幻聖魔伝 ~Three world~

聖薇

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第九夜

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「こっから西のダリル王国の、領土のどこかにあるみたいだよ?」

 聞いてなかった俺の為に、ホークがたった今聞いた情報を伝えてくれる。

「……細かい場所まではわからないんだ」

 払った情報料がいくらかも知らず、俺は呟く。

「だって50ゼルだぜ?」



 成る程。納得。



 俺達はギルドを出た。

「とりあえずミルカ。ダリル王国ってどんな所?」

 俺はミルカに訊ねる。

 行った事はなくても、情報屋が家業のミルカなら何か知ってるはずだから。

「人間界一の領土保有国。そのぶん未開の土地や自然も多い。でも、種族差別がかなり酷いって聞いてる。ハーフが見つかった次の日には、そのハーフは公開処刑だって言うし……。あまり、行きたくない…………」

 ミルカは俯き加減に答えた。



 ミルカは人間なんだから、公開処刑は関係ないよね? なんで行きたくないの??



 とはいえ、話を聞く限りでは色々危なさそうだ。

「僕はパッと見た感じじゃ、ハーフには見えないけど……リュカ兄とランディ兄が心配だなぁ…………」

 失礼な。俺は危険には慣れっこだし、特技に「人殺し」なんて書いてもあながち嘘にもならないぐらい腕はあるよ?



 …………実際、特技に「人殺し」なんて書いた事ないし、書く気もないけど……。


「けど約束だしな。俺は行くよ。リュカは?」

「勿論行くよ。帰る場所もないし」

 俺ははっきり、そう言ってやった。

 何故か、ランディが悲しそうな顔をした気がする。

「うし! じゃあ早速行くか。ミルカ、どの船に乗ればいい?」


 俺がそう思った時には、ランディは既に『いつもの』ランディに戻っていた。

「……トリンカの町行きの、船……」

 ミルカがいつも通り、静かにそう答える。

「よし。じゃあ、レッツゴー!!」

 ホークはなんか、気合いが入ってるっぽく元気にそう言った。
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