の持ってきたこの腕時計、実は去年ランディからもらったやつだったりする。

「うん」

「ありがとな！」

　……ランディって、本当明るいよね。まるで太陽みたい……。

　ふっとミルカとホークの方を見ると、ミルカが知らない男に絡まれてる。


　ああいうのって、どこにでもいるんだよねぇ……。


　ホークはミルカの事を思ってか引き離そうとしてるけど、とうのミルカは相手にすらしてないし。

「ん？」

　ランディもそっちを見る。そして

「ミルカも美人だからなぁ～……」

　……あれは『美人』と言うより『可愛い』じゃないの？

「しゃあねぇ。ちょい助けてくるか」

「怪我させないようにね～」

　相手はどう見てもナンパ師の類い。

　さてさて、ランディはどうやって追い返すのかな～？

「お嬢ちゃん可愛いね～。お兄さんと一緒に食堂行ってご飯食べない？　おごっちゃうよ」

　つい数時間前ナンパされかけた俺としては殺したい気分だな。