幻聖魔伝 ～Three world～

第十夜

89

「やっと着いたぁ～！」

　ランディが一番に船を降りて、大地に足をつけるとん～っ、と伸びをする。

　続いてミルカ、ホーク、俺の順に船を降りる。

「……ここからは、気をつけないと……」

　ミルカ、何をそんなに警戒しているの？

　ちなみに今俺達は、アンクの町で買ったフード付きのマントを着てフードも被っている。

　ダリル王国はハーフ差別の酷い場所。ホークやミルカはともかく、俺とランディは一目見ればハーフとバレるから４人お揃いで買った。



　ちなみにこの格好、旅人の間では珍しくないらしい。



　どう見たって、不審者にしか見えない気がするんだけど……？

「とりあえず！　ギルド、だよね？」

　ホークがミルカに確認する。

「うん。ここのギルドは、町で一番大きな建物」

　ミルカは暗唱するようにギルドの特徴を俺達に伝える。

「じゃああれだな！」

　ランディが差したのは町で一番大きな、ドーム状の建物。

「うん。十中八九あれだね」

　俺はそれを見てそう答える。

「早く行こう！　早く！！」

　ホーク、ここのとこずっとハイテンションだなぁ……。

「何がそんなに楽しいの？」

　ホークにそう訊ねると

「だって僕達、存在があるかどうかも知られていなかった理想郷に近づいてるんだよ！　なんだか楽しいじゃん」

　ホークが生き生きとした笑顔で、後ろにいる俺の方に身体ごと向きを変えて歩きながらそう答える。

　まぁ、確かに楽しいけど……。

「…………あ、後ろ……」



　ガッ！！



　ドボン！！



「ぶは！」

「…………噴水……」


　ホークは後ろ向きに歩いてて、噴水にぶつかった。そしてまるでお約束のように噴水にひっくり返った。

　ホークが落ちた噴水から顔を出す。俺が注意しようとしたけど、ちょっと遅かったっぽい。